うわー
うわーーー
めっちゃご無沙汰になってしまいました!
というか、先月1回も更新してませんね・・・
ヨーロッパの方に旅行に行ったりしてましたんです。(言い訳)
それ以外もなんだか予定づくめで、勉強もほっぽりだしておりました。
というわけで、今月からはぴしっと勉学シフト
です。
それはそれで、忙しくなってしまうわけですが、
こちらのブログの更新も復活させます!がんばろう、私!がんばれ、おまえ!
※ ※ ※
いろいろとネタもたまっとりますが、
今回は「チケットのお値段」の話。
今春より、大学院での勉強以外に、
アートマネジメント関連に興味のある、様々な立場の有志(アートマネジメントに従事されている方、他業界で経験を積まれている方含め)が集まって勉強会を始めようと思っています。
先日、言いだしっぺの方と今後の方向性などを含めざっくばらんに打ち合わせ?をしたのですが、
初回は、日米のオーケストラホールに関してケースを元に2名が発表し、それぞれの違いを議論しよう、というような流れになっており、
日本の方を、私が担当することになりました。
(この勉強会に興味がおありの方は、ご連絡くださいませ♪)
というわけで、読み込んでいたのが、慶應ビジネススクールのケース教材「すみだトリフォニーホール」。
すみだトリフォニーホールは97年にオープンした都内の公立ホールの中ですが、
オーケストラ演奏のための本格的な設備を持ち、設立構想時から新日本フィルハーモニー交響楽団ともフランチャイズ契約し、年間稼働率も高い成功例として知られています。
■無名のオーケストラの演奏会を成功させた施策とひとつの違和感
ケースでは、すみだトリフォニーホールの概要と特徴が様々な角度から書かれているのですが、
すみだトリフォニーホール自主事業の成功例のひとつとして、
99年10月に開催されたラハティ交響楽団の「シベリウス交響曲全曲演奏会」のケースが取り上げられています。
この演奏会は、そもそもラハティ交響楽団(指揮:オズモ・ヴァンスカ)というフィンランドの無名オーケストラのクオリティの高さにすみだトリフォニーホールの事業企画部が注目、招聘時に名乗りをあげたことがきっかけで実現しています。
クオリティには自信がある・・・でも、オーケストラも指揮者も無名。
この演奏会を成功させるにはどうしたらよいか。
そこで、打ち出された施策が下記でした。
■演目(Product)
フィンランドの国民的作曲家シベリウスを取り上げ、ほとんど演奏されないものも含め、交響曲全曲を4日間で演奏する。
※シベリウスの全曲演奏会は当時約30年ぶり
セールスポイント・・・「フィンランドのオーケストラがフィンランドの指揮者で、フィンランドの国民的作曲家であるシベリウスの交響曲を4日に分けて全曲演奏する」
■宣伝(Promotion)
<通常プロモーション>
・他オーケストラ公演を中心としたチラシ配布
・クラシック情報専門フリーマガジン「ぶらあぼ」出稿
<特別プロモーション>
・「日本シベリウス協会」(シベリウス研究の団体)の協賛をとりつけ、会員に対しDM発送
・フィンランドの携帯電話メーカー「ノキア」へのアプローチ
■価格(Price)
通常の海外オーケストラ公演に比べ8割~半額ほどの値段に設定
※通常、S席10,000円以上 cf)同ホールの「J.S.BACH in Triphony Hall 2000」ではS席12,000円(海外からの招聘オーケストラの回)
<1回券>
・1~3日目 S席6,000円 A席5,000円 B席4,000円
・4日目 S席7,000円 A席6,000円 B席5,000円
※トリフォニークラブ会員は各1,000円引
<4回セット券>
S席20,000円(5,000円引) A席16,800円(4,200円引) B席13,600円(3,400円引) C席10,400円
※トリフォニークラブ会員はそれぞれ
S席17,500円(7,500円引) A席14,700円(6,300円引) B席11,900円(5,100円引) C席9,100円
Sinfonia Lahti
その結果、「この無名づくしのコンサート・プログラムは、(・・・)ビジネス的に大成功を収めるとともに『音楽の友』誌の1999年クラシック・コンサート・ベストテンの第4位に選ばれ」るほどの“成功”を収めます。
■シベリウス交響曲全曲入場者数、入場率(演奏会プロフラム)
・1日目(祝):1,680名(内、会員308名) 入場率89%
(交響曲第1番、第3番、交響詩「フィンランディア」)
・2日目(水):1,038名(内、会員214名) 入場率58%
(交響曲第5番オリジナル版、第2番)
・3日目(金):1,179名(内、会員203名) 入場率65%
(交響曲第4番、第6番、第7番)
・4日目(日):1,353名(内、会員275名) 入場率75%
(交響詩「伝説」、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第5番最終版)
・全日程平均 1,312名 入場率 73%Cf:99年のすみだトリフォニーホール平均入場率62%※KBSケース教材参照。入場率は大ホールの座席数1,801を元に算出。
さて・・・
長々と紹介しましたが。
私、
このケースを読んだ時、
すぐに違和感として感じたことがありました。
それは、
「えっ、なんでチケット値下げしたん?
」ということ。。。
■値下げは良策だったか否か?
私がこう感じた理由は、私自身の前職の経験があるからともいます。
前職で私は、営利企業にて(詳細は省きますが)究極の嗜好品?とも言うべきものを扱っていました。
その価値観の中に生きていない人にとっては、まったく意味がないもの、生きていくのに必要ないどころか、形すら、ないもの。
でも、欲しい人にとっては、麻薬のように欲しいもの・・・。
そこで私たちが日々実行していたのは、
■既存購入者に対し、期間限定のセール等定価より下げる施策は行わない
■新規購入者獲得の施策としても、“定価より下げる施策”は不十分。新規購入者は彼らに金を払ってでも獲得する。
この2つでした。
つまり、価格はいじらないんです。
逆に言うと、価格をいじって(=安くして)も意味がないんです。
既存購入者は、たとえ価格が高くなっても、買います。(もちろん、「意味のない値上げ」であれば、たとえ購入したとしても提供側への不満はたまり結局離反を生むので、そういうことはしませんが)
逆にそうでない人は、少々安くても、買いません。
私が関わっていた商材は歴史の非常に浅く、そもそも浸透してなかったこともあり、価格は無料、そのくらいでようやく新規(購入者となる確率が高い人たち)が獲得できる、
そんな感覚でした。
なので、どのような施策をうつにせよ「既存」と「新規」、
「既存」の中でも「商材経験者であり購入経験者」と「商材経験者だが購入未経験者」を明確に分けることが非常に重要でした。
また、“お得意様”に対して差別化することはしていましたが、そこもあくまでサービスの特化であり、価格は一切いじっていなかったのです。
それが体にしみこんでいた(笑)私にとって、
この演奏会の、下手したら通常の半額ほどになる価格施策は驚きでした。
営利企業にいた悪い癖で、ついつい売上を計算してしまう私がいるのですが(苦笑)、
おそらくこの演奏会、全日程でのチケット収入は2,500万前後だと思います。
(S席50%、A席・B席それぞれ25%、セット券割引は考慮せず、5%ほどが招待客だったとして計算しています)
しかし、チケット代金を仮にS席を10,000円、A席8,000円、B席6,000円・・・と、まあ普通よりちょっとリーズナブルかな?ぐらいで計算してみると、一気に4,000万を軽く超える売上になります。
いやいや、プライスが安いから入場率が73%まであがったんだよ、という声があるとして、入場率を平均入場率62%より低い60%で計算してみても・・・3,500万前後は期待できる。
つまり、入場者数が少ない場合でも(仮にですが)1,000万円ほどの売上増加が見込めるのです。
たしかに。
これは営利企業的=売上至上主義的発想であり、非営利企業としては、売上より入場者数・・・たくさんのお客様によいものを聞いていただく、これが第一だと思います。
や、営利企業であっても、たとえば私の前職であっても、単価のつりあげによる売上維持は結局離反を生む、なので顧客単価が高すぎになるとバランスをとって下げるようにすらしていましたから、
まあ、単価をあげて一時的な売上が高くなるようにすればよい、という話ではない。
■値下げ施策に対する2つの考え方、そして、続く・・・
それでも・・・
この値下げの施策を良策として評価するかどうか考えることは、興味深い問題だと思いました。
これに関しては、2つの考え方があると思うんです。
ひとつは、
「値下げをすることで、(値下げをしなければ来なかったであろう)既存のクラシックファンに対しアピールすることができ、入場者数を増やすことができた。(ゆえに値下げ施策は良策である)」
もうひとつは、
「通常の値段にすれば、売上をさらに確保できる可能性があった。その売上は、次期予算に直接反映するものであり、それにより翌年はその分お金をかけてよいものを制作・広くに宣伝することができたはずである(ゆえに値下げ施策は良策ではない)」
現時点で私が調べたかぎりでは、
どちらの考えもあり、なのですが・・・
(調べられてないこともあり、その要素がわかればどちらかに傾くかもしれません。)
というわけで、この2つの考え方の詳細と、なぜありなのかを、データなどを元にご紹介したいところですが、
例に漏れず長文エントリなので、
そちらは次回ということで。。
あと、私はダンスやらミュージカルと比べ、クラシックコンサートにはあまり行かないので、
もしかすると日本のクラシックファンの方からするともう自明の理だね、ってことでうじうじ言っているのかもしれません^^;ご容赦ください&ご意見いただければ幸いですっ
※ ※ ※
なお、今回参照したケースは、こちらで一般販売しています。
大本のサイト慶應のビジネススクールのケース教材だけでなく、いろいろ教材や論文を販売しているので、ご興味ある方はどうぞ。ページ数にもよりますが、だいたい500円~1,000円ぐらいで1教材購入できると思います。。
KBSケース教材
(「すみだトリフォニーホール」で検索してください)
大本のサイトであるBookpark
てゆーか、
あいかわらずマニアックな内容ですね。笑
ま、いっか。
これからは、がんばって更新するぞー!
http://artsmarketing.jp/archives/849値下げは良策か?~チケットのお値段 その1http://artsmarketing.jp/wp-includes/images/crystal/default.png*arts marketing.jp