「ミュージアムがデジタル・オーディエンスにリーチする5つの方法」

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前回エントリでは「デジタル・オーディエンス」とはなんぞやというところを書いてみました。

まあ、いろいろ書きましたが、結局のところ「みんな、ネット上でつながりたくって必死」ということなのだと思います。

難しいこと言わなくても、普通に考えてファン、もしくはファンになってくれそうな人たちとは、できるだけ多く接点があった方がよいわけです。合う回数が多い人の方が好きになってくれる可能性も高いって話もありますし(適当)。わかりやすいのは、クラシックやオペラ、バレエなどシーズンのオン・オフがはっきりしているもの(あ、スポーツもそうですね)じゃないかなと思うのですが、オフシーズンにどれだけ関係を保ってネクスト・シーズンにつなげるかは、別にネットが登場する前からの懸案事項だったと思います。

それが、ネットが出てくることで、非常に関係を築き易くなった、かつ、その手法が比べ物にならないほど多様になった。

だから、「デジタル・オーディエンス」とどう関係作りしていくかは、とても関心が高いことなのだと思います。

今回はじゃあ、どうやって関係をつくっていくのか、という話のさわりとして、前エントリでも少し触れた8月11日の Mashable の記事 “ミュージアムがデジタル・オーディエンスにリーチする5つの方法(5 Ways Museums Are Reaching Digital Audiences)”を紹介したいと思います。

ミュージアムがソーシャル・メディアを使う最大の理由

かつてサンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)でソーシャル・メディア活用を推進していた Ian Padgham は言う。

「2009年、ミュージアムはソーシャル・メディアに群がり始めた。そして、当初はイベントや展覧会の告知としてしか使っていなかったものの、すぐにインタラクティブな試みや人々が作りだすコンテンツ(UGC)の世界に飛び込んでいったのである」(記事内より、訳適当)

以下、早速 Mashable の記事に出ていた「5つの方法」を簡単にまとめてみます。(私の言葉も入っており、訳ではありません)

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(1)オープンな対話

なぜ、ミュージアムがソーシャル・メディアを活用するのか?
その最大の理由は「関係作り」にある。

ソーシャル・メディアを通じてオーディエンスとの対話を積極的に行うことが、関係を作り出すためにとても重要になっている。オーディエンスが何を感じているかを知り、彼らから発せられる疑問や意見に対し舞台裏を明かしながら対話していくことは、新たなミュージアムの責任になりつつある。(たとえばグッゲンハイム美術館では、美術館のソーシャル・メディア・アカウントを通じてくる発言にはすべて応えているという)

(2)今まであった「壁」を壊す

たとえば、2011年のスーパーボウルの時、ニューオリンズ美術館やインディアナポリス美術館はツイッター上で賭けをした。

たとえば、SFMoMA は、地元の野球チーム、サンフランシスコジャイアンツのプレイオフの日、美術館ロゴをジャイアンツ風に変え、こんなふうにツイートした。
「グラフィックチームに殺されるのはわかってる。でも、Go Giants!」

……ジャイアンツとメジャーリーグ(MLB)はこのツイートをリツイートした。

美術館の存在をどのように位置づけるか?
これらのなんてことのないツイートたちは、美術館が自分たちを街、地域に結び付け、アートという枠を超えその街の人たちと関係を結ぼうとしていることが伺われる。

「いまや SFMoMA は『行くところ』ではない。アートはその地域のスピリットの一部になり得るのだ」

Ian Padgham

逆に、地域を越え、世界中に声をかけネットワークを作っていく事例もある。
たとえば、昨年 Youtube を通じて動画を集め、世界中の人にみてもらい、優秀なものを展示するという「Youtube Play」という企画を行ったグッゲンハイム美術館。ニューヨークにあるこの美術館は来館者中70%が国外からの訪問であるという。

他、毎週Facebookで「この作品の場所はどこだ?」というクイズを出しているニューヨーク市ミュージアムの事例など、意図、手法は館のミッションや方針によって違えども、ミュージアムと人々の間での今までにない関わり方の例はやまほどある。

(3)情報を収集、発信する人(Cultural Aggregator)たちの出現

今、ネット上には際限なく情報があふれている。
そんな時重要なのは、有用な情報を自分の目で選りすぐって紹介してくれる人たち。彼らは新しい世代のセレブになる。

ミュージアムの世界では、@MuseumNerd さんが有名

ちなみに、記事内で書かれているのはこれだけ。
なので、「で?」という感じも否めません(笑)。
「ミュージアムがデジタル・オーディエンスにリーチ」するためには、こういったアグリゲータの人たちとどういう関係を結んでいくのか、もしくは自分たちもその役割をになっていくのかと思います。

ミュージアムに足を運べる人にも運べない人にも

(4)モバイルの活用

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いまや、ミュージアム内であれ、ケータイ、スマホの電源をきる人はいない。
そうであれば、禁止するのではなく、展覧会やミュージアム内での行動にモバイル・メディアを入れ込んでしまおう。制作コストや期間がかかった専用端末によるオーディオ・ガイドすらもう必要ではなく、Speaktour を使えば簡単にモバイルでのガイド・ツアーが制作できてしまう。

もっと積極的に、今風(?)に使っていきたければ位置情報とチャレンジを結びつけた(つまり、A という場所に行けばそこで課題が提示され、それをクリアすることで何かを獲得することができる)ゲームをこれまた簡単に作ることができる SCVNGR を使った代替現実ゲームを提供したり、

もっとカジュアルに foursquare 等を使ってミュージアムでチェックインした人にはなんらかの特典をあげるといった試みでもいい。

  • 例:ペン・ミュージアムでは foursquare を利用して、夏の間、17時以降の来館者先着10名にフリー・ドリンクを提供した

みんなが持っているモバイルを使うことで、さらに経験を拡張させてしまいましょうということ。館内での写真撮影に関する議論は前からあるけれど、撮影禁止はナンセンスだという論調はますます増えそうな気がしますね。(もちろん難色を示している人も多いが)

(5)デジタル・ミュージアム

呼んで字の如し、ネット上で楽しめるミュージアム。ちょっとこのへんは既に、「昔」っぽい感じがする。まあ今年2月から始まった Google Art Project の例もあって、あれはたしかに今ならではの新しい経験だった。
この記事で例に出されていたのは以下

誰もがつながろうとするする時代に「どうつながるか」

以上、ざざーっと記事の概要を紹介してみました。

個人的には、ちょっといろんな要素が混在して「5つの方法」とするには乱暴なところもある記事かな? と書きながらも思いましたが(汗)、
まあ、まとめると

  • 組織といえどもひとつの人格として
  • ソーシャル・メディアを通じてひとりひとりと関係を結んでいき
  • アグリゲーターとなる人たちとは積極的に関係を結びつつ、自分たちもその視点をもつ

さらに

  • 来館者であれ、来館できない人たちであれ、モバイル、PCを通じて経験の拡張を行う

つまり、デジタルを通じて対話と経験拡張のループを作っていくことで、常に関係の構築を行っていく、という感じでしょうか。
昨日のエントリで紹介した報告書のまとめにもつながってくる話ですね。

さて、今日は時間が少なくてちょいと手を抜いた記事紹介となりましたが^^;、
次回はもうちょっと私個人の考えもふまえ、事例とかも突っ込んで書きたいと思います。

上の記事でも書いているとおり、既に情報量は人間のキャパをとうに超えています。これからもさらに増えるでしょう。今後さらに、ネットを通じてあまたの組織、個人が「せいの」で自分たちのことを言い合うような、そんな世界に加速がかかると思います。

そうなってくると、「つながる」だけでなく「いかにつながるか」はとても重要になると思うんです。

そんなところを考えて見たいと思います。

とはいえ、最近Twitter などで Kickstarter 系へのコメントがきて思うところあったり、それ系のワードで検索ひっかかってきている人も増えているので、そちらも書きたい欲が出てきていたり^^
どうしよっかなあ。今週いっぱいはソーシャル・メディア×アートな話題で、来週またクラウド・ファンディングの話をかこうかしら。

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