『入門クラウドファンディング』あとがき一部 & 収録されなかった章公開

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 明日 2 月 22 日(土)に、初の著書となります入門クラウドファンディング  スタートアップ、新規プロジェクト実現のための資金調達法が日本実業出版社から発売となります!

 目次に関してはこちらを見ていただければと思いますが、クラウド・ファンディングとは何か、その背景や市場状況、そして「購入型クラウド・ファンディング」で資金を集める仕組みとそのヒント、リスクなどについて、全体を概観する内容となっています。

 で、せっかくなので、このタイミングでふたつ文章を公開します。

  • その 1. 本書のあとがきの一部

      そもそも私は、大学は文学部美学美術史学専攻、仕事は WEB の編集、マーケティングや事業開発を、大学院では芸術団体とデジタル活用を研究していたので、金融や資金調達についてはまったくの素人です。関心もありませんでした。なのになぜここまで「クラウド・ファンディング」にはぴんと来るものがあったのか。
     本を書き終えてみて、その理由は「クラウド・ファンディングの精神」なのだと気づきました。そして、「アート好きで文学部出身の私」にとってクラウド・ファンディングの分野で究極的に伝えたいこと、やはりそれも「クラウド・ファンディングの精神」のことなのだと。そのことをあとがきでほんの少し触れましたので、「本書で一番言いたかったこと」としてその部分を下記に公開します。

  • その 2. 本書に掲載できなかった幻の最終章「クラウドファンディングが扱う『お金』とは」

      「お金には二種類ある」というミヒャエル・エンデの言葉を発端に、そもそも「貨幣」とはなぜ生まれ、どのような機能をもっていたのか。それがどのように変化し「二種類のお金」になっていったのか。そして、その視点で見た時「クラウド・ファンディング」の隠れた可能性がみえるのではないか、ということをつらつらと書いたコラム。もともと最終章の予定でしたが、最終的にカットになったところです。
     あくまで私見ですので研究以前の「こんなことを考えた」レベルの文章ですが、こちらも「クラウド・ファンディングの精神」をより知っていくヒントとして、何かの端緒になればなと思い公開します。こちらからどうぞ!

 思い起こせば、ごくごく個人的な関心からクラウド・ファンディングについて本格的に調べ始めたのが 2011 年 6 月のこと。2 年半以上経って、本の形でまとめて発売できることが本当に嬉しいです。192 ページの薄い本ですし、足りない部分、拙い部分、もっとよく出来たなあと後悔している部分、、、既にいろいろありますが、ご関心ある方はぜひお手にとって見ていただければ幸いです。

以下、あとがきより抜粋です↓

クラウド・ファンディングの精神というもの(あとがきより)

 さまざまなデータを引っ張りだすまでもなく、クラウド・ファンディングは新しい資金調達手段として、今後日本含め世界でどんどん普及していくと思います。しかし、普及していけばいくほど、「一般の人々からお金を集める」という性格ゆえ、リスクが不安視されることも多くなっていくかもしれません。また、法改正などの環境要因や、トラブルひとつで、容易に岐路に立たされることも考えられます。そういう視点でみると「クラウド・ファンディング」という手法は、まだまだ非常に不安定なものに見えるかもしれません。ですから今後、リスクがある部分はしっかりと見極め、ルールを設けたり、啓蒙していくことは必要となるでしょうし、ぜひ実施するべきだと思っています。

 しかし、2 年半以上クラウド・ファンディングのことを自分なりに研究してみた感想として、今現在私は、クラウド・ファンディングの普及と浸透に対してわりと楽観的に捉えています。これからこの手法は拡大、浸透していくことこそあれど、けして縮小していくことはないだろうと。何故かと言うと、クラウド・ファンディングとは、システム・手法である同時に今人々が求め始めている「精神」であると感じるからです。

ART IS NOT ALWAYS HIGH

ART IS NOT ALWAYS HIGH

 クラウド・ファンディングの精神。キックスターターの創立者も「自分たちは思想に軸足をおいた(ideology-driven)ビジネスをやっている」と述べているとおり、クラウド・ファンディングとは資金調達の一手法ということを超えて「(何かに対峙したときの)ひとつの姿勢」も表しているのではないかと思います。その姿勢を表す最適な言葉を私はまだ見つけていませんが、あえて言葉にしてみるならば「シンプルで、健全で、誠実であろうとする」という姿勢です。

 究極のところ、クラウド・ファンディングにテクニックは通用しません。ズルが出来ないし、自分だけ利益を得ようと囲い込みを図る人は結局大きく調達することはできない。最終的に人を動かすのは、資金調達者がいかにそのプロジェクトをまっすぐにやりたいと思っているか、そしてその資金を得るためにどれだけ自分たちのことをオープンにし、誠意を持って人々と接しようとしているか、そういう上辺の言葉や小手先のテクニックでは繕えない「勇敢さ」であると思います。

 本書で紹介した事例を思い出してみてください。

  • 従来の業界構造に組み込まれることを拒否し、自分たちにも履く人にも嬉しいジーンズ販売の仕組みを構築しようとしている「ガスティン(Gustin)
  • 広告収入で運営できているにもかかわらず、あえて広告を掲載せずに読者からの支援でメディア運営が出来るか挑戦した「ペニー・アーケード(Penny Arcade)
  • 自分の作りたいゲームを待ち望んでいるファンたちにお金を払ってもらいながら、彼らと作り出していく、という理想のコミュニティを実現しつつある「スター・シティズン(Star Citizen)

 ――それぞれがまったく違う分野、方法ではありますが、どれも勇気を持って何かを捨て、一歩人々に歩み寄りながら新しい道を模索している人々であり、その姿勢に私自身心を動かされました。そして多くの人々も、そういう勇気ある人々に成功してほしい、と感じているのではないかと思います。

 クラウド・ファンディングは、勇気と情熱のある人々のアイデアを世の中に出すハードルを大きく下げ、さらにはそういった彼らへの支持を表明し、さまざまな関わり方で支援することを可能にする仕組みです。大量生産と大量消費というスタイルが立ち行かなくなっていることは、とうの昔に皆が気づいていることです。だから、「シンプル、健全、誠実」なビジネス――大きく言えば、生き方――は、今、多くの人々が求めているものだと感じています。ですから、もしも仮に「クラウド・ファンディング」という言葉がなくなることはあっても、その精神への支持は拡大・浸透こそすれ、なくなることはないと思うのです。

 チャップリンの『ライムライト』という映画の中で、このような台詞があります。

「人生は、恐れさえしなければ美しいものなんだ。
人生に必要な物、それは勇気、想像力、……そして少々のお金」

 クラウド・ファンディングの仕組みと精神に少し触れた今、私はこのように感じています。

クラウド・ファンディングとは、「勇気」と「想像力」で「少々のお金」を得ることである。

 まだまだ拙い論の多い本書ですが、一人でも多くの勇気と想像力のある人々のお役に立つことができれば、本当に嬉しいです。

『入門クラウドファンディング』

『入門クラウドファンディング』

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