「こちら側」が見えないと人は動かない:クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い(2)

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前回エントリ「クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い」では、

  • 新聞や DM 等従来の広告、お知らせでしる寄付、支援要請はスルーしてしまうのに
  • クラウド・ファンディング・サービスだとちょっと面白いなと足をとめてしまうものもあるのは何故だろう?

という疑問に対し、

  • クラウド・ファンディング・サービスと従来の寄付では、プロセスにおける支援する側の心理がまったく違うこと
  • そのキーワードは、「購入プロセスによる権利意識の発生」と「ゲーム性」によって”自分ごと”になるからではないか

と推測してみました。

今日はその補足というか、こんな理由もあるんじゃないかなーというのをもひとつ書いておこうと思います。

「社会運動はどうやって起こすか」

ここでひとつ、私が大好きな動画を紹介します。

フェスティバル会場らしき芝生の上で音楽にあわせて上半身裸短パン姿で踊りだす一人の青年(笑)。まわりにいる人は遠巻きに観ていますが、19秒頃変化が訪れます。

一緒に踊る人が現れた!!!

いやっほうー ( ´∀`)人(´∀` ) と二人で手をとり踊っていると、54秒頃にもう一人が加わります。

そして、転機は1分13秒に訪れる。
突然、複数の人たちが次から次に踊りの輪に加わりはじめるのです。ヽ(・∀・)ノ

その後は雪崩のごとく人が押しかけ、最後は踊る大集団になります(笑)。

私、この動画のハッピーな感じが大好きなんですねー^^
有名な動画だと思うので、ご存知だった方も多いと思いますが、さらにこの動画を有名にしたのが TED でのデレク・シバーズ(Derek Sivers)のこのスピーチです。3 分程度、日本語字幕ありなので是非みてみてください。

「社会運動はどうやって起こすか(How to start a movement)」。
このお題でのスピーチで、彼はダンシング・ガイの動画をみせたのです。そして、一人のダンシング・ガイが踊る大集団に化けるまでをなぞりながら、ひとつのアイディアが大きなムーブメントとなる際に必要な要素は何かを指摘しました。

では、彼は社会運動に必要なのは何だと指摘したのか?

それは、「最初のフォロワー」です。

最初に踊りだした”変人”はもちろん重要で偉大なのだが、私達は”変人”ばかり注目し、功績を評価している。
だが、「一人の変わり者をリーダーにしたのは最初のフォロワーなのである」とデレク氏は言います。

  • ”変人”がやっている奇妙なことに注目したこと
  • その仲間にえいやと入ったこと
  • そして、他の人たちを引き入れたこと(たしかに最初のフォロワー君は途中で招き入れるようなしぐさをしてます)

勇気ある「最初のフォロワー君」がいないと、ほとんどの人はたとえ”変人のダンス”を見たとしても、おっかないし意味不明だし入ることができない、入る気すらわかないわけです。でも、「大丈夫!」「楽しい!」を言ってくれる人がいるから、皆一歩が踏み出せる。そして、デレク氏曰く、最後は「その輪に入っていない方が変人扱いされるから、みんなこぞって輪に入ろうとする」。

やー、いろいろうまいですよねーーー。この動画からこのテーマ、かつ、ダンシング・ガイ本人ではなくフォロワーに注目するって視点がすごいなーと、みた当時感心したものです。

「自分たち側の人々」を可視化する

と、つい、動画の説明に熱心になってしまいましたが、「社会運動を起こすには最初のフォロワーが重要」というデレク氏の指摘は、クラウド・ファンディングと従来の寄付の話にもつながるのではないかと思います。

ほとんどの場合私達は、”変人のダンス”を見かけても彼と一緒に踊ることはない普通の人々です。
その中でも「実は関心があるけど勇気がない」場合と「そもそも関心がない」場合にわかれると思いますが、まずは前者の場合。

……なんかみんなでだまそうとしてるんちゃうか?
ほんとに彼らがいっているように私のお金(支援)は使われるのか?

そういうふうに思ってしまうのは人間の心理として当然のことだと思うし、だからこそ、中でやっている人はちゃんとしてる人ですよーというのを明らかにしたり、支援者のコメントを出したりするわけですね。

それでも、そんなのどれだけでも「操作」できてしまう。ということを私達は知っている。

ですから、支援を募る側がどれだけ「中の人の経歴」「支援者のコメント」をいっぱい準備しても、それもひっくるめて、支援を求められている側からしたらあちら側(支援募る側)」の人たちなのです。

デレク氏言うところの「最初のフォロワー君」は、スタンス的に「あちら側(変人側)」ではなく、踊ってはいるけれども「こちら側(私達といっしょ)」の人とみなされていることが大きなポイントだと思います。同時に、彼(最初のフォロワー君)の様子が「こちら側」から見えていることも同様にとても重要な点であると。

「大丈夫!」「楽しい!」を言う人は、こちら側」の(と私達が感じる)人でないと信用できないんです。でも、従来の寄付や支援の呼びかけ、募集は、「こちら側」の人々をみせようと思っても、誰をどう見せるかというのが「あちら側」のコントロール上にあるというメディアの特性上、不可能だったのだと思います。だから、パーティや会合等のフェイス・トゥ・フェイスのやりとりがとても重要なのだったのでしょう。

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対して、クラウド・ファンディング・サービスはどうか。
プロジェクト・ページを最初にみた時、いろいろと目に入ってくる情報がありますが、その中のひとつに「(現在までの)支援者数」があります。ついでにいえば、支援額ごとにどのくらいの人が支援しているかFacebook の「いいね!」数支援者からのコメントまでわかる。

もちろん、これも「あちら側」の人たちで仕込むこともできるわけだけど、実際の支援額支払いや、アマゾンペイメントに紐づいたアカウントの問題があるので、数をそろえるにも限度があります。なので、既に何十も支援を得ているものは「あ、『こちら側』の人も支援するようなプロジェクトなんだな」というのがわかるわけです。つまり「最初のフォロワー君」とその仲間たちが可視化されている。そうなると、支援へのハードルはぐっと低くなるのではないでしょうか。

そして、支援者数が何十単位の後半~何百単位になってくると、さらにデレク氏が言う「その輪に入っていない方が変人扱いされる」……は大げさかもだけど「輪に入っといたら面白そう」という状況に近い雰囲気が生まれてくるのかもしれない。そうすると、先程書いた「普通の人々」の後者「そもそも関心がない」人たちすら、ふと目をとまらせるもの、そんなプロジェクトになっていく可能性が高い。

従来の寄付の場合は、たとえ多くの支援者を集める強度があるものでも、それを可視化して皆に見せることハードルがとても高かったのだと思います。たとえば、新聞やTVに取材されるぐらいの求心力、ネタ性、「現象」っぽいものがないと、けして外に出ることはなかったでしょう。

以上、まとめてみます。

  • (ネットというのはそもそもなんでも可視化する性質があるのだが)クラウド・ファンディング・サービスにおいては、プロジェクトにおける「最初の(もしくは最初でなくても)フォロワー」を可視化するという機能があるということ
  • しかも、その存在が「見える」ことは、社会運動を起こすには非常に重要であること
  • にも関らず、今までの寄付、支援活動では見えづらかったこと

これらの点も、前回のエントリで書いた内容に加えて、クラウド・ファンディング・サービスの大きな利点であるといえるのではないか※1、というのが今回のエントリでした。
ちょっと今日は駆け足でしたが、まあ、いい動画を紹介できたのでよしとします(こんなん多いな笑)。

ちなみに今日、今までのクラウド・ファンディング系エントリで気づいた点などをツイッターでまとめてつぶやいてみたりしたのだけど、やっぱりクラウド・ファンディングって「今までの支援のシステムをただ WEB にもってきただけではない、もっと古くて新しいもの」というのが調査すればするほど強く感じるところで、そこを探りたいし、今後も書いていきたいなーと思うところです。
引き続きゴリゴリ気づいたところをこのブログで共有していきます。

と言いながら、明日は、全然別のことを書く予定です。ズコー
書きたいなあと思ってるネタがあるのですが、ちょっと、昔読んだ本を読み返したいので、準備に時間がかかりそうなのが心配。。無理そうだったら、別のに変える。
あと2日で8月も終わるのでがんばって更新します!

※1:もちろん、本当に支援している人がいるかどうかが可視化されてしまう、つまり「はったり」がきかなくなるということなので、支援を募る側としては「利点」とは言い切れないところがありますね^^; それに、逆ににぎわっているように見えるという「はったり」をきかすことも可能なので、それを見極めることはあいかわらず必要。

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