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[Memo]鑑賞者開発、鑑賞者タイプのモデル

下記、論文読んでて出てきた引用部分なので原典あたれてないけど、
取り急ぎ鑑賞者開発関係の枠組みのメモ。
内容は、私による適当なまとめなので、微妙なニュアンスは違うかも。(原典読もう!)

どうでもいいけど、個人的には、鑑賞者開発という言葉はあんまり好きじゃない。
鑑賞、って言葉の響きがあんまりすきくない。開発するっていう日本語の感じも。

■2000年にイギリスで発表された鑑賞者開発のモデル

1. Outreach
ターゲット:社会的に芸術と離れたコミュニティにいる層(低所得等)
方法:芸術作品を彼らのところまで持っていく(施設外に持ち出す)
目的:社会的に拡大

2. Extended Marketing
ターゲット:潜在的な鑑賞者&かつて鑑賞者だったがやめてしまった層
方法:ターゲットの層の障壁を取り除く(いわゆるマーケティング施策)
目的:経済的な拡大

3. Taste Cultivation
ターゲット:既存鑑賞者
方法:違う分野や作品を紹介する(クラシック鑑賞者にオペラ公演など)
目的:芸術的、経済的拡大(含む教育的)

4.Audience Education
ターゲット:既存鑑賞者
方法:鑑賞した作品についてさらなる興味を喚起、理解を深める
目的:教育的拡大(含む経済的)

■Kotler及びHill E. & O’Sullivanなどによって提唱された鑑賞者タイプ

1. Existing audience(Hard core/Soft Core/Emerging)
既存鑑賞者、その中でもコア層から新規層への分類

2. Switchers
様々なジャンルの芸術に参加し、特定団体のリピーターというわけではない

3. Attenders elsewhere
そこの団体ではないが、同じジャンルの別団体の支持者

4. Intenders
参加意欲はあるが、なんらかの障壁により鑑賞できない層

5. Hostile
芸術に対し否定的な層

前半はあくまでイギリスにおける枠組み、後半はアメリカ。
基本は同じであるけれど、日本では違う枠組みができるだろう。そこが重要。

まずは、「グローバルに受け入れられてる芸術」と「自国の芸術」の重なる輪が大きいと思われるアメリカや西欧と、「グローバルに受け入れられてる芸術」と「世界の中ではマイナーな自国の芸術」を持つそのほかの国々では、社会的、心理的な要素まで入れた枠組みは違ってくるのではないかなとぼんやり思う。
そしてもちろん、時代が変われば、枠組みも変わる。

というようなことは、個人的にはかなり研究してみたい興味分野なんだけど、
壮大で論拠が難しそうで、ちょっと手をだしづらい。もはや、社会学の世界のような気もするし。
なので、主に仕事を進めていくうえでの補足として考えてみることにしている。
このブログでも、思ったこと程度の話になるけど、ちみちみ書いていきたい。

でも、そう思いつつ関連論文とか読むと興味深くてついはまっちゃって時間がたっちゃう。。。という罠(汗)

あーん、研究のテーマがしぼれなーい
今一番欲しいものは、日本語と英語が速読できる(英語の場合、並読でもいいけど・・)のうみそだわ。(涙)

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人の心の中のプライオリティを考える~チケットのお値段 その3

オーケストラチケットの価格施策の話、今回がラストです。

今までのエントリはこちら

<前々回エントリ>
値下げは良策か?~チケットのお値段 その1
<前回エントリ>
クラシックコンサートに使える金額~チケットのお値段 その2

ええっと・・・
前回までは、すみだトリフォニーホールのケースをピックアップして、
ラハティ交響楽団というフィンランドのオーケストラをプロモーションする際にとった「値下げ施策(通常S席12,000円前後のチケットを6,000円)」に対して、良策だったかそうではなかったか?について、あーだこーだと言ってみました。

前回は、「良策じゃーなかったんじゃないの?」という件について書いたわけですが、
今回は、「いやいや、そうじゃないかもよ・・・」という視点で書いてみたいと思います。

■その月に買うチケットは、この公演だけではない

まず、前回エントリで紹介したデータを、もう一回みてみます。

<クラシックファン>
男性:約23,000円前後
女性:約12,000円前後
男女平均:約18,000円前後

<一般住民>(墨田区及び近郊に住んでいるクラシックファン以外の住民)
男性:約4,000円前後
女性:約4,000円弱
男女平均:約4,000円弱

前エントリは、S~B席まで6,000円~4,000円にしたという”ほぼ半額”施策は、
どちらをターゲットにしても中途半端じゃない?ということを書きました。
しかも、そもそも、「シベリウス交響曲」を「フィンランドの交響楽団」で「全曲」やろうなんて試みは、
コアなクラシックファン向け、少なくとも年1~2回行くか行かないかのライト層ではないでしょうでしょう、とも書きました。

しかし。
クラシックファンのデータをもう一度よくみてみましょ。
それにしても・・・けっこう、チケット代使うなあ
と思いますよねーーー。特に男性。
MAXは5万ぐらいまで使う方がいらっしゃるのかしらん?

 平均の数字だけみると、
 男性はいい席で2回分ぐらい、女性は1回分ぐらい。
 実際は、いい席をとる時と、そんなにいい席じゃない時もあって、
 男性も女性も月2~3回は聴きに行くのかなあ、、、

なんてことをですよ、考えていた時にふと、思い出したんです。

これはお芝居を観る人も同様ですが、よく劇場に行くような方のブログを読んでると、よく、こんな一文を見かけます。

「観に行きたいけど、今月は予算オーバーでいけません~」

ここからは、なんの裏づけもない、私の感覚的な話になります。
(たぶん学問としては、行動経済学の範囲なんですかね?そのあたり、不勉強なもので・・・)

そっか・・・、そういや、「チケット代月何万」とまでは決めないとしても(そういう方もいらっしゃると思いますが)
半分無意識的に、頭の中で最近使ったチケット代の合算を計算しながら、チケットの購入するか否かを決めている人はとても多いと思います。
それは、行きたいものがいっぱいあるファンの人ほど、です。

その時、
「チケット代1万円以上」・・・諭吉君がまるまる消えていく~
というのは、けっこインパクトがあります(笑)。

でも、その半額であれば・・・
そうなれば、財布の紐がゆるくなることもあるかもしれない。
2万ぐらいまでは月に出していいかなーと思ってて、
観に行きたいと思っていた公演の1.2万のチケットを購入した後、
また1万円前後払うと、2万超えちゃうけど、5千円前後なら?

・・・出しちゃうかもしれない。

■「人の心の中のプライオリティ」

つまり、これで気付いたのは、

「客は、その公演のチケットだけを買うわけではない」
「絶対的な価値で購入されるわけでなく、相対的な価値の中で購入が決定される」

という視点。

シベリウス交響曲演奏会、1.2万支払っても聴きたい。
単品であればそう思っていても、その前後に「絶対行きたい公演」が他にあれば、
そちらにプライオリティは行くわけです。

そうなった時、シベリウス交響曲演奏会は、

「観に行きたいけど、今月は予算オーバーでいけません~」

とブログに書き込まれる(笑)結果になるんじゃないかしら。

そういや、
何か消費者に向けて販売している人たちはどなたもそうだと思いますが、
私も、前職では「リリースタイミング」や「発表会のタイミング」を非常に気にしていました。タイミングが良ければ、(変な話、たとえ普通のものでも)いろんなメディアが取り上げてくれたり、興味を示してくれるユーザーが増えたりする。
でも、どんなに”売りたいもの”がよくても、タイミングが悪ければ埋もれてしまうのも事実なんです。

”人の心は、はしごの2段目までしか認知しない”

というのはブランド論で言われることで、ちょっと↑の話と意味合いが違ってくるところもありますが、
「人の心の中のプライオリティ」に想像力を使うことは、非常に重要なポイントであると思います。

最初に戻りますが、
ラハティ交響楽団という、実力はあるものの無名のオーケストラ、無名の指揮者の公演を行うに際し、
クラシックファンの心の中の”聴きに行きたいプライオリティ”の1番目(や2番目)になるだけの名声は、まだない
というのは事実であり、
そうであれば、「きられてしまう3番目」になるのか、「きられずに済んだ3番目」になるのかは、
公演時間などなど他の要素とともに、価格というのは非常に重要になってくるでしょう。

「聴きたいプライオリティ1番目」であれば、値下げ施策というのは意味がない。
でも、1番2番を狙えないのであれば、価格というのは意思決定の際の意味のある要素になると考えられます。

そう思うと・・・
値下げ施策が入場率のアップを生んだ、とも、言えるかもしれないのですね。

■嗜好品の価格決定の難しさ

以上、
この話には、「どっちが良かったか」という答えはないです。
ケースを読むだけではわからない要素も多くて、判断できない部分が大きいですしね。

ただし、
こういう「嗜好品」においては、やはり「値下げ施策」に対して意味はない、とする論が多いのは事実で、
意味がない、売上が下がるという欠点のみならず、「その値段程度のもの」と受け止められて、
かえって人が離れていく(「値段が高いものはいいものと思ってしまう」という奴です)というケースもあり、やっぱり、かなり慎重に判断しなくてはいけない施策ではあることは確実だと思います。
(このことに関しては、できれば、何人かのマーケティング学者の本に書かれている文章を説明したかったのですが、気力がないので(笑)、またいずれかの機会に・・・)

その一方で、今回書いたような考え方もあると思うので、
様々な視点で検討することが大事だなーと、改めて思います。

特に、生活必需品でないものの価格の決定というのは、
その後の同じ商材のスタンダードを作ったり、
(そう、今回は書きませんでしたが、「そもそも日本のオーケストラ公演で、このくらいのホールでこのくらいの題材であればこのくらい」という”基準”がある場合はとても多く、それと比べてS席6,000円というのはどうだ、という検討が必要です。私はオーケストラ公演はあまり行かないので、そのへんの鼻が利かず、今回は割愛しました・・・)
ホールや団体の”格”を決めたりすることもあると思うので、
なかなか検討のしがいがありますね・・・。

というわけで、
「チケットのお値段のお話」は、とりあえずここまで。

次回からは、また全然違うネタで書こうと思ってます。はい。

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クラシックコンサートに使える金額~チケットのお値段 その2

前回の続きです。

<前回エントリ>
値下げは良策か?~チケットのお値段 その1

前回のエントリでは、すみだトリフォニーホールが99年に自主事業として開催した、ラハティ交響楽団の「シベリウス交響曲全曲演奏会」のケースをピックアップしました。
無名オーケストラの来日公演に対し様々な施策を講じた結果、成功例として見なされているこの演奏会ですが、
ひとつ、「チケットの値段を通常より安価に設定した」施策に関して、「はてしてこれは良策だったのかしら?」という疑問と、
それに対して、以下、2つの考え方があるねーといったところで終わっていました。

(1)値下げをすることで、(値下げをしなければ来なかったであろう)既存のクラシックファンに対しアピールすることができ、入場者数を増やすことができた。
ゆえに値下げ施策は良策である

(2)通常の値段にすれば、売上をさらに確保できる可能性があった。その売上は、次期予算に直接反映するものであり、それにより翌年はその分お金をかけてよいものを制作・広くに宣伝することができたはずである。
ゆえに値下げ施策は良策ではない

というわけで、
本エントリでは、この2つの考え方について、みていきたいと思います。

■「値下げ施策は良策ではない」という考え方

前エントリの最後で、“この2つの考え、両方ともアリ”と書きましたが、
当初、私が直感で思ったのは(2)、つまりこれは良策ではないのでは、ということでした。
(まあ、「なんで値下げしたの?」と思ったんだから、そうですよね・・・)

理由はふたつあります。

[A]この演奏会を聴きたいと思うのは、コアのクラシックファンではないか。だとしたら値下げは必要ないのではないか

ということ、あとは

[B]特に「利用料金制度」をとっているすみだトリフォニーホールは、売上の確保がその後のよりよい制作・宣伝につながる。それであれば、売上にこだわるべきではないか

ということ。

まず[B]に関して先に言うと、
利用料金制度」とは、
通常、自治体に納める貸館料と自主事業のチケット収入を、ホールの収入することができる制度”のことです。
すみだトリフォニーホールはこの制度を採用しており、
それゆえ、他公共ホールと違って、自主事業の財源を区に頼っていません。
(施設の管理費、財団人件費などは、補助金で賄っている)

 1999年度はホールの利用料金収入が約1億2千万円(内、大ホール分は約1億1千万円)で自主事業のチケット販売額が約1億1千万円(平均入場率62%)、計約2億3千万円であった。
 すなわち、この収入(利用料金+自主事業のチケット代)が自主事業の企画・運営に当てられた。自主事業の支出(公演委託費(約1億5千万円)、広報宣伝費(約3千万円)その他経費(約5千万円))は約2億3千万円であった。

―KBS教材「すみだトリフォニーホール」より
※あくまでこれは教材として作られたものであり、個々のデータは一部偽装されていると明言されていますので、数字は正確なものとは限りません。
近年の正確な収支データをお知りになりたい方は、すみだトリフォニーホールのサイトに昨年一昨年のデータがアップされていますので、そちらをご覧ください。

こういった背景もあり、
このケースでチケット代金を値下げせず、ある程度の「売上」増加を目指すことは、非営利組織の目的である「使命の達成」と相反することではない、むしろ「使命の達成」の大きな要素となるものだと、私は思います。
なので、集客のためにチケットを値下げし、それによって売上が低下するという施策はそもそも得策ではない。

値下げは売上低下になる可能性がある、
ま、これは至って当たり前の話であって、
でも、それによって全然人が入らなかったら、
「芸術の普及」という使命も果たせてないし、むしろ売上だって下がっちゃうことだってあるよね、
というのが本当に考えなければいけないところ。

ちなみに、仮に今回値下げをした金額で満席になった場合の予想されるチケット収入は3,600万。
前回エントリで試算した「通常程度の値段にして平均入場率にほぼ近い60%の入場見込み」だった場合の予想チケット収入は3,500万円ですから、ほぼ同じくらいの売上になると思われます。(私の試算の前提条件すらかなりテキトーですので。)
同売上であれば、チケットが安くて満席の方がいいですよね。
となると、チケットの値下げをしたほうがよいということになります。(ま、実際は満席、ではなかったのですが)

というわけで、
「値下げ施策がどれだけ多くの人に来ていただくのに役立ったか」というところがポイントになってきます。

■どれだけクラシックコンサートにお金を使えるか?

そこでまず思ったのが、さきほどあげた2つの理由のうちの[A]、
この演奏会を聴きたいと思うのは、コアのクラシックファンではないか。(だとしたら値下げは必要ないのではないか)”
なんですよね。。
つまり、「シベリウス交響曲全曲演奏会」って、、、クラシックにある程度親しんでいる人じゃないとなかなかぴんとこないよね?ということ。

 全曲を聴きにいかない、一日だけの鑑賞だとしても、シベリウスってやっぱり、例えばモーツァルトやベートーベンとかに比べるとマイナー感は否めない・・・
 やっぱり、来ていただけるお客様の候補は「クラシックファン」だよね?

というのが、まず感覚的に思ったことです。
だから、入場率が高かったのは、例えば「日本シベリウス協会」会員(これこそコアファン!)へのプロモーション等が功を奏したのであって、別に値下げしたからではないのでは・・・。と。

そのうえで、
同ケースに掲載されていた1ヶ月にクラシックコンサートに使いたいと思う金額の資料をみてみました。

その結果は、かなり大雑把に言うと、

<クラシックファン>
男性:約23,000円前後
女性:約12,000円前後
男女平均:約18,000円前後

<一般住民>(墨田区及び近郊に住んでいるクラシックファン以外の住民)
男性:約4,000円前後
女性:約4,000円弱
男女平均:約4,000円弱
※実際のデータにはいろいろと細かい数字と年代別・収入別などが載っていますが、割愛します。

クラシックファンはだいたい12,000円以上20,000円ぐらいまで出す気がある。
非クラシックファンは、ぎりぎり4,000円ぐらいまで。

最初に断っておきますが、マーケティングにおいてデータはすべてではありません。
データを見すぎて踊らされてしまい、かえって見えなくなることも多々あります。

それを理解したうえで、
あえてここではこのデータの数字を真正面からうけとめてみると・・・。

まず、これを見て、
やっぱり、クラシックファンは、そもそもコンサートのチケット代に対し、10,000円以上使うことに対し慣れている、とまでは言わずとも、「覚悟がある」と見受けられます。
シベリウスの交響曲を聴きに行こう(全曲と言わずとも)というようなクラシックファンであれば、
やはり、6,000~7,000円/S席と言わずそれ以上、いつもどおり10,000~12,000円/S席ぐらいの値をつけても来ていただけたのではないか、と思うのが一点。

そして、
仮に、
シベリウス交響曲全曲演奏会を聴きにくる人たちの「裾野を広げる」ことを考えたとしても、
価格設定が中途半端だったのではないか?ということも指摘できます。

一番安いB席であっても、4,000~5,000円であったわけですから。。。
(会員だと1,000円引きで3,000~4,000円になりますが、クラシックコア層でない方が会員になる確率は低いと考えられます)
出しても4,000円ギリギリまで、と考えている非ファン層に対し、
シベリウスという、非ファンであればなおさらあまりなじみのない作曲家の、
なじみのないフィンランドのオーケストラの公演を、(一番悪い席で)4,000円で提供するのというのは、
なかなか厳しいですよね。

・・・そんなふうに書いていると、もう圧倒的に「(2)値下げ施策は良策ではない」に傾いてくるわけですが、
データの数字を見ているうちに、うすらぼんやり違うことも感じ始めました。

ええっと、
もう少しなのですが、今回もいったんここできりますー。
はうー
長いねー!笑

あと・・・ひとつだけ。
自分も実際に企業でマーケをしていたからほんとに思うのですが、
「あとだしじゃんけん」、つまり、あとから結果をみてあれやこれや言うことは、なんぼでもできるんですよねー。ある意味、卑怯とも言えます。
なにはともあれ、スケジュールや予算、さまざまなしがらみ、もろもろある中、考え、実行することが一番大変。
というわけで、あれやこれや、エラソーに書いていますが、
(このケースだけでなく、今までそして今後書くすべての例についてそうなのですが)実施にまでこぎつけた方々が一番よくわかっており、最善を尽くされた末のことであること、そしてそれに対し敬意を払っていることを付け加えさせてください><

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値下げは良策か?~チケットのお値段 その1

うわー

うわーーー

めっちゃご無沙汰になってしまいました!

というか、先月1回も更新してませんね・・・
ヨーロッパの方に旅行に行ったりしてましたんです。(言い訳)

それ以外もなんだか予定づくめで、勉強もほっぽりだしておりました。
というわけで、今月からはぴしっと勉学シフトです。
それはそれで、忙しくなってしまうわけですが、
こちらのブログの更新も復活させます!がんばろう、私!がんばれ、おまえ!

※ ※ ※

いろいろとネタもたまっとりますが、
今回は「チケットのお値段」の話。

今春より、大学院での勉強以外に、
アートマネジメント関連に興味のある、様々な立場の有志(アートマネジメントに従事されている方、他業界で経験を積まれている方含め)が集まって勉強会を始めようと思っています。
先日、言いだしっぺの方と今後の方向性などを含めざっくばらんに打ち合わせ?をしたのですが、
初回は、日米のオーケストラホールに関してケースを元に2名が発表し、それぞれの違いを議論しよう、というような流れになっており、
日本の方を、私が担当することになりました。
(この勉強会に興味がおありの方は、ご連絡くださいませ♪)

というわけで、読み込んでいたのが、慶應ビジネススクールのケース教材「すみだトリフォニーホール」。
すみだトリフォニーホールは97年にオープンした都内の公立ホールの中ですが、
オーケストラ演奏のための本格的な設備を持ち、設立構想時から新日本フィルハーモニー交響楽団ともフランチャイズ契約し、年間稼働率も高い成功例として知られています。

■無名のオーケストラの演奏会を成功させた施策とひとつの違和感

sumida01

ケースでは、すみだトリフォニーホールの概要と特徴が様々な角度から書かれているのですが、
すみだトリフォニーホール自主事業の成功例のひとつとして、
99年10月に開催されたラハティ交響楽団の「シベリウス交響曲全曲演奏会」のケースが取り上げられています。

この演奏会は、そもそもラハティ交響楽団(指揮:オズモ・ヴァンスカ)というフィンランドの無名オーケストラのクオリティの高さにすみだトリフォニーホールの事業企画部が注目、招聘時に名乗りをあげたことがきっかけで実現しています。
クオリティには自信がある・・・でも、オーケストラも指揮者も無名。
この演奏会を成功させるにはどうしたらよいか。

そこで、打ち出された施策が下記でした。

■演目(Product)
フィンランドの国民的作曲家シベリウスを取り上げ、ほとんど演奏されないものも含め、交響曲全曲を4日間で演奏する。
※シベリウスの全曲演奏会は当時約30年ぶり
セールスポイント・・・「フィンランドのオーケストラがフィンランドの指揮者で、フィンランドの国民的作曲家であるシベリウスの交響曲を4日に分けて全曲演奏する

■宣伝(Promotion)
<通常プロモーション>
・他オーケストラ公演を中心としたチラシ配布
・クラシック情報専門フリーマガジン「ぶらあぼ」出稿
<特別プロモーション>
・「日本シベリウス協会」(シベリウス研究の団体)の協賛をとりつけ、会員に対しDM発送
・フィンランドの携帯電話メーカー「ノキア」へのアプローチ

■価格(Price)
通常の海外オーケストラ公演に比べ8割~半額ほどの値段に設定
※通常、S席10,000円以上 cf)同ホールの「J.S.BACH in Triphony Hall 2000」ではS席12,000円(海外からの招聘オーケストラの回)

<1回券>
・1~3日目 S席6,000円 A席5,000円 B席4,000円
・4日目 S席7,000円 A席6,000円 B席5,000円
※トリフォニークラブ会員は各1,000円引
<4回セット券>
S席20,000円(5,000円引) A席16,800円(4,200円引) B席13,600円(3,400円引) C席10,400円
※トリフォニークラブ会員はそれぞれ
S席17,500円(7,500円引) A席14,700円(6,300円引) B席11,900円(5,100円引) C席9,100円


Sinfonia_Lahti_big

Sinfonia Lahti

その結果、「この無名づくしのコンサート・プログラムは、(・・・)ビジネス的に大成功を収めるとともに『音楽の友』誌の1999年クラシック・コンサート・ベストテンの第4位に選ばれ」るほどの“成功”を収めます。

■シベリウス交響曲全曲入場者数、入場率(演奏会プロフラム)
1日目(祝):1,680名(内、会員308名) 入場率89%
(交響曲第1番、第3番、交響詩「フィンランディア」)
2日目(水):1,038名(内、会員214名) 入場率58%
(交響曲第5番オリジナル版、第2番)
3日目(金):1,179名(内、会員203名) 入場率65%
(交響曲第4番、第6番、第7番)
4日目(日):1,353名(内、会員275名) 入場率75%
(交響詩「伝説」、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第5番最終版)
全日程平均 1,312名 入場率 73%Cf:99年のすみだトリフォニーホール平均入場率62%※KBSケース教材参照。入場率は大ホールの座席数1,801を元に算出。

さて・・・
長々と紹介しましたが。
私、
このケースを読んだ時、
すぐに違和感として感じたことがありました。
それは、
「えっ、なんでチケット値下げしたん?ということ。。。

■値下げは良策だったか否か?

私がこう感じた理由は、私自身の前職の経験があるからともいます。

前職で私は、営利企業にて(詳細は省きますが)究極の嗜好品?とも言うべきものを扱っていました。
その価値観の中に生きていない人にとっては、まったく意味がないもの、生きていくのに必要ないどころか、形すら、ないもの。
でも、欲しい人にとっては、麻薬のように欲しいもの・・・。

そこで私たちが日々実行していたのは、

■既存購入者に対し、期間限定のセール等定価より下げる施策は行わない
■新規購入者獲得の施策としても、“定価より下げる施策”は不十分。新規購入者は彼らに金を払ってでも獲得する。

この2つでした。

つまり、価格はいじらないんです。
逆に言うと、価格をいじって(=安くして)も意味がないんです。
既存購入者は、たとえ価格が高くなっても、買います。(もちろん、「意味のない値上げ」であれば、たとえ購入したとしても提供側への不満はたまり結局離反を生むので、そういうことはしませんが)
逆にそうでない人は、少々安くても、買いません。
私が関わっていた商材は歴史の非常に浅く、そもそも浸透してなかったこともあり、価格は無料、そのくらいでようやく新規(購入者となる確率が高い人たち)が獲得できる、
そんな感覚でした。
なので、どのような施策をうつにせよ「既存」と「新規」、
「既存」の中でも「商材経験者であり購入経験者」と「商材経験者だが購入未経験者」を明確に分けることが非常に重要でした。

また、“お得意様”に対して差別化することはしていましたが、そこもあくまでサービスの特化であり、価格は一切いじっていなかったのです。

それが体にしみこんでいた(笑)私にとって、
この演奏会の、下手したら通常の半額ほどになる価格施策は驚きでした。

営利企業にいた悪い癖で、ついつい売上を計算してしまう私がいるのですが(苦笑)、
おそらくこの演奏会、全日程でのチケット収入は2,500万前後だと思います。
(S席50%、A席・B席それぞれ25%、セット券割引は考慮せず、5%ほどが招待客だったとして計算しています)
しかし、チケット代金を仮にS席を10,000円、A席8,000円、B席6,000円・・・と、まあ普通よりちょっとリーズナブルかな?ぐらいで計算してみると、一気に4,000万を軽く超える売上になります。
いやいや、プライスが安いから入場率が73%まであがったんだよ、という声があるとして、入場率を平均入場率62%より低い60%で計算してみても・・・3,500万前後は期待できる。
つまり、入場者数が少ない場合でも(仮にですが)1,000万円ほどの売上増加が見込めるのです。

たしかに。
これは営利企業的=売上至上主義的発想であり、非営利企業としては、売上より入場者数・・・たくさんのお客様によいものを聞いていただく、これが第一だと思います。
や、営利企業であっても、たとえば私の前職であっても、単価のつりあげによる売上維持は結局離反を生む、なので顧客単価が高すぎになるとバランスをとって下げるようにすらしていましたから、
まあ、単価をあげて一時的な売上が高くなるようにすればよい、という話ではない。

■値下げ施策に対する2つの考え方、そして、続く・・・

それでも・・・

この値下げの施策を良策として評価するかどうか考えることは、興味深い問題だと思いました。

これに関しては、2つの考え方があると思うんです。

ひとつは、
値下げをすることで、(値下げをしなければ来なかったであろう)既存のクラシックファンに対しアピールすることができ、入場者数を増やすことができた。ゆえに値下げ施策は良策である)」

もうひとつは、
通常の値段にすれば、売上をさらに確保できる可能性があった。その売上は、次期予算に直接反映するものであり、それにより翌年はその分お金をかけてよいものを制作・広くに宣伝することができたはずであるゆえに値下げ施策は良策ではない)」

現時点で私が調べたかぎりでは、
どちらの考えもあり、なのですが・・・
(調べられてないこともあり、その要素がわかればどちらかに傾くかもしれません。)

というわけで、この2つの考え方の詳細と、なぜありなのかを、データなどを元にご紹介したいところですが、
例に漏れず長文エントリなので、
そちらは次回ということで。。
あと、私はダンスやらミュージカルと比べ、クラシックコンサートにはあまり行かないので、
もしかすると日本のクラシックファンの方からするともう自明の理だね、ってことでうじうじ言っているのかもしれません^^;ご容赦ください&ご意見いただければ幸いですっ

※ ※ ※

なお、今回参照したケースは、こちらで一般販売しています。
大本のサイト慶應のビジネススクールのケース教材だけでなく、いろいろ教材や論文を販売しているので、ご興味ある方はどうぞ。ページ数にもよりますが、だいたい500円~1,000円ぐらいで1教材購入できると思います。。

KBSケース教材
(「すみだトリフォニーホール」で検索してください)
大本のサイトであるBookpark

てゆーか、
あいかわらずマニアックな内容ですね。笑
ま、いっか。
これからは、がんばって更新するぞー!

値下げは良策か?~チケットのお値段 その1http://artsmarketing.jp/wp-includes/images/crystal/default.png*arts marketing.jp
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女性よ、恋人と劇場へ出かけよう!

ブログなぞ書いてるヒマはない!
と思いながら、ちょっと面白かったのでたたたっと書きます。
読みづらいところあったらすんません。

※ ※ ※

日本とアメリカそれぞれで調査された「属性・ジャンル別文化の消費度」みたいな結果を眼にした。
各調査をそれぞれ別の文脈で別のタイミングで読んだので、その時はなにも思わなかったんだけど、
先日ふと、あれ、そういえば、と思って両調査を並べて見返してみると、面白い傾向が。

その調査は、学歴や収入、住んでるところや芸術のジャンル別に、どんな属性の人がどんなものをどのくらいの%で鑑賞しているか?ということを調べたものなんだけど、日米の差がくっきり出ていたのが「性別」。

まず、アメリカ。

■97年
     Arts museums/Theater/Classical music
男性     34.4      14.6   14.2
女性     35.5      16.8      16.8
(%)
※米国芸術基金調査

お次に日本

■96年
        美術      演劇    クラシック音楽
男性     17.4       9.9       5.4
女性     24.7      21.5      10.7
(%)
※社会生活基本調査(総務省統計局)

ジャンルの差とかはここではおいておきます。
アメリカに比べ、日本って、性別の差が大きすぎやしません?
どのジャンルもほぼダブルスコアで女性が高い。
アメリカはどれも若干女性が上回っているけど、ほんと「若干」程度。

※特に日本女性の演劇の高さにはびっくりしたけど、
これはもしかしたら、ジャニーズ系舞台や宝塚、あと『テニスの王子様』的なものが牽引しているのかなあとおもふ。
この調査自体は10年前なので、『テニスの王子様』はなかったけど(笑)
この5年くらいで、ジャニーズの東京グローブ座の買収を筆頭に大手芸能プロの演劇分野参入は活性化しているそうなので、もっとこの傾向は顕著かもしれないなあ。

これって・・・
まあ、いろいろ要因はあるんだろうし、
これ以上の資料もデータもないので、ここからは想像で書くけど、
たしかに、海外の劇場に行った時感じるのは、「カップルやご夫婦、ご家族できている人が多いなあ」ということ。
総じて、男性比率も女性と同じぐらいになる。
それにひきかえ、日本では、演目によるけど女友達同士できてそうだなあ、という舞台が多い。
バレエやミュージカルなんかは顕著ね。

海外にせよ国内にせよいっぱい行ってるわけじゃないし、ほんと感覚なんだけど。

それの理由はふたつか。

ひとつは、「ジャニーズ系舞台や宝塚、あと『テニスの王子様』的なもの」と書いたように、明らかな女性ファンターゲットな舞台が多いような気がする。
しかも、売上や動員数を牽引してそうなここあたり。
(今思い出したけど、劇団四季だって、やっぱり女性が多いし、各俳優につく女性ファンがリピーターになっているような気がする。)

プラス、やっぱり根本的に「ゲイジュツカンショウ」って女性のものという感じがまだまだ大きい。
だからなのかよくわからないけど・・・
何かを観に行こう!という時、美術館でも、舞台でも、クラシックでも、
彼氏ではなく、そういうのが好きな女友達を誘う傾向にあると思う。
映画は彼氏だけど、それ以外は女友達。

私も彼をミュージカルに誘うには年数を要した。(笑)
バレエなんかはまだ誘えない。
なぜって・・・

(1)よく知らない人にとってはつまらなくてつまらなくて仕方がないリスクが高い
(2)リスクのわりに価格が高すぎ
(3)そして拘束時間も長い

このへんが強力なストッパーになってしまう。

(このあたりのリスクを徹底的に緩和したのが、安価・短時間のラ・フォル・ジュルネなんすね)

つまり、その根底にあるのは「男って、こういうのつまらないと思ってるでしょう・・・?」という女性側の想いもあるし、
実際、男がバレエだのミュージカルだのとか観るのはカッコワルイ、女々しい、という通念のような気がする。
女性は、芸術鑑賞することも一個のステイタスというか、いい趣味というか、そういうふうなところもあるんだけど、(だから、よく知らなくても誘われれば行ってみたりするモチベーションはあるのね)
男性には、そういうステイタスってあんまりない気がする。
ミュージカル知ってるからモテ、とかってないし。(むしろ逆っぽい)
それは、男性だけの問題ではなくて、
ミュージカルとかバレエとか超詳しい男とかってどうよ?という女性の偏見もありやなしやなのではないかしら。

翻って、じゃあアメリカはどうなんだろうなあと思う。
アメリカに住んでないから、実際のこの感覚はよくわからないけど、
調査上、男女の差はほとんどないのだから、日本のこの感覚とは別のものがあるのだと思う。
いつか、機会があったら、アメリカ在住男女にきいてみたい。

あと、日本においては、映画鑑賞との差、ね。
東宝がやっている「夫婦50割引」だったか、
どちらかが50歳以上のカップルだと二人で2000円、というやつ、
あれは好評かつ効果があったようで、期間限定のキャンペーンだったのが、恒常的なシステムになったんだそうだ。
このキャンペーン自体はシニア層を牽引するのが主たる目的だったとは思うけど、
同じカップル割を、男性牽引の目的で美術館だの舞台だのでやったらどうだろう?と思う。
美術館はもしかしたら増えるかもしんないな。
値段と、あと、つまんなくても拘束時間がわりと少ないし。
男性といって美術展が安くなるっていうきっかけ、言い訳があれば、私、彼誘っていくかもしんまい。
でもなあ、バレエとかはやっぱなあ・・・(笑)ぶつぶつ

しかし、昨年だったか、初めてミュージカルに彼を誘って、
それ以来、「えー、ミュージカルとかみないよー」と言ってた連れがミュージカルも観てくれるようになって、話もできるようになって、
それはなんというか、私にとって嬉しいし、よいことだったからな。
「つまんないかもしんない」とか「わからないよ」とか、
そういう心理的障壁と、それをさらに高くする物理的障壁をどこまで下げられるかが、
男性牽引のポイントとなるでしょう。

まあ、営利なマーケティング的には、「効果が薄い層にはコストをかけなずにきる(ターゲティング)」という選択をとることが正解にされがちなんですが
その結果が、金を出す層からしぼりとる悪しきマーケティングの横行にもなっているわけだからね。
それにやっぱり、アメリカでは男性も女性と同率に楽しめているのだから、
日本の男性が楽しめるチャンスも、もっともっとあるわけだし、楽しんでほしいですよ。うん

というわけで、まずは女の私から、男性を誘ってみることに積極的になってみよう。
そして世の女性の皆さん、隣の彼氏(夫)を、あなたの好きなあの舞台、あの展覧会に誘ってみましょう!

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カテゴリー: ARTS×Martketing, マーケティング関連 | 7件のコメント