進化の諸システムは、記憶を必要とする。そして、社会は進化するシステムである。ミュージアムは、人類の集合的記憶を担っている。もちろん、ミュージアムそのものは集合的記憶ではない。しかし、ミュージアムはおそらく社会の集合的記憶を担う要素となっているのである。
ミュージアムは何より面白さの提供や過去の遺物の保存こそ目的そのものだと公言する者たちがある。われわれは、ミュージアムは社会のサービス機能であり、それゆえに学習活動も娯楽も提供すべきことは否定しないが、その記憶としての機能の唯一もっとも重要な目的は、われわれが個人としても社会としても学習するのを助けることだと主張する
(スウェーデン・ミュージアムに関する議会委員会 1994年)
以前、『教育と「知的美術館」』というエントリも書いたけど、個人的には「学習の場としての美術館」というような捉え方が苦手。「学習」と言った瞬間にとても枠にはめられ、矮小化してしまう、それは私自身がそういう「学習」しかやってこなかったからなのだろうけど、そんなふうに感じてしまうところがある。それよりも、上記で書いたような「記憶」というキーワードだったり、『教育と「知的美術館」』で引用したデルコンの文章だったり、そういうのがしっくりくるし、最初にしっくりしたその感覚を大事にしたいって思ってる。
とはいえ、私が今研究しているのって、モバイル・メディアを取り上げながらも、限りなく「美術館における解説とは何か。美術館におけるコミュニケーションとは何か」というようなものに近い話で(自分が今、何をやっているかというのもちゃんとエントリしたいのだけど)、そうなるとどうしても美術館における教育とは、という話は入ってくるのよね……。そして、美術館と教育の関係を考えることは、「美術館ってなんだろう」という話に行き着いていく。
という前フリで、勉強会の告知。(笑)
8月28日(土)に「ITを使った美術館教育を考える(1)」というタイトルで勉強会を開きます。主催は、今、私が事務局長を務めているMCDNで場所は慶應三田キャンパス。プログラム他詳細はこのエントリの最後に記載。
今回の勉強会は、美術館教育について長年主にニューヨークで研究を続けていた大髙幸さんに「そもそも、美術館教育ってなんだ?」という話をしていただいた後、ビデオにてグッゲンハイム美術館の教育部門アソシエイト・ディレクター Sharon Vatsky さんに、グッゲンハイム美術館の美術館教育についてレクチャーをしてもらう予定。最後は、その他のWEBを使った教育事例などをあげながら、日本への応用などを議論していければと思っている。「ITを使った」と銘打ってるけど、初回なのでどちらかと言うと、美術館と教育とは、という話が濃くなってくると思われます。講師の方お二人とも、かなりしっかりご準備してくださるようで配布資料などもある予定。
今回はアメリカにおいての美術館教育の話が中心になると思うけど、私も修論の関係でイギリスにおける博物館・美術館教育みたいなのはすごくあっさりとだけど調べてみたことがある。彼国もさまざまな時代的背景があって、”ミュージアム・エデュケーション”には非常に力をいれいている。たとえば80年代、サッチャー首相が公的支援を絞ったことから、ミュージアムは自主財源を確保するために「自分たちの存在意義」をアピールしなければならなくなったとか。かたや、90年代後半のブレア首相が「クリエイティブ産業というブランディング」「教育の重視」の政策の元、ミュージアムを学習機関として重要視した経緯とか。(そのあたりは『ミュージアム国富論』を読めばなんとなく雰囲気は伝わるかな)
それに対する批判もあって、私も冒頭で書いたとおり、あまりにも学習機関と化しているイギリスの美術館ってどうなのかなあと思うところはありつつも、でも、あるひとつのタイプとして注目してみている。日本の「学校でミュージアムに行く」ことと違うんだろうなあと思うのは、日本はわりと「ミュージアムの展示全体をあまねく解説してまわる」というのが主流のような気がするんだが(ちゃんと調べたことないが……)、イギリスの場合は、特定の展示の特定のテーマについてピックアップして、深く理解していくタイプがほとんどとのこと。その際のキットとかもすごく充実していて、たとえば、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館では、テーマごとに、ワークシートや解説、理解を深めるためのグッズ、文房具などがセットになった「Back Pack」他、さまざまな教材が用意されているんだって。
こんなの。
こんなふうにリュックしょってミュージアム内を探検するのね
※公式サイトより転用。ビデオもあるし、他のいろんな家族向けプログラムの紹介もいっぱい
もちろん、子供向けだけじゃなくて、若者向け、大人向けとプログラムは驚くほど多彩にある。(私が研究対象にしているテートとか、異文化だのコミュニティだの、常に10近く専門プログラム・キュレーターがいるし)
そういえば、昔も書いたことあるけど、ブロードウェイ・ミュージカルのサイトには絶対教師&生徒向けのガイドブックみたいなのがpdfでダウンロードできるようになってて、それがものすごくよく出来ている(作品自体の解説というよりむしろ、作品自体を通して描かれている社会背景・歴史とか、作者自身のこととかが学べるつくりになってる。賛否両論はあるとおもうけど、個人的にはそういうアプローチってすごく大事だと思ってるので)のにいたく感動して、どこが作ってるの?と思って調べたら、やっぱりそれ専門の会社、それ専門のディレクターがつくっていて、なるほどなあ……と思ったんだよね。専門職だよなあやっぱり、って。
そういうのって「蓄積されていくノウハウ」だから、やってることそのまま輸入する必要はないけど、やれること、合うことからやっていくのはすごくいいんじゃないかと思ったりしていた。劇団◯季とかもファミリーや学校向けにサイトや宣伝には力いれてるけど、こういうのは全然ないのでやったらいいのになとか。(正直な感想を言えば、子供だましすぎるのではと)
話がそれたけど、そんなわけで、私自身もこの日は一緒に勉強するぞって思ってます。手前味噌だけど、大学の片隅で行うごくごく少人数の勉強会にしてはなかなか贅沢なプログラムを組めたのではないかと思っている。エヘン
というわけで、かなりニッチですが、もしこのブログを読まれている方でご興味がおありの方は、info@mcdn.jpまでご参加登録もしくはお問い合わせしてみてくださいませ。
※ ※ ※
第一回MCDN定期勉強会 ITを使った美術館教育を考える(1)
<概要>
ミュージアムにおけるWEB活用の中でも、美術館における大事なミッションとして常に重要視され続けている教育分野に関し、実際に研究・実践されている方々を招いての勉強会を行います。第一回となる今回は、ニューヨーク大学大学院、コロンビア大学院で美術館運営学・美術教育学を修め、コロンビア大学院、慶応義塾大学で教鞭をとられている大髙幸さんにお越しいただく他、グッゲンハイム美術館の教育部門アソシエイト・ディレクターのSharon Vatskyさんにもビデオ出演していただき、グッゲンハイム美術館の実例などを紹介していただきます。第一回であることも踏まえ、「美術館教育とは何か」というところから、代表的なWEBを使った事例まで幅広く取り上げていきます。
少人数にて専門性の高いレクチャー、議論を予定しておりますが、美術館職員の方や研究職以外でも、美術館教育や美術館でのWEB活用にご興味をお持ちのお方であればどなたでもご参加可能です。なお、終了後は中国料理店にて懇親会(夕食)を予定しておりますので、そちらもふるってご参加ください。
MCDNでは本勉強会をMCDNの活動の根幹を成すものとして考えており、2ヶ月の1回のペースで実施していく予定です。
■日程:8月28日(土)13:30~16:30 懇親会 17:00~
■場所:慶応義塾大学 三田キャンパス ※詳細な場所は参加登録された方にメールでお伝えいたします。
■募集人員:20名
■会費:2,000円(配布資料 含)/懇親会 4,000円(中国飯店三田店 予定)
■参加申し込み方法:info@mcdn.jp まで、下記事項をご記入の上「8/28勉強会参加希望」のタイトルでご応募ください。応募締切8/25(水)まで。
・お名前
・メール・アドレス
・ご所属
・懇親会への参加・不参加
■主催 Museum Career Development Network
■取材協力 New York Art Beat (http://www.nyartbeat.com/)
■プログラム
・13:30~13:40
MCDN勉強会の趣旨と本日のプログラムの説明
・13:40~14:50
【第一部 「ミュージアム・エデュケーションってそもそも何?」(仮) 大髙幸】
主にアメリカにおける美術館教育の理念と実践についてのレクチャー。
美術館教育研究に長い間携わり、美術館でのインターン経験も豊富な大髙氏が、高度に専門化されているアメリカの美術館教育事情の実態をお話いただきます。
レクチャー終了後、質疑応答・ディスカッションを予定しています。
・14:50~15:00
休憩
・15:00~16:30
【第二部その1 「グッゲンハイム美術館における教育プログラム」 Sharon Vatsky(ビデオ出演・録画)】
グッゲンハイム美術館は、近年館内における教育部門のポジションが非常に高い美術館であり、また、現在行われているYouTubeとの連携プロジェクト、昨年行われたGoogleとの企画等、IT企業との協業が盛んなことでも有名です。
本レクチャーでは、教育部門のアソシエイト・ディレクターであるSharon Vatskyさんに、グッゲンハイム美術館において何故教育部門が重要なのか、どういった視点で企画が行われいてるか、実際どういったプログラムを開発しているかなどを語っていただく予定です。
【第二部その2 「WEBを使った教育プログラム事例紹介とディスカッション」 岩渕潤子(MCDN)】
Sharon Vatskyさんのビデオ・レクチャーに続いては、MCDN岩渕より世界の美術館におけるWEBを使った教育プログラムの事例紹介をいくつか行います。
そして最後に、大髙氏やVatsky氏のレクチャー内容もふまえ、背景や環境の違う日本で、いかに美術館教育を実践していくかをディスカッションしていきます。
■講師プロフィール
大髙幸
1997 年慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業、ニューヨーク大学大学院美術館運営学専攻修士課程(フルブライト留学生)、コロンビア大学大学院(Teachers College)美術・美術教育博士課程で美術館における教育を学ぶ。教育学博士(Ed. D.)。この間、グッゲンハイム美術館、メトロポリタン美術館などでインターンシップ。展覧会企画実施にも参画。2007年コロンビア大学大学院(Teachers College)美術・美術教育兼任助教授。2010年4月より慶應義塾大学文学部非常勤講師。刊行物『サイン・シンボル大図鑑』(共訳、近刊)など。
Sharon Vatsky
グッゲンハイム美術館教育/学校/家庭向けプログラムアソシエイト・ディレクター。ニューヨーク大学卒業、ニューヨーク州立大学オールバニ校、ハートフォード・アート・スクール修了。クイーンズ美術館の教育キュレーターを経た後、現職。現在、学校・教師・家庭向けプログラムの統括他、グッゲンハイム美術館ニューヨークおよびビルバオにおける展覧会の教材カリキュラム開発を監修している。また、美術教育のプロフェッショナルとして、ニューヨーク市立大学大学院とコロンビア大学院(Teachers College)にて教鞭をとっている。
岩渕潤子
カリフォルニア美術工芸大学卒業、同大大学院修了。ニューヨーク、ホイットニー 美術館に在籍後、フィレンツェ、ロンドンで研究活動を続ける。同時期に執筆、出版を開始し、著作多数。専門領域は美術館運営・管理研究、ミュージアム・インフォメーション・デザイン。2000年静岡文化芸術大学助教授、2004年慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構教授を経て、2009 年4月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。








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I want to communicate with you and see if we can help’m depremido, unemployed with no money .-
Luckily, Nacho