【報告書紹介】「オンラインでの資金調達―アートのためのソーシャル・メディア・ファンドレイジング」

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今週はクラウド・ファンディングの話を書いていこうと思ってましたが、昨日のエントリを書いた時点でいろいろと調べたいことや読みたい本が出てきたので、ブログ書く時間はちょっとそちらに時間を割こうかなと思います。

なので、今週後半このブログのテーマに関わる報告書、まとめ等をいくつかピックアップしてみようかなーと。はい、ちょい手抜きエントリですスミマセン(汗) でも、この分野のこういったレポートはまだ貴重だったりするのと、基本的に1年以内のものをピックアップしますので、得られることは有用かと思いますー。

まずは、流れ的に?アート系組織のオンラインでの資金調達、、ということでイギリスの Arts & Business が昨年出したレポート “Fundraising online – Social media fundraising for the arts” をご紹介します。
これは、アート系組織におけるソーシャル・メディア(ネット)を通じた資金調達の必要性とヒントについて書かれたもので、当然のように Kickstarter などのクラウド・ファンディング・サービスの勃興等にも触れられています。ちなみに、『アート/エンタメにおける「デジタル・オーディエンス」とは』で紹介した “Digital audiences ? engagement with arts and culture online” を出しているところと同じ団体が出しているものなので、こちらのレポートともつながるところがあると思います。

以下、基本的に報告書の内容を追っていきますが、エッセンスをピックアップして紹介したものであり、英語訳などはすべて私の超・意訳、適宜適当な文章の挿入、かつ大幅に編集しています。
詳細、及び正確な情報、記述を確認されたい方は元資料をご参照ください。

イントロダクション

★ソーシャル・メディアのインパクト

  • イギリスでは 63% の大人がネット上でなんらかの支払いをしている。
  • ソーシャル・メディアからの訪問者は、普通の訪問者の10倍以上買い物をする。
  • インターネット人口の70%は見知らぬ人からのオンラインでのレコメンドを信用する

――いまや、多くの人々がオンラインで購入や支払をしている。そう考えると、オンライン上の寄付には大きな可能性があるに違いない。実際アメリカでは、ネットを通じての寄付は、2009年から2010年にかけて 23% 増加した※1

アート/エンタメ分野に目を移してみても、ソーシャル・メディアのインパクトは大きい。インターネットユーザーの65%が文化的活動の情報をオンラインでシェアしており、53%が文化的イベント、団体を見つけるためにアクティブにソーシャル・メディアを使っている。

★資金調達への新しいコミュニケーション

そもそも、ベビーブーマー以降の人たちは伝統的な組織やメディアを信用しておらず、もっとパーソナルなネットワークを重視している。そして、より知識があり、自分の目で確かめ、要求も高い。現在、何かの資金調達をしようとする人たちはこのような世代とコミュニケーションしていかなければいけないのだ。

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ここで、資金調達のプロフェッショナル Bryan Miller 氏によるこれからの資金調達のモットーを紹介しておこう。

「人々が関心あることを邪魔しないこと。人々が関心あること自体になること」

これを達成するには、ソーシャルメディアの役割がとても重要になる。

つまり、いまや、ソーシャル・メディア、及びソーシャル・メディアとその他のメディアとのクロス・プロモーション戦略は必須であると言えるだろう。

アート機関とソーシャル・メディアによる資金調達

★アートとソーシャル・メディアの親和性

とはいえ、ソーシャル・メディアによる資金調達も、伝統的な資金調達手法から大きく離れるものではない。アプローチ方法を少々変える必要があるツールというだけである。寄付してくれる人とアート機関の個人的なつながりをもっと強化してくれる追加ツールと捉えればいいだろう。

しかも、元々アート/エンタテイメントというのは、特にマス・メディアが現れる前はとてもインタラクティブなものであったのだから親和性が高いとも言える。ソーシャル・メディアによる資金調達に要求されるものとは、「クリエイティブなやりとり」「創造的な心」「納得感のあるコミュニケーション」・・・これらはすでにアート機関にあるものだ。

また、ソーシャル・メディアはグローバルにアクセスするというそもそもの意図の一方で、地域の活動やオーディエンスにアクセスするプラットフォームになっている。ニッチなグループはすでにオンラインに存在しており、それをみつけることが重要。「人々が関心をもっているものになる」時、ソーシャルメディアは既に活動に関心を示している熱狂的な見込みドナーとオーディエンスを縁を結ぶ理想的なプラットフォームを提供する。ソーシャル・メディアをうまく活用すれば、アート機関がオフラインでパワフルに形成しているオーディエンスを可視化、拡大する役割を果たすだろう。

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★続々と増える資金調達用オンライン・サービス

また、アート機関がソーシャル・メディアを活用すべきもうひとつの理由は、多くが無料、もしくは安いコストでできること。団体の大小関係なく、同様のチャンスがある。(唯一必要なのは、スタッフの時間だろう)今は、Kickstater のようなクリエイティブに特化したものも含め、200以上のオンライン寄付サービスがある。これらのほとんどは手数料ゼロかあってもそれほど高いものではない。無料のトレーニングやオンライン・アドバイスを提供しているものすらある。

NPO向けのサービスでもっとも知られているアプリは Facebook CausesJustGiving app など※2

★統合プロモーションの重要性

戦略を立てる際は、資金調達、ブランディング、オーディエンス調査、マーケティング、寄付者のケア等の活動とソーシャル・メディアを統合させることが必要である。最終的にソーシャル・メディアは、組織にとって彼等のメッセージを伝えるための手段となる。個々と関係を築くこととや組織内にひきこむことは、個人からの寄付を募る基本的な一歩である。

※なお、ウェブサイトのアクセス数や、ツイッターのフォロワー数、FBグループのメンバー数などを気にしすぎることは、バケツをもって繁華街にたっていることと同じである――多くの人があなたとバケツをみるかもしれないが、ほとんどが通り過ぎていくのだ。「バケツ」は資金調達のよい方法ではない。人々が立ち止まってくれるかどうかは、「バケツをみたこと」ということではなく、彼らがあなたたち自身やもたらされる経験を「知っている」か次第なのである。

また、ほとんどの場合、アート/エンタメセクターへの寄付は緊急課題ではない。アートへの寄付者は、しばしばその機関との関係の長さやクリエイティビティへの評価から寄付をする。なので、アート機関全体への絆づくりと、納得感のあるコミュニケーションはとても重要なのだ。人々に対しては、寄付の仕方を教えるのと同時に、(それがなければ寄付をしようと思わなかったであろう)「物語」を提供することが必要なのだ。

それらを可能にするためにも、アート機関のスタッフ(マーケッター、イベント・マネージャー、資金調達担当者等)は、情報を提供する際に同一機関の別の部署からさまざまなお知らせを出すことがないよう、コミュニケーションを統合する必要がある。(内部の組織や境界は人々には関係のないことである)ソーシャル・メディアはアート機関がひとつの「物語」を語るプラットフォームを与え、人々の関係を深めることができるだろう。その結果、寄付してもらえるかもしれないのだ。

ソーシャル・メディアを使った資金調達のための 5 つのヒント

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  • Step 1:Facebook グループなどに資金調達プロジェクトに関するページ、プラットフォームを作る。ツイッターなどにそのページへの入り口をもうける。また、Youtube や Flickr には、「物語」を肉付けしていくような、動画、写真をアップしていく。
  • Step 2:上記のページに、オンラインの寄付プラットフォーム、フォーラム、友達へのレコメンドなどをリンクする
  • Step 3:他、メーリング・リスト等含め、それを読んだ時にすぐにアクションに移ることができるよう、すべてのコミュニケーションには寄付ページへのリンクをはりつける。

2. オフライン、オンライン両方で関係づくりに投資する

アート機関に関して、「誇り」と「所属」を感じられなかったら、人々はオフライン、オンラインに関らず寄付しようとは思わない。

  • Step 1:現場で起こっていることをオンラインではっきりと伝える。対面、オンライン、そして(たぶんもっとも重要なのは)ふたつをつなげるところで、物語とポジティブな進展を伝える。
  • Step 2:最近の寄付者や支援者を把握し、彼らの役割を明確にし、熱意を評価する。たとえば、彼らが参加できるアクションは何のイベントかなど
  • Step 3:人々がウェブにアクセスしたら、理想的には寄付ページには 1~2クリックで到達するようにしたい。しかし、押し付けがましいお願いで「寄付疲労」させてはいけない。金銭的貢献に加え、組織を助けるほかの方法があることをクリアにすること。たとえば、ボランティアやソーシャル・メディアでの友人へのレコメンドなど。

3. 誰に話しているのか、何について話しているのか、あるいは聞いているいるのかを知る

ネットワーク社会におけるコミュニケーションとは、あなたの組織のメッセージを大きい集団に伝えることではなく、支援してくれる見込みの高い人々と話し、彼らとつながりを作るための文脈を見つけることである。
ソーシャル・メディアによって、既にあなたの組織に関心をもっているニッチなコミュニティを見つけることが可能である。

課題は、これらのグループを見つけ、会話に参加することで、あなたが所属する組織の意見やニュース、物語、リンク等を提供することである。
そして、これから支援してくれるかもしれないこれらのグループにいる人々が話すことを聴くこと。
聴くことは、ソーシャル・メディア管理に必要なもっとも重要な機能のひとつである。

  • Step 1:ツイッター・フォロワーの中で何のトピックが重要かをチェックする。また、Google Analytics 等を利用してどのウェブサイトからあなたのサイトを参照しているかなどを調査する
  • Step 2:ソーシャル・メディアに書かれたコメントやレビューに返信やフォローをする。そうすれば、人々はあなたの組織がコミュニケーションを積極的にとろうとしていることがわかるだろう。ただし、「組織の声」ではなく個人的なやりとりとしてコメントしていくこと。

4. ウェブの「オープンソース」という特徴を認める

ソーシャル・メディアは、今までのコントロールできる一方通行のコミュニケーションと違い、人々のコミュニケーションの渦に巻き込まれるコミュニケーションが向いているメディアである。このオープンなアプローチは非常に困難に聞こえるかもしれないが、簡単に人々と対話したり、共有することを可能にするものだ。アート組織は、よりアクティブに絆を結ぼうとしているモチベーション高い人々を迎え入れることができるのだから、シェアと信用の文化を創ること。そのカルチャーの中でのインタラクティブなプロセスが、未来の資金調達の道をひらき、新しい世代を巻き込むことができる。

5. 恐れない

インターネットの成長は否定できない。

オンラインを通じての平均的な寄付者は、気前よく、従来の典型的な寄付者より若い者が多くなるといわれている。支援してくれるかもしれない潜在層とより強い関係を結ぶために、デジタルとソーシャルな機会を利用すること。これは新しい領域なのだから、恐れずに実験し、フィードバックと支援をもらおう。

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ざざっと要点だけみていきましたが、いかがだったでしょうか。
最後の「怖れない」というのは、アート×ソーシャル・メディアな tips では必ず最後に出てくる文言だったりします。。まあ、ソーシャル・メディア活用って金銭的なハードルは非常に低いので、結局はそこだったりするのですよね。

さて、「海外記事紹介という名の若干手抜きエントリ期間(^^;)」明日は、アート×ITな最近のトレンドと事例を紹介するエントリにしようかと思ってますー。

※1:The Blackbaud Index of Online Giving

※1:これらのアプリはまだ不勉強。。Facebook Causes についてはこちらの記事などご参照ください
Facebookアプリ「Causes」で集まる海外からの支援
また、それ以外のアプリはこちらに紹介されているのでご参照あれ
5 Social Fundraising Alternatives to Facebook Causes

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