世界一展覧会に行く国民、日本人!?~日本独自の鑑賞スタイル<その1>

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前々回のエントリで(「女性よ、恋人と劇場へ出かけよう!」)、
日本とアメリカの男性の芸術鑑賞頻度の違いについて書いてみましたが、
今日は、日本独特の展覧会での鑑賞スタイルについて、面白いデータがいくつかあったので紹介します。

観客動員数ランキングではこんなに強い!日本の展覧会

まず。
専門家の方以外は、結構意外に感じるかと思うんだけど、
日本の展覧会の観客動員数は、世界トップレベルなんです。

Art Newspaperというロンドンの専門紙が、毎年3月に発表している「世界展覧会観客動員数」のTOP5をここ数年分たどってみるとこんな感じ。

<2007年>

●No.1 「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」東京国立博物館(Tokyo)
●No.2 「大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産」国立新美術館(Tokyo)
●No.3 「大徳川展」東京国立博物館(Tokyo)
●No.4 「Richard Serra Sculpture: 40 Years」Museum of Modern Art(New York)
●No.5 「Masterpieces of French Painting from the Met」Museum of Fine Arts Houston(Houston)
※上記含め、10位以内に日本開催の美術展が4つランクイン

<2006年>

●No.1 「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」東京国立博物館(Tokyo)
●No.2 「藤田嗣治展」東京国立近代美術館(Tokyo)
●No.3 「Klimt, Schiele, Moser, Kokoschka」Grand Palais(Paris)
●No.4 「仏像 一木にこめられた祈り」東京国立博物館(Tokyo)
●No.5 「Edvard Munch: the Modern Life of the Soul」Museum of Modern Art(New York)
※上記含め、10位以内に日本開催の美術展が5つランクイン

<2005年>

●No.1 「北斎展」東京国立博物館(Tokyo)
●No.2 「唐招提寺展」東京国立博物館(Tokyo)
●No.3 「ルーブル美術館展」横浜美術館展(Yokohama)
●No.4 「Vincent van Gogh: the Drawings」Metropolitan Museum of Art(New York)
●No.5 「Cézanne and Pissarro 1865-85」Museum of Modern Art(New York)
※上記含め、10位以内に日本開催の美術展が5つランクイン

上記の元資料はこちら(PDFで重いです)

ねー?
すごいよね、TOKYO。
ていうか、東京国立博物館ってこれだけみると世界最高峰??と思ってしまう。

ちなみにこのデータは、「一日の入場者数平均」を元にランキングされているのだけど、
たとえば、2007年第一位に輝いたダ・ヴィンチ展(『受胎告知』が目玉)は日平均10,000人以上が来館していることになるとか。

THE ART NEWS PAPER. No.189. 2008.

THE ART NEWS PAPER. No.189. 2008.

日に10,000人って・・・

そりゃ、何時間待ちっていう展覧会も出るわな。
(私は、学生時代、バーンズコレクションに何時間も並んで、しかも入って人ごみで絵が見られなかったという経験以来、美術館に並ぶの恐怖症なんですが・・・)
ギャラリストの小山登美夫氏も、『現代アートビジネス』にてこのデータを引用して、

並んででも美術展を見ようとする国民はそうはいません。
とにかく日本人は世にも珍しい、美術鑑賞が大好きな国民なのです。

なんて、半分皮肉まじり???に書かれてるけど、
いやはやほんと、このデータだけぱっと見せられると、どんだけ日本人展覧会好きやねん。と思ってしまう。

一部企画展への異常な集客。そして、イベントとしての展覧会

しかし、
しかしですね。
まあ、これはある一面のデータであって、
片やこんなデータもあります。

昨年の12月に森ビルが発表した「国際都市アート意識調査~東京・NY・ロンドン・パリ・上海~」。

5都市の18歳以上の学生・社会人を含めた男女全1,000名強に対しインターネットで実施されたこの調査によると、「年に1回以上美術館に行く人の割合」は、75.7%であっさり東京は最下位
頻度も1.9回/年と最下位。
今や、上海にも負けている状況なわけです。(上海については面白いので、あとで少し追記として書きたい)
※本調査結果概要はこちらのプレスリリースから

前者のデータのイケイケ感と、後者のデータのがっかり感(笑)。

前者と後者は調査自体が全然違う性格のものだし、対象も違う。
特に、後者は年齢分布は明らかになっていないけれど、インターネット調査と銘打っているところからも、
回答者にお年を召した方の割合は非常に少ない、もしくは0と思われる。
そして、ランクインしている展覧会の種類(仏像系か大物系)をみると、けして一概には言えないけど、
年齢が上の方もかなり来場しているように見受けられる。
こりゃ、日本の美術展動員は、ある一定以上の年齢を過ぎた人に支えられているのかあ、という気すらしてきます。(ちなみに、日本の年齢分布データは探せてないのけど、アメリカのデータなら手元にあって、それによると、アメリカは、18~30歳、31~44歳、45~64歳で31~44歳をボリュームゾーンとしてほぼ均等という結果)

そして、もうひとつデータ。
同じく、Art Newsletterが調査したデータで、
美術館別の年間来場者数ランキングというのもあるんですが、
このランキングだと、
一気に

  • 1位=ルーブル(パリ)
  • 2位=ポンピドゥー(パリ)
  • 3位=テートモダン(ロンドン)
  • 4位=大英博物館(ロンドン)
  • 5位=メトロポリタン(NY)

といったおなじみの美術館がぞくぞくとランクインし、最初のランキングで無敵に思えた東京国立博物館は17位。

ルーヴル美術館

ルーヴル美術館

つまり、
日本での美術館の観客動員のイメージって、

メジャーどころの企画展にありえないほどどっと客がおしよせ、あとはしーん。

つまり、美術鑑賞は「イベント」っぽい感じなんですね、たぶん。

それは、森ビルの調査の他項目でも感じられるところがにあって、

美術館に求めるもの」というアンケートで、
他国の1位2位が「教養」「心のやすらぎ」で占められているのに対し、
日本はダントツ一位で「気分転換」。そして、2位が「心のやすらぎ」。
(ちなみに、選択項目は「教養」「心のやすらぎ」「気分転換」「非日常な刺激」「創作活動におけるヒント」「ビジネスにおけるヒント」「購入」「その他」)

それがいいのか悪いのか、っていうのは、ここではおいておきます。(簡単に判断していい話ではないと思うので)
でも、ロンドンやNYでは「気分転換」が下の方にランクインしているのに比べ、
日本ではダントツで「気分転換」が1位とは、やはり、言葉は同じ「美術鑑賞」であっても、美術というものの付き合い方、受け入れ方は国によって全然違うんだなあと改めて感じいりますなあ。。
(ちなみに、パリも2位は「気分転換」。でも1位の「教養」がダントツな%なの・・・)

ちょっと長くなりそうなので、
ここいらで一回きります。
次回は、「なぜ、日本では企画展に人が殺到するのか」という話を少し。

やー、久し振りに思いっきりブログ書いちゃった。ふふふ

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