「世の中を変える広告」を皆で出稿しよう――LoudSauce.com

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on TumblrShare on Google+Email this to someone

※2015 年 1 月注:このエントリで取り上げているサイトは、現在 louder という名前の別サービスになり、キャンペーン・ページもクローズされています。

昨日は「明日はアート×ITな最近のトレンドと事例を紹介するエントリにしようかと思ってますー」などと書きましたが、その後人と話してていろいろヒントをもらったので、またちょっとWEBでの資金調達=クラウド・ファンディングについてエントリします。

今回は、Kickstarter からちょっと離れ、面白いクラウド・ファンディング・サービスを紹介しつつ、なぜ今までの資金調達ではなく、クラウド・ファンディングなのか? その圧倒的な違いとは? などについて考えるきっかけを書いていこうかと。

社会貢献キャンペーンの広告出稿代を WEB で集める!

当たり前ですが、WEB上で少額の支援を多くの人から集めるクラウド・ファンディング・サービスは、クリエイター/アーティスト分野に限らず山のようにあります。昨日紹介した報告書によると、Kickstarter のようなオンラインの寄付プラットフォームは 200 以上あるそうです。(2010年末時点)日本でだって、いろいろ登場しています。

いつかまとめてみようかとも思ってますが、
その中でも、最近知って、めっちゃおもろいなーーーーと思ったのがコレ。

これ、どういうサイトかというと、社会貢献活動団体が広告出稿するための出稿代をみんなから集めるというプラットフォームなんです。α版がスタートしたのが2010年の11月。

Background & Vision from LoudSauce on Vimeo.

LoudSauce 側はこのサービスのヴィジョンを「広告メディアを消費活動に駆り立てるものから、市民参加のメディアに変えること」とし、従来の営利目的の広告の中に、「意味ある変化」を促すキャンペーン広告や意見広告、そういったものをどんどん入れていくことをやろうとしています。

基本的な仕組みは Kickstarter などと同様で(プロジェクト・ページのフォーマットもほぼ同じ)、私たちがその活動内容や解決したい課題をみて「いいな」と思ったプロジェクトに対し、任意の金額をWEB上で支払います。その際に、やはりプロジェクト側から、支援額ごとに「見返り」が設定されていて、だいたいはその「見返り」を購入するという形での支援になる。

事例として、最近一番成功したっぽいプロジェクトをピックアップしてみます※1

  • Join 350.org and Ask Scott Brown: Which Side Are You On?

305.org という環境問題に関する活動を行っている団体のキャンペーンです。

だいたい、どのプロジェクトでも「課題」「解決策」「広告、メッセージ案」が企画者の方から提示されていますが、このプロジェクトの場合はこんな感じ。

  • 課題:先日(4月6日)、共和党の上院議員スコット・ブラウン氏は、大気浄化法(Clear Air Act)の実効力を低下させる票決を下した。実は昨年、ある(環境汚染に加担ている)エネルギー会社と関連会社は、彼のキャンペーンのために190万ドル以上の支援をしている。彼は私たちのために働いているのか? それとも環境汚染会社のために働いているのか?
  • 解決策:ブラウン氏のメイン・オフィスがあるボストンの街中に彼に対する意見広告をはろう。彼に対し、私たちがきちんとやり方、動向をチェックしていること、それが投票に反映すること、そして彼が私たちではなく環境汚染会社の味方になったことを忘れずにいることを知らせよう。
  • 広告案:下記をボストンの地下鉄の駅に2枚セットで貼る。
Citizen Funded Ad for Boston Train Stations / 350.org

Citizen Funded Ad for Boston Train Stations / 350.org

※右下に、このプロジェクトに支援した人たちの顔写真が掲載されている
Creative Commons License
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.0 Generic License.

このプロジェクトの支援に対し用意されている「見返り」は下記のとおり。

  • $35:本キャンペーンのバンパー・ステッカー
  • $100:広告に顔写真掲載
  • $350:350.org のグッズセット(Tシャツ、ステッカー等)

既に調達期間は終了しており、$6,000 目標のところ、250名から $9,967 集めています。

集めたお金はすべて広告出稿に使われるようで(でも、ものすごくいっぱい集まった時どうするんでしょうねー?)、LoudSauce の方では出稿料のディスカウントといった交渉までやって、手数料として10%をとるそうです。

同じ企画を新聞で告知していたら……?

まー、これはサービスの発想自体がユニークだし、説得力があります。

重要な問題提起や素晴らしい発想がつまったキャンペーンを日々企画しながらも、大掛かりな宣伝活動をできるほど潤沢な資金がなく、その影響力にどうしても制限がかかってしまう社会貢献活動団体
かたや、毎日大量の広告の波に無意識下にうんざりしている人々

後者に対し、「生活しているとどうしても目に付いてしまう広告スペースならば、世の中を変えるような広告で埋めようよ!」と呼びかけることで、前者に(今まで届かなかったような人々にメッセージを伝えるという)新たな可能性とパワーを与える。

さらにいえば、屋外広告(特に限定はしておらずTV広告とかも大丈夫なんですが、今あるプロジェクトはだいたい屋外広告への出稿を想定しているみたい)という、申し訳ないですが「今、出稿少ないんだろうな~」「安いんだろうな~」という広告メディアの起死回生案?そこまではいかないかもですが、とにかくそういう広告メディア側の事情の解決となっているのも面白い。

はっきりいって、屋外広告出してもいまや効果ないと思うんです。だからお決まりの企業が出すか、安くタタキ売ってもなかなか出稿が決まらない、そんな事情なのではないかと、東京の中心街のビルボード看板が空白になっているのを見るにつけ思います。

でも、この方式でやれば、まず新たな広告主が開拓されます。
さらに、社会貢献活動キャンペーンを広告出稿するために皆で頑張った、、的なストーリーがつくと、見事調達し広告が出稿した暁には「やったぜ」とばかりに皆が集まる「場所」になる。そうすればニュースにもなる。

Boston bike rally to call out Scott Brown 7-7-2011 / 350.org

Boston bike rally to call out Scott Brown 7-7-2011 / 350.org

Creative Commons License
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.0 Generic License.

実は、このブラウン氏への広告は、ボストンの地下鉄組合みたいなところにより禁止されたそうです。

この後どうなったか、またこういう場合集めたお金等はどうなるかまでは調べていないですが、ここまで”騒動”になれば「広告出稿」をキーとした彼らの主義主張の一大 PR、プロモーションですよね※2

さて!

本題はここからなんです。
けして、LoudSauce の話をくどくどと書きたかったのではありません。(十分書いたけど)

私、このサイト見つけた時、おもしれー、ちょっとやってみたいわー、と反射的に思いました。

では、同じ企画(社会貢献活動団体が広告出稿するための寄付)を、たとえば新聞のPR欄で告知をしたらどうでしょう? もしくは、DM などがきたらどうでしょう?

よほどのことがないかぎり、関心も沸かず、支援などこれっぽっちも考えないと思います。

これはあくまで私の感覚の話ですが、
それならばなぜ私は、LoudSauce 経由だったら関心を持ち「やってみたいかも」とまで思ったのに対し、新聞やDMでのPRではちっとも心が動かなかったのでしょうか。

この気持ちを見ていけば、(LoudSauce だけでなく)クラウド・ファンディング・サービス自体の資金調達手法としての優位性を考えるヒントが出てくるかもしれません。

というわけで、まさにそれを書いていくことが本題だったのですが、相変わらず時間ぎれとなり、今日はここまでです(笑)。
まあ、面白いサービスが紹介できたからよしとしよう。

明日のエントリに続きます!

※1:今はまだα版?ということで、サイトには4つしかプロジェクトがありませんが。

※2:シビアなことを言えば、広告を出したり、騒動になったところで、彼らの主義主張が無視できなくなり政治を変えるほどのインパクトを持つかどうかは別課題として歴然とあります。Kickstarter の一連のエントリでも書いた「一回資金調達して制作したところで、それだけ?」の話にもつながる。おそらく、こういう種類の話をする時はいつもついてまわる課題ですが、まあ、このエントリではそこまでは言及しません。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on TumblrShare on Google+Email this to someone
記事トップに戻る

コメントは停止中です。