Kickstarter 成功/失敗データからみる「新しさ」

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さてー、今日も書きます!!
最近、書くスピード早くなってきた! すごいぞ! やっぱり文章も筋トレみたいなもんなんでしょうか。ぎゃんばる

前のエントリ

昨日は、ソーシャル・ファンディングにて「目標達成額以上の大成功」はしづらいと思われるアーティストだけど、めっちゃ資金を集めている例もありますよってことで、2つの事例をみてみました。

今回はまず、昨日紹介しそこねた最後の1例を紹介、その後成功プロジェクトと失敗プロジェクトの間にある差を簡単なデータを通してみることで、KS を通じた支援の「新しさ」に触れられればなと思います。

キャラで支援を集めた? 「アンチ・アート・スクール」女子の場合

大成功しちゃったアーティスト事例その3は $25,805 を集めたモリー・クラブアップル嬢(Molly Crabapple)。

Molly Crabapple’s Week in Hell

当初の目標額 $4,500 に比べ実に 573% の資金調達。圧倒的です。
しかし、彼女の場合は、前回あげたふたつの事例とちょっと傾向がちがいます。

このプロジェクトは、彼女が誕生日のお祝いとして、部屋を借りて5日間延々と壁に絵を描くというもの。彼女が見返りとして用意したものはこれです。

  • $1: 描いているところの非公開ライブ配信へのアクセス権(131名)
  • $5: ライブ配信アクセス権+壁に描いてほしい動物をリクエストできる&彼女がツイートする。(31名)
  • $20: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部(4×6インチ)(369名)
  • $50: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部(8×11インチ)(119名)
  • $100: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部/サイン付き(11×14インチ)(71名)
  • $200: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部/サイン付き/作品は早い者勝ち(11×14インチ)(17名)
  • $500: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部/サイン付き(18×24インチ)(0名)
  • $750: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部/サイン付き/好きなものを選べる(24×36インチ)(1名)
  • $1,000: ライブ配信アクセス権+仕上がった作品の一部/サイン付き/好きなものを選べる(24×36インチ)+モリー嬢とアブサン(?)ランチ(0名)
  • $10,000: ライブ配信アクセス権+壁全部/サイン付き/好きなものを選べる(24×36インチ)+モリー嬢とアブサン(?)ランチ(0名)

前の2つと明らかに違うのは、高額帯($500 以上)にほとんど支援がないこと。
皆さん、1,000ドル以上出してモリーさんとランチ(アブサン absinthe ランチってなんですか???)を食べる気はないみたいです(苦笑)。しかも作品の大きさも一番小さいのが一番人気で、記念程度にもらえればよいかってことなんでしょうか。たしかに、彼女はアーティストとしての業界的な評価はないに等しいと思います。

というか、彼女自身自分がアート・スクールの落ちこぼれであり、積極的に「Anti-Art-school」を標榜してるんですね。「Dr. Sketchy’s Anti Art School」というデッサンの場?も作って、世界中100都市以上にブランチを作ったりしています。(なんと東京にもあります!)オリジナル・グッズなんかも作っていてネット販売したりして、独自路線を積極的にいっている感じ。

なので、彼女の場合は、前エントリで紹介したブルー・スカラーとも共通しますが、もともと従来の権威へのアンチテーゼとなる活動をしていたという背景からくる納得感(利他主義)と、その話題にしやすいエキセントリックなキャラクタで支援を集めた例でしょう。

現に、CNN の動画から Wired、Mashable 等、メジャーな媒体に KS の典型的な事例として次々に取り上げられています。Mashable にいたっては、9月3日から8日に行われる「5日間耐久ドローイング」の取材に行くみたいです。

成功プロジェクトと失敗プロジェクトの間にある明らかな差

しかし、重要なことをこれから書きますが、彼女の例であっても、支援している人は「欲しいものが買えるから」支援しているのです。
けして、純粋に「かわいいな、がんばってるな、支援しよう」だけではないんです。彼女の場合は、支援している人が欲しいのは、1ドルからの「非公開ネット配信へのアクセス権」だと思います。まあ、結構媒体にも出ているし、ちょっとネタ的に見てみたいんでしょう。

観ないかもだけど、1ドルだったらいっか。
とりあえずアクセス権ゲットしとくか。
まあ、このあとどうなるかわからないし、作品の一部ぐらいもらっとくか。

そのぐらいの気持ちなんじゃないかと思う。
でも、きちんと彼女は彼女なりに(無意識的にも)「自分が提供できる価値」を支援の形をとって販売しているわけで、単純に「こんなことやりたい、支援して」ではないと思うのです。

なぜそういうことが言えるか。

実は、前回出した2つの事例とモリー嬢の事例は全然違う、と書いたけれども、共通点もあります。

それは、最終的な調達金額中における「購入率」の圧倒的な高さ。

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これはなにかっていうと、まず前提として KS は基本、プロジェクトを立てた側が提供する「見返り」を購入する形で支援を行います。が、実際に購入の手続きをとる中で、別に「見返りいらない」という選択も出来るんです。このプロジェクトや人を純粋に支援したいから、見返りで欲しいものは別にないけど寄付します、というもの。なので実際、各「見返り」購入額×人数を計算してたした全額と全体の調達金額には差がでます。差額が「寄付分」で、上で書いた「購入率」とは「見返り購入額」を「全体の調達金額」で割ったものです。

  • 全体の調達金額=(各見返り購入額×人数)+寄付額

そして、成功プロジェクトと失敗プロジェクトでは、購入率に大きな差があるようなんです。

ここに、2011年7月の「Fine Art」カテゴリの「Recommended」コーナーにピックアップされていたプロジェクト(だいたい常に30弱ぐらいのプロジェクトがピックアップされています)のデータがあります。

★Fine Art / Recommended のピックアップ・プロジェクトのうち成功したプロジェクト

  • プロジェクト数:22
  • 目標調達額合計:$134,350-(平均$6,107-)
  • 資金調達額合計:$195,631-(平均$8,892-) ※達成率 146%
  • 内、見返り購入額:$169,428-
  • 購入率:84%
  • 初回支援者率:49%

★Fine Art / Recommended のピックアップ・プロジェクトのうち失敗したプロジェクト

  • プロジェクト数:5
  • 目標調達額合計:$48,500-(平均$9,700-)
  • 資金調達額合計:$14,591-(平均$2,918-) ※達成率 30%
  • 内、見返り購入額:$9,227-
  • 購入率:63%
  • 初回支援者率:62%

限られたカテゴリひと月分しかみていないので(しかも、やはりレコメンド・コーナーにあるだけあって、失敗プロジェクトの比率がだいぶ小さいです)、これだけで判断できるものではないですが、でも購入率21%の差があるのは結構な差ですよね。

目標額を大きく上回るプロジェクトの購入率は驚異的!

でもって、前エントリでの2つのプロジェクト及び今日のエントリのモリー嬢のプロジェクトの実績をみてみるとこんな結果になります。

★ブルー・スカラーのプロジェクト

  • 資金調達額合計:$62,391-
  • 内、見返り購入額:$60,280-
  • 購入率:96.6%

★アリ・フラクター氏のプロジェクト

  • 資金調達額合計:$116,270-
  • 内、見返り購入額:$114,740-
  • 購入率:98.6%

★モリー・クラブアップル氏のプロジェクト

  • 資金調達額合計:$25,805-
  • 内、見返り購入額:$25,271-
  • 購入率:98.0%

・・・3プロジェクトとも、驚異の購入率じゃありませんか?( ゚д゚)

皆、支援という気持ちより何かを「手に入れている」んですね。それが何が何でも欲しいものである必要は必ずしもない。記念程度でもいいのかもしれない。でも、そういったものをきちんと提供できている人は KS で成功する確率が高い。

もうひとつのデータとして、上の成功プロジェクトと失敗プロジェクトのデータのところにしれっと「初回支援者率」と書きましたが、これはこのプロジェクト以前に KS で支援をしたことがない人の率です。つまり、「KS とか知らなかった、関心なかったけど今回初めて支援してみた人=プロジェクトを立てたクリエイター、アーティストの友人・知人・親・親戚関係が含まれる可能性が高くなる」と思います。
そしてやっぱり、データをみてわかるように失敗プロジェクト(62%)より成功プロジェクト(49%)の方が「KSリピーター」にちゃんと支援されているんですよね。ちなみに、ブルー・スカラーとアリ氏のプロジェクトは調べていないですが、モリーさんのプロジェクトの初回支援者率は20.4%!
ぎゃぎゃーーーん。ここでも驚異のリピーター支持ですね。

つまりまとめると、

  • 成功プロジェクトとは KS リピーターに続々と「購入」されているプロジェクト

ということ。

やっぱり、最初の KS エントリでも書いたように、やはり「KS で(買い物でもしているかのように)見ず知らずの人のプロジェクトに”支援”(という名の購入)をしている人たち」っていうのはいるんだなあ、、、
興味深い。
ここは必ずや取材をしたいところです。

110812_03

さて、今回も時間がなくなってまいりました。汗

今週KS関連の記事4つ書きましたが、
言いたいことは 100% 善意のみ、見返りいりません、な「寄付」でもなく、リターンがないと意味ないですよね?(キラーン)な「投資」でもない、わりと普通の消費欲でクリエイターやアーティストのプロジェクトに巻き込まれて”支援”をしている、そんな人々の存在を浮き彫りにしているのが、Kickstarter 及びクラウド・ファンディング・サービスの特徴だということ。そして私は、どちらかというと、そのこのサービスを成立させている「支援者側」の心理に関心があります。(もちろん、クリエイター側の変化もすごく関心があるんですが)

KS のネタもまだまだ山ほどあるし、もう少しちゃんと調べたりしてから書きたいことも山ほどあるので、性懲りも無くしばらく書いていきますが、次回はいったん KS から離れてみようかなー。
とはいえ、モリー嬢の事例からみえる問題点や、それに関係するとってもよいエントリとかもあって、それも書きたいんですが。ううう

というわけで、次回は15日(月)の22時にまた更新しまーす。

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