カテゴリー別アーカイブ: アート・マネジメント関連(海外)

"プラダトランスフォーマーはなぜソウルだったのか"

そういえば、8月にソウルに行きたいと思ってた。

とはいえ、去年まで仕事で7年間韓国と関わっていたので、仕事を辞めてからは、もう今後ソウルは行きたいと思わないし、少なくともプライベートで行くこともないだろうと思っていた。
にも関わらず、行きたいと思ったのは、
今年の5月頃から、ソウル・慶熙宮(キョンヒグン)でプラダによるプロジェクト「プラダ トランスフォーマー」が開催されていたからだ。

建築家 Rem Koolhaas と彼が率いる設計事務所OMAによる”六角形・長方形・十字・円から構成され、時期によって回転していくパビリオン”や、
数年前に行われた「スカートのすべて」展、プラダ財団によるアートイベントの数々、ファッション、ライブ、映画等等の内容、
そしてもちろん、プラダがなんかやるんだってー的なミーハーな好奇心もあいまっての「観に行きたい」だったのだけど、
なにより興味があったのは、「何故、ソウル?」ということだった。

去年も北京で、ディオールと中国現代アートがコラボレーションしたエキシビジョン「クリスチャン ディオール&チャイニーズ アーティスト展」がやっていたが、
なんとなく、ほんの数年前までは明らかに東京でやっていたんじゃないかと思われるブランド×アートのイベントが、
上海や北京に行っているような気がして、次はソウルかと。
(もちろん、CHANEL MOBILE ARTはアジアでの巡回は東京と香港だったし、完全に移っているとは思わないが)

時を前後して、
このブログでも書いたかもしれないけど、ちょうど今年の春に、韓国で初の(?)アートマネジメント学会が行われたそうで、
うちの指導教授やら授業を受けている先生やらも講演のために招待されて行っていたのだけど、とにかく、ものすごい熱気だったのだそうだ。
韓国は、上手くいえないがかなりトップダウンの国(?)というか、「こっち方面、力いれるぞー!」というと、国を頂点に官民共々でものすごいリソースを投じて推進していく印象が私もまざまざとあるが、
今、アートやアートマネジメントに対して、そういう機運が高まっているらしく、
大学の専攻なんかも、ものすごい規模で充実させている・・・らしい。
なにより、関係者の熱意がすごい、と、帰国後の先生たちが口を揃えて言っていた。

なので、当時のWWDに掲載されていた”「プラダ トランスフォーマー」はなぜソウルだったのか?”というどんぴしゃな記事に、

路面店をソウルの江南地区に構え、全国直営10店を構える「プラダ」にとって、韓国は重要な市場だ。また、携帯電話「プラダ フォン」を製造するLG電子や、「ジェネシス プラダ」として特別仕様車を製作したヒュンダイ・モーター社の本国でもある。今回の「トランスフォーマー」にプラダが投じた資金は約1,000万ドル(約9億6000万円)といわれるが、上記2社及び開発関連ビジネスを行うレッド・リソーシズからも資金援助を得られたことも開催実現の大きな助けになっている。また、歴史的建造物に隣接するスペースを確保するなど、ソウル市からの全面的な支援が得られた点も大きかったようだ。(※1)

と書いていたのには、なるほどなあという感じだった。
昨年10月に出された最初のプレスリリースにも、

Seoul was chosen, among other Asian cities, as the unique location for this project because of its vibrant attitude and for the smooth cooperation with the City Government.
(中略)
“I would therefore like to thank all the local authorities, Seoul City Government, the Cultural Heritage Administration, the Jongro-Ku Council, as well as partners LG Electronics, Hyundai Motor Company and Red Resource for their enthusiasm in supporting this project.”

とある。
前段に書いたとおり、”官民共々”積極的な姿勢にあるなあと。

まあ、そんなこんなで、
実態はどうかはわからないが、
今後アメリカ一極集中でなくなる時代において、非欧米国がどうやって自国のアートやミュージアムを改めて社会化していくか、という日本も対面している問題に対して、
韓国がどういう一歩を踏み出しているか、なんとなく知りたくて、ソウルに行ってみたいなーと思ったのだよね。

※ ※ ※

・・・結局、そう思っていて夏はソウルは行けなかったのだけど、
なぜまた今さら書いているかというと、近日中にソウルに行くいいきっかけがあるかもしれないから。

トランスフォーマーは終わってしまったけど、いくつか見たいところはあって、

まず、サムスンのリウム美術館や、現代アート中心のイルミン美術館、ギャラリーヒュンダイ、
ファッション特区に指定された一環で、PKMトリニティギャラリーや、ギャラリー2等アートギャラリーが立ち並ぶことになった清潭洞(チョンダムドン)周辺。
昔から舞台は盛んだったらしいけど(ミュージカルも盛り上がってるんだって)見たことないから、そのあたりも。(※2)
大学路ってところが劇場街だって前きいたことあるけど、今もそうなのかな?

ちなみに、海外での売り込みもさかんのようで、NYでも韓国ギャラリーが増えているそうだし
先日行ったロンドンでもサーチギャラリーの一画で「KOREAN EYE」なる韓国のコンテンポラリーのエキシビジョンがあったりしたしね。

London 09/2009

(こちらはKOREAN AIR、Standard Charterd他、韓国とそれ以外の国の企業他が複数サポートしている模様。
最近、エキシビジョン行くと、スポンサーロゴのところをついつい写真におさめておく癖が。しかもこうやって役に立つし!)

んー、書いているうちに、なんかほんとにアート目当てで行きたくなってきたな。
羽田ー金浦もあるし、心理的にも距離的にもむしろ北海道や九州に行くよりハードル低いし。
ソウルのアート情報はまだほとんどないと思うので、期待はずれなものにあたりそうな反面、発掘も楽しそう!

(※1)
ちなみに、ミウッチャ・プラダはこんなふうにインタビューに答えてるけど。

「これはミラノではない場所、もしくは他の国で活動しようというアイデアから生まれた」
「実は韓国でやろうというアイデアがいつ出てきたのか、確実なところは覚えていない。ソウルが大きな首都ではないこと、そしてかなり違う文化があるということが主な理由だった」

ちょいと曖昧(笑)。

※2
そういや、自分で書いてて忘れてたけど、舞台方面でもこんなネタがあったんだった。今年の3月のエントリ。

韓国版『ドリームガールズ』にみる、ブロードウェイ資金繰りへの新たな試み

ここでも書いてますな。
“それにしても、
韓国は、なんでそんなに資金出せるんだろう。”
って笑

このスキーム、うまくいきそうなのかしら。

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ロンドンで思ったこと。

夏休みの旅行として、ロンドンへ。3日前に帰国しました。

10年ぶりのロンドンは、やっぱり私にとって一番”リラックス”できると思う都市だった。大好き!

※ ※ ※

ロンドンでは、とにかくミュージアムやギャラリー、あとはストリートマーケットをまわった。

向こうのミュージアムのすごいところは、
ほとんど無料で入れること。※1
これは、NYやパリでも、私の知る限り実現できていない。

無料、というのはすごい。
たとえ1円であったにせよ、お金を払って入るのとでは、体験の質が違う。
入場料を払う場合に無意識のうちにある「ある程度の時間はとってみなきゃ」という感覚がない。
しかも、だいたいどれもとてもアクセスがいいので(たとえば一番大きいところでいうと、ナショナルギャラリーはロンドンのど真ん中の広場であるトラファルガー広場のまん前にある)
ぶらぶらしていて時間があまった時にふらっと入る、みたいなことが本当にできる。

なので、
ミュージアムの中には本当にいろんな人がいる。
お年寄りや子供連れも多い。
私がなごんだのは、現代アートの代表的なギャラリーである White Cube に行った時、
アーティストが作品として放し飼いしていた豚さんを、一心不乱にスケッチしていたおばさん。
たぶん、アーティストの意図とかそういうのは関係ない。豚がスケッチしたかっただけだと思う(笑)。
そういう自分勝手な過ごし方がいい。

あとは、Hyde Park の中にある Serpentine Gallery にて。
その時は、Jeff Koons のエキシビションの最終日だったんだけど、
Exhibition Guide の裏表紙が、(彼の作品である)全裸のブロンド美女をフューチャーした写真で、
6歳ぐらいの女の子が、その写真を見せながらパパに話しかけていて、パパがいろいろ答えていたところ。
いわば、娘がPLAYBOYのピンナップを手に持ちながら、無邪気に話しかけているようなもの。
何を会話していたかまでは立ち入らなかったけど、でもパパはがんばっていた(笑)。
特に現代アートは、セクシャルなのも多いし、うげーっとなるのも多いけど、
そういうところでも、家族連れが多いのは、本当にいいと思う。※2

ミュージアム、ということでいえば、
この旅で実は一番心に残ったのは、
どこのミュージアムショップでも、子供向けアートブックやエデュケーション目的の絵本のコーナーが充実していたこと。

それもいわゆる美術の教科書的なものではなく、たとえば「For Baby」と称して、バスキアや村上隆あたりのちょっとポップなコンテンポラリー作品ばっかり掲載されたアートブックがあったり、
私でも意味わかんねーよ、と思ってしまう現代アートピースを「これはなんだと思う?」的に解説しているものだったり。

いかに子供時代からアートと戯れることができるか、っていうのは、個人的にも興味軸のひとつとして昔からあって、その点ではすごく発見の多い旅になった。
ここで感じたこと、思いついたことは、なんらかの手段で形にしたいなー・・・と思っている。

※ ※ ※

今年の初めに行ったパリ・ブリュッセルが、
「なぜ、私は”芸術”にこだわるんだろう」ということに対して、少し言語化できた旅だったとすれば、
今回のロンドンは、
「そのこだわりを形にするには、何が必要なんだろう、どういうスタイルで形にしたいと思っているんだろう」ということが、自分の中に少し見えた旅。

そこをブログで書くほどに言語化するにはちょっとまだ至っていないのだけど、
とにかく、「これっていい!すごくやりたい!」と思ったことと、最終的に形になるものと、そこまでにいたるスピードを、どれだけ差をなくすかということ。
会社時代に、たくさんの人、たくさんの時間が入るたびに、最初のインスピレーションの輝きみたいなのがどんどんなくなって、角がとれて、いったい自分は何がやりたかったんだっけ、というものになっていくのは何度も経験しているから。

うまく言葉にいえないんだけど、
マーケティングの仕事をしていたとき、
あれは、2004年頃だったか、これからはマーケティングやプロモーションを行うスタイルや、やる側のスタンス、やらなくちゃいけないこと、頭使わなくちゃいけない箇所って変わっていくよなあと思ったことと同じようなことを、もっと広い範囲でのことで感じているということ。
どれだけラベルがあっても、資格があっても、生かせる人は生かせるけど、それだけじゃダメなことも多い世の中に異常な加速度でなっていると思うから、だったら遠回りしないで自分のやりたいことをやってしまえばいいと思う。

私にとって海外に行くことは、よそ者になることで、逆に「なにやってもいいじゃん」と思えるエネルギーを得ること。
今週からまた大学院で、年末にはいよいよ研究構想発表会だけど、この感覚を忘れずにまた何ヶ月かがんばるー。

ブログも少し書く気が復活してきたので、もはやarts marketingな内容じゃないけど、ぼちぼち書いていきます。
ロンドンのことも、PromsやWest End Musicalやぶらぶらする中で感じたこととか・・・書きたいことは山ほどあるしね。

※1

以下、『ロンドンの美術館 王室コレクションから現代アートまで』(桜井武、2008年)より抜粋

 これだけお金のかかる博物館(美術館も同じ)をなぜ無料にするのか。歴代の政権がいつもこの入場無料に好意的であったわけではない。保守党のサッチャー政権時には、有料化に向けてかなりのプレッシャーが国から掛かった。実際、ヴィクトリア&アルバート美術館は、その期間に有料化へと踏み切ったが、現在は無料となっている。
 当時の大英博物館館長デイヴィッド・ウィルソン(1931年-)にも、やはり政府から有料化に向けての強い要請があった。しかし彼はきっぱりとそれを拒否した。興味深いのは、しばらくしてもう一度、要請があったときのことだ。彼は一言、「さらにこのような要求があれば、自分は館長を辞任する」と発言したのだ。その後、政府は二度とウィルソンにプレッシャーを掛けることはなかった。彼の館長在任期間は、1977年から91年までと異例の長さで、この間、強力なリーダーシップを発揮し続けた。
 1997年に保守党からトニー・ブレアの労働党政権になると、文化支援はさらに推進された。そのための補助金を美術館・博物館に安定的に支給するようになった。有料化の脅威から解放されたのである。

※2

ある教授曰く、
「美術館は、さまざまな価値観を知るところ」
「自分とは違う価値観を目の当たりにして、どれだけ自分が寛容になれるかを試す場所」

アートはけして、美しいから情操教育にいい、というものではないということ。
パパ・ママもある意味、試されているのだと思う。

ロンドンで思ったこと。http://artsmarketing.jp/wp-includes/images/crystal/default.png*arts marketing.jp
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2008年度”世界の展覧会観客動員数”

いろいろと書きたいネタはあるのですが、ひとまず速報?として・・・
ぱぱっと読んだインプレッションで書くので、読みが甘くて、乱暴に書いているところがありますが、ひとまずはご容赦を。

以前、このブログでも紹介した THE ART NEWSPAPER による、「世界展覧会観客動員数」
の2008年度版が発表されるようです。

■THE ART NEWSPAPER 該当記事
Japanese treasures draw astounding crowds in Nara and Tokyo

■2005~2007年までのデータを紹介したエントリ
世界一展覧会に行く国民、日本人!?~日本独自の鑑賞スタイル<その1>
※今、2番目のリンクがブラウザによってはばけたりしてるみたいです。お手数ですが、
http://artsmarketing.jp/archives/777
をコピペしてみていただければと思います。。

記事タイトルをみても予測がつくように、
今年も観客動員数(日平均)トップは、日本で開催された展覧会だったようです。

ざっと読んだ感じ、2008年のトップ3はこんな感じ。

●No.1 「第60回 正倉院展」奈良国立博物館(Nara)
 17,926人/日(会期:10/25~11/10)※新記録
●No.2 「国宝 薬師寺展」東京国立博物館(Tokyo) 
 12,762人/日(会期:3/25~6/8)
●No.3 「Dans la nuit, des images」Gland Palais(Paris) 
 10,357人/日(会期:12/18~12/31)
※記事中に第三位のグランパレスでの展覧会名は明記されていないんですが、「…staged to mark the end of France’s presidency of the European Union.」との説明から、おそらくコレだと思います。

heiraden

平螺鈿背八角鏡 第60回正倉院展出展宝物より

トップ10中、5つが日本開催の展覧会のようで。
記事の最初に「THE ART NEWSPAPERの読者の方なら、驚かないでしょうね。。。」と書かれているように、
ここ数年ずーっと、このランキングにおいては日本の独壇場です。
そもそものハコの収容人数や日程の長短等の違いもあり、そう簡単に比較できる話ではないと思いますが、(なぜ日本の展覧会はこんなに人数を集めるのか?について書き散らしたエントリはこちら
以前のエントリにも書いたとおり、少なくとも数字上は「よく展覧会に足を運ぶ民族」であることは、間違いないようです。

しかし、なぜ、「少なくとも数字上は」なんてつい書いてしまうほど、
「日本人って展覧会好きだよねー」と、素直に思えないんでしょうか?最初に紹介したエントリの後半で述べているとおり、実際、主要都市の中で一番美術展にいかないというデータもあります
正倉院展や薬師寺展が人気を誇っているにも関わらず、なんでこう・・・「歴史」「古来の文化・芸術」と自分たちが結びついている実感がわかないんだろう???
最近、坂本龍一もこんなことを語っています。

―(略)・・・(ヨーロッパ出身のアーティストは)ヨーロッパ文化を全部持っていると言う?

坂本 
そうですね。「体の中に入っている」という。そういうあり方というのはうらやましいとともに、それだけ過去がとても生き生きと目の目の前にあると、例えば音楽でも100年前、200年前の音楽が、すごい素晴らしい形で残っていることになる。それを超えるというのはものすごく大変。

 日本のようにあまり過去が引き継がれないで、10年くらいするとどんどん忘れられていくような社会だと、簡単と言えば簡単かもしれない。その代わり、いつも同じようなところに留まっているのかもしれない。時間的に積み重なって進化しているような感覚は持たないかもしれませんね。

ミスチルを目指して終わるな──坂本龍一かく語りき」―ASCII.jp

先月パリに行ったせいもあって、
この言葉に関しては、ちょっと別に思うことがあるのですが、それはおいておいて、
まあ、私の実感としては教授の「過去が引き継がれないで」という言葉がしっくりくる。
なのにデータを観る限りでは、すごく(自国の)文化、芸術大好きな感じの国民でもある気がしてしまう。
単なる、年代の違い?
右へ倣えの精神が引き起こしている?
引き継がれてないからこその興味(笑)?
正倉院展ツアーやってる旅行会社の努力の賜物(笑)?
なんだろう???????

実は、このあたりのことって、最近心にひっかかっているすっごく大きいテーマと関わりがあるので、
それはおいおい、別エントリでゆっくり考えをまとめて書きたいと思っています。

・・・あ、話がそれちゃいましたけど、
ええっと、この記事には他にも「ブロックバスター=大作」美術展が多くなっていることなんかへの危惧も書かれていますね。

これに関しては、昔からさんざん議論されていて、
「本音」と「建前」、「使命」と「明日のゴハン代」の間での葛藤として、絶えず芸術業界はつきつけられる問題ではあるのでしょう。

でも、今回のデータを観ると、トップ3の集客数が、明らかに倍増ぐらいしているのがちょっと異様
(だいたい、日平均集客数が10,000名を超えることなんて滅多になくて、2007年の第1位であるダ・ヴィンチ展@東京国立博物館が超えて記事のキャッチにもなったのに、今年は3位まで全部10,000名超えしてますよ)
より「安定して、”食える展覧会”」になりがちで一極集中化しているってことなのかなー?
もしそうだとしたら、展覧会の企画なんて何年か前からやるんだろうから、昨年後半からの経済を考えると、今後はもっとそうなっていくのかなーーーなんてことも思ってしまいますね。

とまあ、これ以外にもまあいろいろと、つっこんで考えてみたくなるところだらけのランキングですが、今日はここまで。ふう
詳細ランキングが出たら、また書いてみよっかな。

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身もふたもないドキュメンタリー(笑)

今日は小ネタですが。

あまりにも「身もふたもない話」すぎて、笑えました。

昨晩NHK-BSでやっていた、『オーケストラを守れ~ ノルウェー放送管弦楽団の奮闘 ~』

このオーケストラではもう稼ぐことができない。
時間も限られている。
私は音楽に命をかける! と誰かが叫んだ。
オーケストラは新しい指揮者とマーケティング・ディレクターを雇うことにした。 彼らはいまにも急な坂を転げ落ちそうで、仕事を失いかけている。
一体うまくいくのだろうか。

この異例のドキュメンタリー制作のため、制作チームはオーケストラの生活を内側から密着取材した。

深刻な財政難を立て直すために1年の猶予が与えられたノルウェー管弦楽団の奮闘の話・・・
と書くと聞こえは良いですが、
観てみると、もう「ああもう、”改革”、”マネジメント”なんて言っても、なんも解決しないし!!」という「あちゃー」な感じ(笑)満載なドキュメンタリー。

1年の猶予しかない管弦楽団に対し、
その”親”であるノルウェー放送協会が送り込んだのが、新しい指揮者=ロルフ・グフタ氏と、新しいマーケティングマネージャー=エスペン・シュレトナー氏

gupta_rolf_2005

Rolf Gupta

彼らと、オーケストラの事務局長であり、運営責任者であるホルガー・グルブランセン氏がタッグを組んで、協会側が提示している目標収益をあげるべく、アクションを起こそうとするのですが・・・

契約で指揮者と共に音楽監督のポジションも与えられたグフタ氏
その権限の大きさと彼自身の高圧的な態度もあって、グフタ氏と楽団員はそりが合わない。
協会側のフォローもなく、溝は深まるばかり。

シュレトナー氏は早速、代理店とともに、オーケストラ始まって以来のPR活動を行おうとするが、
ことごとく協会側に却下される。
しかも、マーケット拡大を期待して企画された中国ツアーに同行できない。
そのうえ、中国でスポンサーに対し無料で演奏会を3回も勝手に行われ、不満がたまる。

その結果・・・

・グフタ氏は音楽監督のポジションを辞任
・シュレトナー氏はマーケッターを辞任
・内部がこんなにぐちゃぐちゃになったのは、そもそもグフタとの契約書を作ったグルブランセンの責任だ、ということになり、グルブランセン氏は休職
・挙句の果てに、契約更新時、グフタ氏の指揮者続行は楽団員の投票で決まることになり、楽団員の過半数が続行に反対→グフタ氏は指揮者もクビ

ちょwwwwwwwwwww

しかも、グフタ氏もシュレトナー氏も楽団員たちも、インタビューに対して言いたい放題。
グルブランセン氏は泣きそう。

いや、まさかそんなドラマのようにうまくいくなんて誰も思ってないけど、
あまりにもグダグダ、「(タイトルのような)奮闘」じゃなくて「狂乱」やで!という感じで、
それがなんというか、私自身がベンチャーに勤務していた特に最初の頃(お金ない頃)思い出して、ほんとちょっと泣き笑い、笑い泣きという感じでした。(笑)

ほんとねー、
マーケティングとかプロモーションとかってコストセンターだから、
マーケッターって、ただマーケティングの知識や経験が優れているだけじゃだめで、
両者がちゃんと自分(たち)のできることとニーズをわかったうえで、この相手だったら”(釣り)合う”ことを認識して契約しないと、ほんとしんどいだけなんだよねーーー
・マーケッター側→「マーケティングを魔法か何かのように思ってる」「金出さない」「自分のことを信じてくれない」
・会社側→「金ばっかり使って、成果が見えない」「今すぐ成果を出してほしい」「理屈ばっかり言う」
みたいな。
あー、身につまされる。あー、身につまされる。←笑

これ観て、すぐ思い出したのが、
違う文脈で、いつか紹介しようと思っていたのですが、この本。

はみだし学芸員のNY(ニューヨーク)留学―美術館からの脱出はみだし学芸員のNY(ニューヨーク)留学―美術館からの脱出
著者:藤森 一好
販売元:ぺりかん社
発売日:2002-12
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

この本にも、日本の美術館運営、学芸員の仕事の「ぶっちゃけ」話が、特に前半部分、かなり詳しく書かれています。
ここには、そもそも「アートマネジメント」「鑑賞者開発・教育」とかって、大嫌い!な内部の方々の話も書かれていたりして(しかも、わりとそれが根強い風潮としてあったりして)
90年代後半の話とはいえ、アートマネジメントを勉強しようという立場からするとちょっとショッキングだったりして(苦笑)。
仕事のノウハウが全然共有されない職場環境とかね(笑)。

ほんと、ドキュメンタリーの話にしろ、↑の本の話にしろ、自分の進む道の険しさを思い知りますなーーーー。
でも、そういうのわかったうえで、どこが自分の軸足か、
業界プロパーの人でない私がどういう立ち位置で、何と何をつなげ、通訳して新しい分野を作っていくのがいいか、
そういうことを今一度考えるきっかけにはなった気がします。
(あ、これに関してはまたぜひ別エントリで書きたいです)

まあ、、、
 会社に全然お金ない、
 増資うまくいかないと2ヶ後に会社なくなっちゃうかもしれない(実際なくなったこともある・・・)、
 そんな中収益増加の責任だけはやたら重い、
 毎週欝になるほどディレクター会議で責められる・・・
なんていう経験は、
今までもさんざん体験してますしね^^
それでも、数年後には飛躍的に売上を伸びてうはうはになることも、人生にはあるんだぜ。というわけで。
(そしてそこから一気に落下することも、人生にはある・・・笑)

しかし、このドキュメンタリー、、、
最後のこのテロップ、

「収益は目標額に達しなかったもののオーケストラは文化省の支援を取り付けた」

もちろん大真面目なテロップであることはわかりますが、
ちょっと、笑っちゃいました。
「このドキュメンタリーの落としどころそこかい!」というツッコミもちろんあるんだけど、
うん・・・なんというか、
外部からの優秀なメンバーによる抜本的改革施策ってドラマチックだけど、
現実はドラマのようにうまくいかないことばかり、どころか失敗ばかり、
それでもなんとか進んでいくところにねー。

やー
観る前に期待していた内容とは全然違いましたが、
面白かったです。(笑)

※こちらのブログもよろしくです♪
日々是エンタテイメント♪
最新エントリ:スカパー!

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『WEST SIDE STORY』とチャリティチケットオークション

今年来日公演も予定されている『ウエスト・サイド・ストーリー』、ブロードウェイでも3月19日(木)からのリバイバル公演(@Palace Teater)が話題になっているようです。

プレビュー公演は、2月23日(月)から始まっていますが、最初の2週間は、週100万ドル超えの収益だとか。

cf)Broadway Holds On, for Now -NY Times

この記事にも書いてあるとおり、不景気の影響をさまざまに受けながらも、お芝居を楽しむ人々は確実に、しかも多く存在し続けているようです。
(このあたりのことは、UKの状況も含め、もうひとつのブログでいずれ取り上げたいと思ってます)
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さて、
明後日に迫った本公演を前に、どうなるかしら!?と地味に気にしているのが、こちらのオークション。

West Side Story Broadway Opening Night Tix & Party

詳しくはこちらの記事を。
West Side Story Opening-Night Package to Benefit BC/EFA -Playbill.com

BC/EFA―――「Broadway Cares/Equity Fights AIDS」によるプラチナチケットオークション。
このBC/EFAは、「HIV/AIDS 患者の救済とその研究支援を主な目的とし、ブロードウェイのシアターコミュニティーが全員参加で活動しているのが大きな特徴である。日本語版wikiより)」というチャリティ団体で、設立は1987年。
発起人の一人であるマイケル・ベネット(『コーラスライン』『ドリームガール』等の演出・振付)も同年にHIVで亡くなっていますから、
当時のブロードウェイ、そしてNYを取り巻くHIV感染の現状の深刻さと、本当に必要に迫られての設立だったのだろうなあというのが伺えます。
(『RENT』の時代設定も1989年だしね)

さて、公式サイトを覗いてみると、
オークションをはじめ、さまざまなイベントを通じてチャリティを募っているみたい。
劇場で役者さんが直接アピールしたり、
ファン垂涎のお宝オークションを行ったり、
大物俳優と交流できるイベントを行ったり、
まあ、チャリティ先進国アメリカならではの、「ちょっと参加してみたい!」と思わせる活動の数々ですねー。
今回の『ウエスト・サイド・ストーリー』に限らず、初日プレミアム付チケットのオークションは頻繁に行っているようです。
ちなみに”プレミアム”の内容は、初日のVIPシートパーティへの2人1組でのご招待。

気になる入札価格は、
3日ぐらい前に観た時は500ドル程度でしたが、
あと締め切りまで7時間半程度になった今現在は、1,225ドル。約12万円!
ネットオークションはプライベートでの経験がないので、あまり勘どころがわからないのですが、
やっぱ最後の方につりあがったりするんでしょうか???
でも、ほんとにファンだったら、高額出しても欲しいよね・・・。
なんだかかなり下世話な興味ですが(笑)、明日、結果をみてみようと思います^^

それにしても、
今年来日するブロードウェイミュージカル(こちらをご参照あれ→「2009年はブロードウェイミュージカル来日ラッシュです!」)は大好きなのが多く、
ヘアスプレー(リンク先、音出ます!)』も、『RENT』も、『コーラスライン』も、気合入れて、すでに先々々行ぐらいでチケットおさえてしまった(つい・・・笑)私ですが、
『ウエスト・サイド・ストーリー』は、どうもあまりぴんと来る経験が今までになくて、見送ってるんだよなあ。
でも、こうやって盛り上がってるニュースを読むと、みてみよっかなというミーハーな気分にもなる。
どうしよ。笑
まあ、これも『RENT』や『コーラスライン』と同様、ニューヨークが舞台ですから、ニューヨーカーには特に思い入れの強い舞台なのかもしれないですけどねー。

ウエスト・サイド物語 (コレクターズ・エディション) [DVD]ウエスト・サイド物語 (コレクターズ・エディション) [DVD]
出演:ナタリー・ウッド
販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2008-04-18
クチコミを見る

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