『ハーブ&ドロシー』続編制作資金を WEB で集める――私の Kickstarter 初体験

今回は久しぶりにアートとソーシャル・メディアの話を書こうと思ってましたが予定変更ー
ちょっと軽めのエントリ書きます。

『ハーブ&ドロシー』続編の制作資金を Kickstarter で!

というのも、
友人のツイッターでこんな情報を発見したんです。

ちょうど1年前にこのブログでもエントリしておりますが、
アート・コレクター夫婦の物語『ハーブ&ドロシー』

映画『ハーブ&ドロシー』の監督、佐々木芽生さんが、続編を作るための資金を Kickstarter で募り始めたとのこと。
『ハーブ&ドロシー』は NY に住む公務員ながら一大アート・コレクターである夫婦を追ったドキュメンタリーで、日本でも昨年末公開され、アート好きの方中心に結構話題になりました。

何を隠そう(?)、昨年のこのブログで一番アクセスが多かったエントリは↑このエントリだったりします。(そして、今年に入っても変わらず検索でアクセスされる方が多いんですよね~)

で、当時のエントリにも書いていますが、ハーブ氏とドロシーさん夫妻がコレクションした膨大な作品たちは、置き場所がなくなって 1992 年からワシントンのナショナル・ギャラリーに寄贈されているます。でも、ついにナショナル・ギャラリーも場所がなくなったのだとか ( ゚д゚)

というわけで、2008年から始まっているのが、全米 50 州の美術館に 50 点ずつ寄贈するという “VOGEL 50×50” というプロジェクトです。

そして今回制作資金を集めようとしている「続編」とは、このプロジェクトを追ったものになるとのこと。

おおおおおおおおおおおお、気になるー!!

ということで、早速 KS のプロジェクト・ページにアクセスしてみましたよ。
HERB & DOROTHY 50X50

今回の調達目標は $55,000、始まってまだ間もないようで、締切は11.6まで(あと50日ほど)。
私がみた時点で $9,000 ドル以上のお金が集まっていました。

そして、目に飛び込んできたのが、見返りとなる T シャツやスケッチブック、アート・チャレンジ・キット等のハーブ&ドロシー・グッズ。
他、出来上がった DVD とかもある。

いいかも……
欲しいかも……
続編みてみたいし……
同じ日本人で頑張ってる監督さんだし……

と思った私、その後もしばしページを徘徊しましたが、エイヤと人生初の Kickstarter 支援をいたしました。(ジャーン)

心惹かれたけど結局支援までいたらなかったプロジェクト

そーなんです。

私、かねてより、これだけクラウド・ファンディングのことを調べているので、どのサービス経由でもいいから何か支援したいなと思っていて、ちょっと心惹かれるプロジェクトもあったんですが、結局いまだ支援経験なしだったんです。(※1)

試しでなんかやってみてもよかったんだけど、「クラウド・ファンディング・サービスを使ってみることが目的」になると、「なんで人は支援しようと思うのか」の心理が体験できないので、ほんとに心から「おおこれはやってみよう」と自発的にアクションしてみたくなるまで待とうと。

ちなみに今までちょっと「心惹かれた」のはこんなプロジェクト

110 Stories: Augmented Reality Twin Towers iPhone App

ちょうど今週10年目となった 9.11 アメリカ同時多発テロ、それに合わせた”110 stories” という企画。(※2)
拡張現実(AR)技術により、今の風景に在りしの日のツインタワーを表示・撮影することができる iPhone アプリを作りたい、というもので、同時に当時の想い出を投稿してもらいアーカイブしていくという趣旨、プロジェクト立案者の方が 9.11 から 10年間こつこつと続けたプロジェクトであることから「ああ、実現したらいいなあ」と素直に思いました。

初めて心から支援したいなと思ったのだけど、結局、支援せずじまい、だけど、ちゃんと目標 25,000 ドル超えして達成したようで。よかった(^-^)

あと、最近だとこんなの

Kentucky for Kentucky: Kick Ass Super Bowl Commercial

これはねー、すごいんです。

広告料がものごっつい高いことで有名なアメリカのスーパーボウル、その出稿費用を KS で集めようというケンタッキー州にある団体のプロジェクト。な、なんと 350 万ドル集めようとしています。ちなみに、今までの KS での最高調達額は100万ドル弱ですよ!!
しかも、流したい CM がケンタッキーの素晴らしさを訴えるものらしい(笑)

調達が始まったのは最近なんですが、1週間あまりで既に $46,000 以上集め、しかもあと 53 日残っていますがいかんせん目標が大きすぎるので、まだ達成率は 1% 強(ノД`)

なんかまあ、ちょっと笑えるんですが、でも、これ実際ほんとに集めたら若干事件だと思います。

そのイベント性(”あの” スーパーボウルの CM 枠を買う行為に自分も加われるかも!とか もしもほんとに調達したら、一気に最高調達額の記録塗り替えだ!とか)と、達成までの道のりの困難さが相まって(逆にいうと、110 stories は、私が支援しなくても絶対これは達成するだろうなという予感がしていた)、ちょい参加してみたくなりました。

ただ、リターンが私にとってはいまいちなのと、とはいえ流されるのがケンタッキー大好き CM なんで(苦笑)、動向は気になりつつも結局支援はしないかなあ。

必要なのは、最低 2 方向からのお金を出す理由

それに比べると、今回のプロジェクト。
これは上記 2 つに比べても、圧倒的に支援したくなる動機が強かった!

  • 前作を見て、面白かったこと

という、そもそも知ってたという「私との関わり」の強さ

  • アメリカ・ベースの KS ではマイナーな日本人女性のプロジェクトであること

という応援したくなる理由の強さ
そして、

  • リターンに用意されいているハーブ&ドロシーグッズが結構いい
  • 新作の DVD もらえるんだったら嬉しい

という見返りへの納得感

これらが揃っていたので、支援するのにほとんど躊躇はなかったです。まあここまで「よし」と思うプロジェクトってあんまりないと思うのですが、少なくとも「応援したくなる」と「リターンがいやじゃない」 2 つ揃ってないと難しいのかもなー。

あと、110 stories は「私が支援しなくても達成しそう」と思ったのとは逆に、アートのドキュメンタリーである『ハーブ&ドロシー』続編は、万人にひっかかるネタではないだろうから(つまり、以前書いた「利他主義モデル」ど真ん中 )、気になる人が支援しなくちゃね、という気持ちにさせたというのも大きいかもしれないです。

その他、実際、やってみて気づいたのは、こんな感じ。

  • やっぱり、いくら支援するかはリターンとのバランスでじっくり考えること。値段の違う服が並んでて、デザインいいのも普通のもあり、どうしようかなと悩むショッピング感覚に似ている(前回書いた「投げ銭システム」との違いだなと改めて思い)
  • Amazon ペイメントでの支払いは激しく楽(※3)
  • 支払った後、サイトに表示されている調達額とかが変わるのはちょびっとわくわくする。(特に私の場合は、ちょうど私の支援で調達額が 4 桁から 5 桁に変わるところだったので、キターと思いましたw)

そんな感じかなあ。

そうそう、あとは早速、佐々木さんから日本語で丁寧なお礼のメッセージが届いて、とっても嬉しかった!

KS はお金を集めるだけじゃなくて、今後の自分の事業を応援してくれるコミュニティを作ることが大事、と書きエントリで書いたけど、本当にそうだなーと。
 「少額×大人数」が「多額×少人数」に勝つ資金調達コミュニティ

そのあたりことや、あとは何度か言及している「ゲーム性」に関しては、これからどんなものか体験してみよーと思います。

とはいえ、自分の感情の動きばかり追ってても一般的なことしかわからないし、かえって事実を見る目を曇らせるので、参考程度に体感する、程度に。
前やっていたデータ等を分析していくことも大事。数字がすべてではないけど、数字が教えてくれることはいっぱいある★
あとはやっぱ、取材だねー

というわけで、

あれ、結局うだうだ書いてしまいましたが!

このエントリを読んだ方で、特に『ハーブ&ドロシー』を見た方、面白かった方、このプロジェクトを応援してみるのもよいかなーと思いますよ! 1ドルから可能です★

さて!
来週こそ、今回書けなかったアートとソーシャル・メディアの話をちょっと真面目に書いていこうかなと思います。たぶんね~

※そういえば来週は、月、金が祝日でしたね。
土日祝日はアクセスが落ちるので、来週は火水木 8 時の更新にしまーす!

————
なお、前々回から告知しますしますといってた、勉強会のお知らせです。

「アート好きを寄付者、支援者に変える――『ファンドレイジング』の基礎」
2011.10.08 14:00-16:30
法政大学 市ヶ谷キャンパス「スカイホール」 ボアソナードタワー26階

がっつり、資金調達の話です。
アメリカのオーケストラで資金調達の専門家として活躍され、現在日本ファンドレイジング協会理事他、ファンドレイジングのコンサルティング、普及活動を精力的にされている伊藤美歩さんをスピーカーとしてお迎えしました。

伊藤さんとお話をした時にとっても印象的だったのは

「資金調達、ファンドレイジングというと『うちの団体の回りにはお金持ちはいないから』と諦めてしまっている人もいるが、『私はお金をもっています、支援します』と目の前に登場する人なんていない。
だから、きちんと支援者候補をあぶりだし、コミュニケーションすることで支援者、寄付者に育てていくことが必要なんです

ということ。たしかに!

セミナーでは、周りの「アート好き」を支援者、寄付者に変えていくにはどうしたらいいか、という戦略、手法を語っていただく他、先日改正されたばかりの寄付税制等をいかに有利に活用していくかという日本の現状により即した話、ご自身の豊富な体験談とともに「ファンドレイザー」という専門職とはどういうものなのか、等についても話していただきます。

実は!
このサイトの about にも書いていますが、私がゲーム業界を辞め、大学院に行くきっかけのひとつとなった本がジョアン・シェフ・バーンスタインの『芸術の売り方――劇場を満員にするマーケティング』というアート・マーケティングの本なのですが、伊藤さんは彼女の元で学ばれていたのですね~。
なので、私的にもかなり原点の気持ちに戻るセミナーだったりします^^

なお、こちらのセミナーは、資金調達業務に関っていない方、アート業界以外の方、学生さん等も大歓迎ですので、関心があるという方は是非こちらのサイトからお申し込みくださいませ!

(※1)
ちなみに、プロジェクト側もやってみたいス。モノ作る人ではないのでなかなかいい機会がないですが…

(※2)
日本語記事見つけました。詳しくはこちら

米同時多発テロ事件から10年、失われたツインタワーを“復活”させるiPhoneアプリ「110 Stories」

(※3)
私は US の Amazon アカウントを持っていたので。
持っていないとアメリカ以外の国からはちょっと最初面倒かも。けどまあ、US からの支援するのであれば、ほんと 1 クリックだと思います。

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アーティストへの投げ銭システムは成功するか?――”Art Micro-Patronage” の場合

今日はまず、今年10月から始まるアーティストへの少額支援の新しいプラットフォームを見つけたので、そちらの紹介から。

展覧会を観ながら作品に「投げ銭」

その名も

Art Micro-Patronage (以下、AMP)


サンフランシスコ発のサービスで、10月1日にロウンチとのこと。

どんなサービスかというと、基本的には月1回、WEB 上で現代アーティストの作品による「展覧会」が実施されます。
オンラインの展覧会がどうデザインされるかは始まっていないのでまだ不明ですが、ジャンル的には、WEB での表現を活かしているメディアアート系が中心の模様。

1つの展覧会につき 7~15 名のアーティストがピックアップされるようですが、このサイトで特徴的なことは、展覧会をみている最中に少額寄付(50セント、1ドル、5ドル)をすることができることです。
こちらもどうデザインされるのかは不明ですが、”Faebook のいいね!ボタンを押すように“ということなので、各作品の横にボタンでもついているのかもしれない。つまり、「投げ銭システム」ですね。

「投げ銭システム」とは、「いい!」と思った WEB 上のコンテンツ等にその場で金銭を送る仕組み(※1)で、例えば私も、UST でめっちゃいいライブが無料で観られた時とか感動して、「これちょっとお金払うよ! 投げ銭システム欲しい!」なんて思うこともあります。
(※1)で引用しましたが、ネットが普及していった時から、というかコンテンツが有料であることが普通だった普及期だからこそトライされてきた結構古くからある考えですな。

で、このサービスでは「投げ銭」をした人(つまりパトロン)だけが、展覧会終了後もこの展覧会をみることができるそうな。(それ以外の人はリストと説明はあるが作品は閲覧できないみたい?)

ちなみに、展覧会ごとに「キュレーター」がいるのですが、キュレーター自身も公募されており、こちらには、展覧会終了時に $200 が報酬として支払われるようです。
もう来月から来年 3 月までの 6 ヶ月分は決まっていて、ざっとプロフィールをみた限りではアシスタント・キュレーター職に就いている人やアーティストが中心ですね。

アーティストを運営側、キュレーター側どちらが選定していくのかその交渉はどちらが?等細かいところはわかりませんが(ある程度運営側かなと思いますが)、どちらにせよこのサービスの特徴的にもおそらく新進アーティストの作品が中心になっていくのではないかなーと思います。

ちなみにこのサービスを立ち上げたのは、The Present Group のファウンダー 2 人。
The Present Group では 2006 年から年間定額制のアート作品レンタルのサービスを行っているほか、アーティスト助成のための WEB ホスティング業務(!)など、アーティストをサポートする事業をいろいろと実施しているようです。今回のサービスもその一貫。

同じ「WEB を通じた少額支援」でも

実は……このサイト、ブログで書こうかちょっと悩みました。

というのも、いろいろと姿勢は真摯だと思うし、投げ銭システムも関心はあるのですが、ほんとーーに失礼を承知でいうと、なかなか成功するように思えなかったのといまいち面白みに欠けるかなーと感じてしまったのです。
で、基本的に「これ、ないよー」っていう発言はネット上ではあんまりしたくないと思っているので。。

でも、このサービスをみた時、同じ「(クリエイター/アーティストへの)少額支援」という言葉でくくられたりするけど、クラウド・ファンディングとはまったく違うんだなーというのはすぐに感じたので、投げ銭システムとクラウド・ファンディングの比較をしつつ、何故このサービスが「なぜ成功するように思えなくて」「面白みに欠ける」と思ったかを書いておきます。(ま、日本語ブログだしね、はは、、)

まず、ざくっと超独断的視点からですが、投げ銭とクラウド・ファンディングってこんなところが違うよねっていうのを挙げてみようと思います。

投げ銭システムとクラウド・ファンディングの比較
項目 投げ銭システム クラウド・ファンディング
動機 コンテンツに対して感動した、役に立ったこと等への御礼=この一瞬への感謝の表現 何かを成し遂げようとするチャレンジへの共感、好奇心=ゴール到達までのゲームに乗る
アクション 「したい」と思った時に1クリック(が望ましい(注1)) 実際に支援するまで、見返り等を読んで支援額決めるというアクションが入る
支援額 自分の気持ち次第 見返りと自分が出せる金額のバランスで決定
気分 ありがとう!! 成功するといいな!!

(注1)決済の関係でそれがなかなか実現できないから、発達・浸透しないというのもあると思います。事前にある程度まとまった額のポイントを買っておいて投げ銭、とかってちょっとハードル高い。Paypal とかの仕組みはよくわかってないのですがどーなんだろ。

適当に書いてみましたが、どうでしょうか……

言いたいことは、投げ銭の基本は「心が動かしてくれた人」に対する「感謝」なんじゃないかということ。
また、ちょっと前に Radiohead が自分たちのアルバムを、好きな値段で DL してもらったり、もっと昔だとダウンタウンのまっちゃんが自分のライブの値段を好きに決めさせたように、「いくら出すかは完全に自分の裁量」というのも特徴。
「投げ銭」っぽいイメージでいうと、この金くれてやらあ!的な粋な感じ(?)かなあ?笑

対して、クラウド・ファンディングの方は、何度もこのブログでエントリしているので詳しくは書かないですが、一番の違いを言うのであれば、投げ銭が「(まさに「投げる」時の)一瞬」のアクションであるのに対し、支援はあくまで”始まり”であり、「一定期間」のゲームへの参加という感覚になるのだと思います。ゲームだから、ルール(期限、ゴール、見返り等)もちゃんと確認する。

つまり、投げ銭が「うおおおおおおお」という感情の高まりの末のアクションだとすると、クラウド・ファンディングの方はもちろんファースト・インプレッションで「いい!」「面白い!」というのがなければ成立しないながらも、その後いろいろ「見返り吟味タイム(どっちを買おうかな、っていうショッピングと一緒ですね)」があるので、ちょっとクールなアクションになるのでしょう。

現代アートと投げ銭システムは合わない?

こうしてみると、今回紹介した AMP が「ちょっとしんどいかも」と感じてしまう理由がみえてくると思います。

まず、基本的に投げ銭って、ライブのような「そこで頑張っている人」が見えやすいものに向いている気がするんです。
AMP がどのような作品を展示してくるかわからないですが、アーティストの姿がみえない「作品」自体に突発的に銭投げるまで感情を高まらせるというのは、結構ハードル高いのではないか。特に現代アートの面白さは、異論がある方もいると思いますが、歴史や文脈、時代や政治状況など、知的な部分を使うことも多いし。(もちろん、そうじゃないのもあると思うし、このプロジェクトでは映像作品とかインタラクティブな作品が多そうなので一概には言えませんが……)

あ、わかった、投げ銭って「拍手」「ブラボー」に近いのかも。拍手って人に対してしますよね。すっごいいい作品でも、作品自体の前であんまり拍手したりしない。(映画とかは別)

thank you thank you
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いやいや、現代アートだって心動かされたらその場で投げ銭するよ。うむ、その可能性もあるでしょう。(だから、そもそもこの企画が成立するわけだし)

だとすれば、投げ銭の価格を 50 セント、1ドル、5ドルにのみ設定していることが(※2)、圧倒的に損していますね。
上にも書きましたが、投げ銭は 100% 「主観的な価値観」に負っているので、ものすごく支払える人がいてもおかしくないんです。だから、自由に金額設定させるべき。
安価を設定して選択させるのは、やはり見返り購入の形をとるクラウド・ファンディングだからいい手法なのかなと思います。

そう、最初このサイトの説明を一通りみた時「うーん」と思ったのは、あまりにも支援額の設定が低すぎて、しかも大人数が支援するようなタイプのものでもないし、経済規模がどうしもすごく小さいだろうなあ。で、「それって果たしてアーティストのために、どうなんだろう」と思ったことなんだよなあ。
キュレーターも公募でギャラがあるのは面白いですが、やっぱ $200 だし。。(こういう場合、払わないケースも多いでしょうから、良心的なんでしょうけどね)

っていって、私の読解違いで、自由に金額設定できたら話は違ってきますが。。(読解違いなんじゃないかと何度も読みなおしてしまったほど、この支援額設定はナイと思う。)

加えて、やっぱり投げ銭システム自体が大変だなあと思うのは、事前にチャージ不要で、支援したい時に気軽にボタン押したら自動的にアーティストにお金がいってるシステム(amazon の 1クリック購入レベルで)がなかなか構築できないこと。
そして! とはいえ、とはいえ、とーはーいーえ、人は払わなくてもよいものにお金を払いづらいんだよなああということ……。(※3)
(それって、投げ銭云々にかかわらず「支援」というものの根っこにある課題か(苦笑))

私も前職を通じて、WEB でお金を払ってもらうことの大変さのは身に染みているので、だからこそ、「投げ銭システムっていいよね!あったら使う!」という声とは裏腹に、実際導入してみたら(一部、そんなことしなくても稼げるミュージシャン等という例外を除いて)労多く使う人少ない、的なことを考えると、うーん、なんかこのサイトもすごく考えて作ったと思うけど、結果的にはどうなるかなあ、、と思ってしまったのでした。

だからこそ、(もちろんほいほい誰もが財布のひもを緩めるわけではないけど)「支援」とは違う心理が働いている気がするクラウド・ファンディングには可能性があるような気がしてしまうということもあり。
あ、射幸性の高い投げ銭システム(なにそれw)とか出来るんであれば、可能性あるかもしれない!!(笑)

とまあ、いろいろ書きましたが、AMP、フタを開いてみたら全然違うサービスで、私の予想などまったく見当はずれ、意外とイケるかもしれません。
どっちにせよ、どんなインターフェイスにするのかなー、どんな展覧会なのかなーというのは気になるので、10月にスタートしたらまたアクセスしてみようと思います。面白そうだったら、またエントリしますね。

———–
いつもいつも長文でごめんなさい(-_-;)
さてー、次回は何を書こう。

実は10月に麻布十番のカフェにて、ごくごく少人数の勉強会で話をすることになっており、そのネタもそろそろまとめたいなと思っているところ。
そこではクラウド・ファンディングの話ではなく、美術館とソーシャル・メディアとか、アート団体とデジタル・オーディエンスとか、そういう話にしようかなーと。
一度ちゃんと資料としてまとめたかったりもするので、そのあたりのネタを書くかもしれません。。皆、関心があることって何なのかな。テーマ決めたら、ブログでも告知します。

あ、そうそう、前回のエントリで予告していた資金調達系イベント告知の件は、ちょっと遅れましたが本日中にアップしますね!

(※1)
古いサイトですが、このようなものもありました。
投げ銭システム推進委員会

(※2)
サイトには書いていないですが、詳細の情報をメールでもらったらそのように書いてありました。

(※3)
個人にお金を支払わせない、つまり企業なりなんなりがスポンサーになって「1クリックするだけで◯円寄付されます」形式をとって、それがかつスポンサー側の意図にあうモデルを考えるという手もあるのでしょうが、それはまた別の話として。。

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あの人は何故支援リピーターになったのか?

9月に入り、10日ほどお休みしてましたが、また、せこせこブログをアップしていきますー

今日はまたちょっとクラウド・ファンディングのことを。

何度も言ってるけど、私は「なぜ人は WEB で(少額)支援するのか?(しかも見ず知らずの人のプロジェクトでさえ)」というところにめっちゃ関心があります。
そこには、支援のようにみえるけれど、今までのスタイルとはまったく違う何か、コミュニティのようなものが生まれているのではないかな、と思っている。
なので、これまでのエントリでも、その問いを考えるヒントとして、「ゲーム性による楽しい、わくわくするという感覚」や、「購入というプロセスによる権利感覚」等を取り上げてみました。

今回は、それに対する別のヒントとして、「プロジェクト立案者と支援者を結ぶ『紹介者』の存在。その役割や意味合いの変化」に注目してみたいと思います。

CAMPFIRE のリピーター支援者、その特徴は

まずは最近「なるほど、へー」と思ったことから。

このブログでもお知らせしましたが、先週、日本でのクリエイター向けクラウド・ファンディング・サービス「CAMPFIRE」を立ち上げた家入一真さんと石田光平さんをお招きしてのトーク・イベントを開催しました。

運営だったもので前半はほとんど聴けていないし(※1)、参加者からの質疑応答もたくさんあったため私からは控えてましたが、終了後、ひとつだけ石田さんに質問してみたんです。

それは、
リピーターの人って、何が楽しくて支援しているんでしょう?
ということ。

Fun at the 2008 ARTumnal
Fun at the 2008 ARTumnal / affinity1
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実は、イベントの中で、「2回以上支援している人がけっこういる(たしか5人に1人はリピーター、と説明されていた記憶が、、がちょっと曖昧なのであとで確認してみます)」という話が出ていたんですね。
Kickstarter はリピーターが12%ぐらいいるのは公式にも発表されているけれど、まだサービスインして3ヶ月ぐらいの CAMPFIRE はプロジェクト数からいってもそんなにリピーターはいないんじゃないかな、と思っていたので結構びっくりしました。
なんで、「みんな、何が楽しくて(楽しくないと、3ヶ月の間に複数回もできないですよね、って私は思うです)支援しているんだろう?」と。

すると、現時点で、支援リピーターの特徴は下記 2 つとのこと

  1. ひとつは CAMPFIRE 自体のファン
  2. もうひとつは、プロジェクトを立ち上げたクリエイターが他のプロジェクトをみて「面白い!」と思ったものを、自分のプロジェクトの支援者たちに「あれも面白いよ」ということで、プロジェクト A の支援者がプロジェクト B も支援するという流れ。これは、運営側が手を出すことなく自然とできているのだとか。

両方ともほーなるほどーと思いました。

まず前者。
そういや最近、「特に人と人とのつながりが重要なサービスのスタートアップにおいて、立ち上げた人の(応援されやすい)キャラクタは重要」というような話がブログやツイッターでちらほら出たけれど(※2)
たしかに CAMPFIRE は家入さん石田さんのこれまでやってきたこと、考えやキャラが、結構サービスの色にも反映されているなと思うので、それ自体に支援したいと思う彼らのファン層が結構いるように思われます。
特に立ち上げ期の今は、サービス盛り上げようぜということで、そういった人たちの支援率も高い気がする。

しかし、このエントリでさらに注目したいのは後者の方です。

イベント後、いわゆる従来の資金調達を専門でやられている方と打ち合わせした際にも、このことが話題に出て、「資金調達したい同士で紹介するとかって、今までの資金調達の現場ではなかなかないし、いいですねー」というようなことを話していたんですが、考えてみれば、クラウド・ファンディング・サービスが「プラットフォーム」であることと、「少額」であることを考えれば、自然と発生しやすいことなのかなあと。

つまり、

  • プラットフォーム=支援フォーマット一緒、PR フォーマットも一緒、かつネット上だから紹介もしやすい
  • 少額=支援者側として複数支援してもそれほど痛くない。資金調達したい側も、別のプロジェクト紹介したからといって「支援が全部あちらにいってしまう」リスクが低い

今までは、大きなお金の(言い方悪いですが)「取り合い」だから、特に同じ分野で資金調達したい同士が支援者を紹介しあうとかって、、事実を知らないので断言できないけど、あんまりしょっちゅう起こる行為じゃないかな?と思います。
よしんばあったとしても、リアルで紹介→寄付は時間がかかるしハードルが高い。
それが、クラウド・ファンディングであれば上記の理由により、「別プロジェクトの紹介」および「追加支援」がしやすくなった。

そして、その「紹介者」が信頼できる人であればあるほど、「どれどれどんなのかみてみようかな」と関心を持つ人が多くなるのだと思います。

「信頼できる紹介者」、
わかりやすくて、従来一番多かったのがおそらく友人(※3)
でも、CAMPFIRE の場合は、それが自分が支援するプロジェクトを立ち上げたクリエイターの場合が目立った、ということなのでしょう。

たしかに紹介者が「友人」だと「付き合い寄付」がかなりありそうだけど、面白いなと思ったクリエイターの紹介だと、「付き合い」という要素が減って、限りなく「本当にプロジェクト B も面白いと思ったから支援」という、わりと美しい図ができはじめているのではないかと思います。

「お付き合い寄付を頼む人」から「支援の目利き」へ?

「信頼できる紹介者」をもう少し掘り下げてみると。
友人、クリエイター以外の「信頼できる紹介者」の候補と言えば、「自分が支援したプロジェクトに支援した人(つまり、価値観や関心が似通っている可能性が高い)」もあげられます。
あ、なんかこれ「ソーシャル」ぽいど(笑)

たとえば、私は個人的な関心で、たまに Kickstarter(KS)で大量に支援している人のプロフィール(今まで/現時点で支援しているプロジェクトリストがみられる)をみることがあるんですが、
そうすると、漠然と眺めているだけでも、その人がどんなジャンル、どんなプロジェクトに支援したがる人なのか、傾向がわかってくるんですね。

で、中には、私と「これ面白そうだから支援してみようかな」感覚が結構似通っている人がいて、その人が他に支援しているリストから、タイトルや画像でぴんときたものを見てみると、面白い、自分にとって「あたり」だったりする。
なので、支援経験が多くて、かつ自分と同様の価値、感覚をもっている人も=(見ず知らずながら)「信頼できる紹介者」なのだと思います。
ここには何か可能性、ヒントがあるのではないだろうか。

実は Kickstarter では、ちょっと違うけど同じような視点のページを今年2月に立ち上げています。
それが、「Discover(プロジェクトを探す)」コーナーにある「Curated Page」というカテゴリ。

curated=キュレーションしたページ、ということで、クリエイティブやアートに関わる団体、学校、サービス、都市等が「自分たちのオススメプロジェクト(利害関係なく純粋にピックアップしたものから、例えば学校等の場合は自分のところにいる学生、フェローのプロジェクト等)」を紹介するページとなっています。参加している団体等の数も、最初は 12 ぐらいで始まったようだけど、今は60以上ありますね。
具体的には動画の YouTube、vimeo、写真の MAGNUM Foundation、テクノロジーのオライリー・メディア、ホームメイド・グッズの Etsy、、などなど、バラエティにとんでおりますが、ミュージアムやアート・スペースもいくつか参加しています。

たとえば NYの New Museum とか。

私なんかはやっぱりつい「ミュージアムあるかな」って探しちゃって、ミュージアムがプッシュしているプロジェクトが気になったりします。
それは例えば New Museum なら New Museum の特徴やこれまでの活動、もっといえば名前を聞いた時に感じる曖昧な「イメージ」により、彼らが選ぶものへの信頼感が担保されていると感じるわけです。
そういう意味で、まさに「プロジェクトと支援候補者の間に立つ紹介者」の役割を果たしているのだと思います。

ちなみに今は団体ばかりだけど、早晩「個人」によるプロジェクト紹介ページも入れていく予定だとか。(※4)

たぶん、まずは著名なクリエイターとかアーティスト他が紹介することになるのでしょうが、その流れでいくと、たとえば Kickstarter の My ページに「この Backer(支援者)をフォローする」「友人になる」なんて機能がつくのもあながち遠い未来ではない気がします。

Friends
Friends / Cristiano Betta
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この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

「この人が支援しているものだったら、関心ある、安心できる」みたいな”支援者のプロジェクト選択眼=目利き”に注目が集まることが普通のプロセスになれば(もしくは潜在的にはもうなっているのであれば)、さらにクラウド・ファンディングは面白く、今までの支援や寄付とは違う領域、違う可能性になってくるだろうなあ。。などといろいろ仮説・妄想がふくらみまくりんぐになりますね(笑)。

まあ、「人は何故支援するのか」というので、「紹介者の存在」というのは先にも書いたとおり、とても古典的な回答なのだとは思います。
が、ネットにより「紹介者」候補になる人の数も多く(=友人・知人じゃなくても紹介者になれる)、資質も多様になってきている(=人間関係、力関係等から生じるお付き合い寄付ではなく、「価値観や面白いと思うもの等が似ている」といった感覚で人の「支援トリガー」をひくことができる)のが重要なのかと。
つまり、「紹介者」というものの役割、意味合い、できることが変わっており、重要性も変化、拡大してるんだろなーということ。

——————
でも、こういった妄想が現実的になるには、ひとつ重要なポイントが。

それは、
そもそも「人は、支援プロジェクトを(わざわざ)”探す”ことがあるのか」?
ということ

上の「curated page」にしても、アクセスしてきた人が「わざわざプロジェクトを探す」ことをしないと意味が無いページなんですよね。

これに関しては、別途検証せねばなりません(って、ほんと私なにしてんだって感じですが笑)が、私の直感は「ある」です。

実際、KS で何百も支援している人の中には、一日に数プロジェクトずつ、けっこう頻繁に支援していたりする人も見かけます。これって、指名買いではなく”ウィンドウ・ショッピング”しないとできないと思う。

では、「ある」としたら「何故か」。なんですが、このへんは前に書いたゲーム性の話とかとつながってくるのと違うかなー。
WEB のオークションともちょっと似ているところはあると思う。

このあたりはまだまだぼんやり「そう思う」だけなんで、これからいろいろ見ていく中でしっかりとした論にしていきたいところです。
KS 以外のサービスもみていきたいしねー

というわけで、このシリーズはまだまだ続きますが、今回はこのへんで!

あ、もしかしたら、早ければ今日の夜ぐらいにイベント告知のエントリをアップするかも。またまた資金調達絡みのイベントですが、今回は切り口がちゃいます。土曜の午後、初心者歓迎なんでいろんな人にきてほしいな。ということでまた後程。

(※1)
イベントの様子は録画しているので、後程専用ページにアップしようかなーと思っています!

(※2)
下記エントリ参照

Wonder Shake,Ready for ,Rettyを事例に見る「応援されるスタートアップ」のキャラの共通項
スタートアップにおけるキャラの重要性

このあたりのブログでも、「立ち上げた人のキャラが重要なサービス」の代表格としてクラウド・ファンディングをあげられています。

(※3)
このエントリで紹介されている infographic によると、「寄付の動機」の50% が友達の紹介。もっと多くても納得する!

オンラインで義援金寄付を募るソーシャルファンディングの効果を表現したインフォグラフィック

(※4)
KS 公式ブログより

Curated Pages are a way for organizations, institutions, and (soon) individuals to share projects they love on Kickstarter.

Introducing Curated Pages

あの人は何故支援リピーターになったのか?http://artsmarketing.jp/wp-content/uploads/2011/09/0912eyecatch-150x150.jpg*arts marketing.jp
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毎日ブログ書いてみて感じたこと――エントリは湯水のように

来週からまた復活しまーすと書きながら、週末まで全然書きませんでしたよ……
ようやっと再開します。

とはいえ、ちょっとズルして?今回は 8 月に「平日毎日ブログ書く」やってみて、感じたことのメモにしとこっかなと思います。
本エントリ?は来週から。。

Man Blogging, after Gabriel Metsu
Man Blogging, after Gabriel Metsu / Mike Licht, NotionsCapital.com
この画像、ウケた。。しかも似たような画像いっぱいあった
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で、
えー
正直毎日書くの、思った以上に大変でした(笑)。

2002年から、途中中断しつつもずっとブログ書いてたし、特に 2005年頃はやっぱり毎日書くって決めて書いてた時期もあったから、だいたい「このくらいの大変さだろうな」とは思ってたけど(てゆか、当時は大変とすら思ってなかった気がする、日常的なことかいてたからね)全然ちゃいました(笑)。

なんとなく思ったのは、昔は基礎代謝量ならぬ基礎書く量(何もがんばらなくても書ける一日の量)で書いていたんだなーってこと。内容がわりとちゃんと調べなきゃだめなものだったからというのもあるんだけど、基本的に今は、そういうのはツイッターとかで消費しているんだよね。だから、それ用に意識的に鍛えた筋肉必要。

でも、毎日書くという宣言とアップ時間を設定すること=締切をもうける効能はものすごくあって、これがなかったら考えつかなかったようなこと、けしてエントリされなかったようなネタもけっこうあります。
「今度はこれかこー」と思ってたネタが書き始めたら全然面白くなくて、うはーどうしよーーと思うだけで時間がどんどんすぎる中、メモ帳の片隅のメモに「ビンゴ!」と思った時の快感は、ある程度自分で締切宣言しなかったら味わえなかった感覚でしょう。
仕事でもそうだけど、やっぱり何かやり遂げるには締切は必須だね!

逆に言えば、「基礎書く量」の件も含め、もう私、締切設定しないでブログを続けられる気がしません(笑)。
なので、しつこく設定しますよ、その時々で頻度とか時間は調整するけどね。

でもって、一番印象的だったことは何だったかっていうとですね。

10年前20年前から痛感している人は痛感していたと思うことなので、改めて言うまでもないんだけど(「頭」では私もわかっていたことなんだけど)

書くということ、文章というものへの意味、効能、役割、スタンス、そういったものが本当に変わったのだなあということ。(※1)

とにかく、文章への金銭的価値はまったくなくなるだろうとひしひしと思った。
単なる情報や調査結果を文章化したものは当然なんですが、アイディアや独創性のアウトプット先としての文章もすべて。
あ、あくまでも、価値がなくなるのではなくて、金銭と交換できる価値ですよ。
価値というと本意ではないので(価値のある文章は今後も生まれ続け、伝えられ続けると思うので)、価格と言えばいいのか。
どんなに名文でも、どんなに優れた研究でも、どんなに”希少”な情報でも、無料になっていくということ。

ひとえに、それまでメディア側が行っていた価格の決定を、ネット上では「書く人自身」が自由にできるようになったことが大きいんでしょう。
そうなった時、果たして書く人(「書き手」とかたいそうなものではなくて、ネットで文章をアップする人すべて)はどうするか?

私個人の感覚として。

今回、私もいろいろ自分でこつこつ調べて書いたこととかもあって、で、ありがたくも「ここから先は今までだったら有料レベルだね(笑)」と言ってもらったこともあったけど、でも(自分が調べたことや考えたことなどたいしたことないという前提をおいといても)「うむここからは、今後、本でもセミナーでもなんらか有料で提供する用にしよう」とは、全然思えなかったです。(※2)

なぜなら、私が書かなかったら、誰かが書くから。誰かが言うから。

それならば、少しでも気づいたことは書いといたほうがいいし。

誤解を生じる言い方かもしれないけど、少なくとも私は、私でなければ書けないこと、文章はないと思うんですね。

でも、誰もわざわざ今、書かないけど、私は「今書こうと思うこと」はあるかもしれない。

じゃあ、無料でも今書きたいと思ったことは書いといたほうがいい。
今の全自分振り絞って、無料でブログを垂れ流す! の方が、やっぱ得策だろうなと。

それを見た人がパクってさらに発展させてしまうのでないか、とか、Read only member の人の方が得ではないか、というのもかつては心配としてあっただろうけど、そうではないこと、やっぱり ROM では越えられない壁があるのを多くの人が気づいていると思うわけです。

というわけで、考え方やいろんな関係の中で決まってくることだと思いますが、基本的には書こうと思えば誰でも文章を湯水のように垂れ流すことができる中、仮に本とかセミナーにしてお金をとれたとしても「それでもネットに無料で出します」という人が今まで以上に飛躍的に増えるだろうなーと思いました。
それが世界を救うようなすばらしいアイディア、触れた人の心を動かさずにはいられない物語だとしても。
これを今更ながら痛感できたのは、よかったなと思うこと。

Writing
Writing / Ed Yourdonbr
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そういえば、早晩エントリしようかなと思っているネタのひとつで、「(特に舞台の)批評はソーシャル・メディアでどう変わったのか」というのがあるのだけど。

たとえば、プロとアマの違い(※3)ってなんだよ、とか、情報公開規制がきかなくなっていることとか、あとは、舞台制作や公開方法のあり方すら変わっていくんだろうなーというのと、「文章ってその内容がいい悪いにかかわらず、ただになってくんやろなあ ( -_-).。oO」と感じた感覚の根っこは、とても近い、もしくは一緒なのではないかと思っている。
まあ友人に批評で食べている人もいて、彼らの文章はとても好きだったりするから、「”ものすごい素人”が書いたブログの感想の方がすごかったりする時代だからね!」で括るのも違う気がしているので、またそういうことが何か大事なことを見逃す気がするので、まだもう少し考えをまとめてから書こうと思っているけど。。

と、なんか今日は与太話のようになってしもて恐縮(誰に?)ですが、

まあとにかく、私はこれからも湯水のようにブログを書き流しますよということで(笑)! 

締め切り設定してね。まあ、いつこの感覚も変わるかしれませんし、
もしかしたら、せこく細かく情報の公開範囲を設定したりするかもだし。(や、今はする気ゼロですよ。そのくらい変わるかもね、ってこと)

なので改めて、来週から月・水・金の朝8時にアップしまーす
ひとまずまた1ヶ月ぐらいやってみて、タイミングとしてどうか実験してみよーと思います。
テーマは引き続き、クラウド・ファンディングの話、アートとソーシャル・メディアの話いろいろ、の予定です。

そうそう、クラウド・ファンディングに関しては、最近いろいろな人と話してて、いわゆる「WEBでの集金ツール」と捉えられる節も多く、そうじゃないよねーという可能性とかを深堀りできたらいいなあーとも。
そうだ、今週月曜、campfire の方に来ていただいたトーク・イベントも開催したので、そこで面白かった話とかも紹介できたらよいなーと思います。(運営で前半は全然聞けませんでしたが、、)

今週末はちょいゆっくりできそうなので、ブログかきためるぞー おー

(※1)
この感覚を肉付けしていく本として、また改めてオングの『声の文化と文字の文化』をぺらぺらとめくり中。
院時代に読んだ本の中でも、いろいろとヒントの多かった本の 1 冊だけど、今読むとまた別のヒントがあっていとたのしです

(※2)
もちろん、全部言ったうえで、本にしたり、有料セミナーしたりというのはあると思います。(それも「しばらくは」かもしれないけど)
でも、その感覚は「ここでしかない情報」にお金を払うのではなく、別のものにお金を払っているよね。

(※3)
アマチュアの語源は『愛する人』。つまり、アマチュアとは知恵を愛する人のこと」というマーケティングの先生が教えてくれた話は大好き。
ちなみに、プロフェッショナルの語源は「事前に(これからやることを)宣言する人」だそうな。

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【今までのまとめ】クラウド・ファンディングは何が新しいのか

いよいよ8月も最終日です。
ブログはこれからも続きますが、今月たぶん半分ぐらいは書いていたクラウド・ファンディングについてまとめとこうと思います。

ちなみに、昨晩『ガイアの夜明け』で小口ファンドについての特集があったそうです。

“まごころマネー”がニッポンを救う~1万円で できること~
自分が投資したお金は何に使われているのか?…いま、”顔の見える投資”が人気を集めている。単にお金を儲けようというのでなく、社会をよくするために、そして”顔の見える誰か”を応援するために投資する。新しい”投資の形”を追った。

9月5日(月)に開催するトーク・イベント(今週金曜まで参加者受付中デース)に来ていただく家入さん、石田さんが立ち上げた CAMPFIRE も紹介されたそうです。(放映後、一時サイトがつながりにくくなっていたそうで、さすがまだまだ TV の影響力はすごいですね)

私はあっさり見逃してしまいましたけど(笑)、今週金曜21時~ BS JAPAN で再放送とのことなので、チェックしとこうかなと思っています。

クリエイター支援クラウド・ファンディング・サービスの現状

で、本題。
今月、主にクリエイター/アーティスト支援としてのクラウド・ファンディングについて、長々といくつもエントリを書いてきました。
今回は、それらをざっとまとめつつ、目次がわりに各エントリへのリンクをはっておこうと思います。

—————-
まず、クラウド・ファンディング=WEB による少額多数による資金調達、とはなんぞや、という話。

そして、この仕組みが、今どのくらい実績を出しているのか、ということで、クリエイター/アーティスト支援のクラウド・ファンディング・サービスとしては現在一番有名であろう Kickstarter(以下、KS)の2年間(2009年4月ロウンチ時~2011年3月)のデータを紹介しました。

Kickstarter は2年でどれだけクリエイターを助けたか

公式データによると、2年間で約2万プロジェクトに約5,310万ドルが集まり、そのうち85%が調達成功したとのこと。

1ドルでも支援したことがあるアカウント数は60万。個人的にはそのうち、8万アカウントが複数回(人によっては何十も何百も)の支援を経験していることにとても関心を持ちました。

なんでかっていったら、こういうサイトで支援するのって、まず考えられるのはプロジェクト立案者=支援してくれーって頼むクリエイター/アーティスト側の友人、知人、血縁関係だと思うんです。
で、2年の間に KS を使って支援を募るクリエイター/アーティストが知り合いに何人もいる、って人はまだそれほど数がいるわけではないと思う。つまり、複数回している人は「見ず知らずの他人」に WEB を通じて支援をしているのではないか。

もちろん、「複数の知り合い(もしくは一人の知り合いが複数回)が 2 年の間に KS でプロジェクトを立ち上げて、そのたびに支援した」という人もいるでしょうが、その分をさしひいても、複数支援アカウント 8万のうち 6 万、つまり全支援アカウント60万のうちの 10% ぐらいは「赤の他人のプロジェクトを支援する層」がいると考えられます。

それって、けっこうすごくないか? と私は思います。この「!」への関心は、その後も続きます

Kickstarter-love
Kickstarter-love / pellesten
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さて、KS の傾向の話に戻りまして、具体的にどんな分野のどんなプロジェクトが多く立ち上がっているのかにも触れました。

■クリエイターにお金が集まるプロジェクトとは

現在支援総額でいうと、映像、音楽がダントツに強いようにみえます。
でもこれは、同じぐらい立ち上がるプロジェクト数も他分野に比べて多いということであり、映像や音楽が資金を集めやすいというわけではけしてない。

むしろ、過去2年で一番多額の資金を調達したプロジェクトベスト10(上記エントリ参照/1位はなんと約95万ドル!)をみると、「デザイン」カテゴリが半分を占めていることがわかる。
トップ10に入っているデザインカテゴリのプロジェクトの資金調達額合計(約215万ドル)は、デザインカテゴリ全体の資金調達額(約360万ドル)の60% であることからも、この分野が「大当たり」する可能性が高いことがわかります。

そう、たしかに、KS で多額の資金調達をしやすいプロジェクトというのはあります。
KS でのプロジェクトは大きく分けて下記2つに分類される。(Garrett 氏のブログエントリ参照)

  • プレ・オーダー・モデル(ウェブショップとしての KS)
  • 利他主義(altruism)モデル(募金箱としての KS)

「プレ・オーダー・モデル」は、たとえば iPhone の周辺グッズでアイディアやデザインに優れているものを考案し、「これ作るから制作費出してちょーだい! できたらあげる etc. するから!」というもの。

それが欲しいからお金を出すわけで、「支援」というのともちょっと違う。限定モデルが欲しい、とかそういう感情に近い。なので、「欲しい!」と思う人が多ければ、調達目標額関係なくどんどんどんどんお金が集まる。
デザインカテゴリで多額を得たプロジェクトが多いのは、こういった種類のプロジェクトが多いからだと思います。
そういった意味では、プロジェクト”支援”者側は「支援」ではなく「購入」という感覚でお金を出していることが大きな特徴といえます。
この話はこの後ずっと続きます。

対して、後者「利他主義モデル」と書いたものは、もっとクリエイター/アーティストよりというか、「こういった作品を作りたいから支援してけれ」というスタイルになるので、仮に”共感”を得て順調にお金を出す人があらわれたとしても、調達目標額を超えた時点で「このプロジェクトはもう大丈夫ね」ということになり、目標以上の資金を調達しづらいわけです。

今までの資金調達の場が WEB にうつっただけではない

これだけだったら、別に(私としては)面白いサイトではありませぬ(笑)。

いわゆる「自分の作りたいものを作りたい」=上でいう利他主義モデル、なクリエイターやアーティストでも、目標を大幅に超える調達をした事例はたくさんあります。
以下、2つのエントリでそんなクリエイター/アーティストを 3 組を紹介しました。

WEBで数万ドル集めるアーティストたち
Kickstarter 成功/失敗データからみる「新しさ」

これらの事例を含めていろいろデータをみていくと、面白いことがわかりました。

Editing our Kickstarter video
Editing our Kickstarter video / Eric Steuer
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彼らを含めた、目標金額を大幅に超えた「大成功」なプロジェクト(仮にここでは目標比 150% 以上調達に成功したものとしてみました)と、目標金額をかろうじて超えた「小成功」プロジェクト(目標比 150% 未満)、あとは目標に届かなかった「失敗」プロジェクトを比べると、以下のような結果が出たのです。

  • 全支援額中の「見返り購入」率:「大成功」>「小成功」>「失敗」
  • 全支援者中の「複数支援経験者」率:「大成功」>「小成功」>「失敗」
  • 1支援者ごとの支援額:「小成功」>「大成功」>「失敗」

※その他のデータや数字の詳細は、こちらのエントリをご参照くさい。
Kickstarter 成功/失敗データからみる「新しさ」(後半部分)
「少額×大人数」が「多額×少人数」に勝つ資金調達コミュニティ

「見返り購入」率について補足しておくと、KS は支援をする際にクリエイター/アーティスト側が設定した「見返り(ある額支援してくれたら○○をあげますよ、というもの。だいたい作ったもののコピーやプレミア・モデル、もしくはレセプション等へのインビテーション等)」を購入するか、それはいらないから純粋に寄付するかを選択することができます。
つまり、見返りを購入している率が高いほど、純粋な支援ではなく、なんらかを「購入」することを選択している、つまり「見返り」になんらかの価値をおいている人が多いということなります。

これらのデータを見ていると、いろいろと想像が膨らみます。
たとえば。
大成功したプロジェクトには、日頃から KS で赤の他人のプロジェクトをチェックしていて、「見返り」になんらかの価値を見いだすのであれば少額で「購入」する、そんな層が多くついているのではないか……なんていう妄想もできますよね。
それは、「1支援者ごとの支援額」が、なぜか「大成功」より「小成功」の方が大きいことにも暗にあらわれているのではないでしょうか?
つまり、より多くの(おそらく)見ず知らずの少額しか払わないような他人を巻き込めたプロジェクトの方が、結果大きな成功をおさめているのです。
(さらにデータをみていくと、多額の支援をぽんとする人がいる割合も「大成功」の方が「小成功」よりやはり多いことがわかります。それでもなお、支援額平均が下がるというのは、少額支援に大人数が集まっているということになると思います)

ここで、従来の資金調達や寄付のパターンを思い起こしてみるに、こちらは、長い関係を気づいた「少人数」の人たちから一人当たり「多額」の支援をしてもらうことが成功のセオリーと考えられていたのではないかと思います。
クラウド・ファンディング・サービスはその逆、「少額」を「大人数」の方が大成功するパターンが多いのかも、というデータが出ていることになります。

そう考えると、クラウド・ファンディング・サービスとは、すっごい乱暴にいうと、

少額×大人数>多額×少人数

であり、従来の資金調達のやり方を WEB にのっけただけではない新しさがあるのではないか。ここが、クラウド・ファンディング・サービスの面白さだと私は思います。

なぜ、人はクラウド・ファンディング・サービスで支援をするのか

そんなことに気づいていくにつれ、クラウド・ファンディング・サービス成功の肝はいかに「赤の他人に対し、支援という名の気軽な購入をするコミュニティ」を作っていくかだと確信していきました。
プロジェクトを立ち上げる側がいかにクラウド・ファンディングで資金調達に成功するか、という視点のエントリや文章は海外のものを探せばいっぱいあるのですが、まだそのコミュニティを作る途中である日本においては、まずはクリエイター側のノウハウではなく支援者コミュニティ側形成の研究であろう。

と考えた私は、
なぜ、人はクラウド・ファンディング・サービスで支援をするのか」という深遠な話題(w)のヒントをつかむべく、従来の寄付と比べる形でいくつかエントリを書いています。

クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い
「こちら側」が見えないと人は動かない―クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い(2)
Kickstarter は「支援」ではなく「旅」のプラットフォームである

権利感覚、運動が起こる際のメカニズム、なぜ人はゲームに夢中になるのかーー

出てきたキーワードはいろいろあれども、いろいろまとめると「ゲーム性」というところに集約されていくのかなー、というのが今の感覚です。
そして、それが、従来の寄付や支援とまったく違ったメカニズムであることも。

ゲーム性、というと、どういったタイミングで報奨を与えるか、人と競わせるか、、などといったテクニックの話を想像しがちだけど、そういう種類のものではなく、もっとベーシックな人の心理につながること。

ひとつキーワードをあげるとすれば、このエントリで紹介したゲーム・デザイナーであり研究者ジェーン・マクゴニガルさんの「人はエピック・ウィン(壮大な勝利)を感じられるからゲームに夢中になる」という話でしょうか。

エピック・ウィン――際立ってよい結果。
それが達成するまで自分にそのようなことができるなんて思えないほど、
実際達成したら、自分の可能性に衝撃を受けるほどの。
自分の1アクション、1アクションが自分の存在に意味を与えるような物語。

Photo by Cynthia Sambro-Rier
Photo by Cynthia Sambro-Rier / DCist
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この話を適用してみるのであれば、クラウド・ファンディング・サービスで支援する人々は、見返りの購入という行為を通じて「エピック・ウィン」を求めるたびの参加権を得ているのかもしれない。

多少”叙情”的ではありますが、こんな仮説も、直前のエントリでは書いてみました。

ここのあたりはこれからどういう道筋、どういった言葉で語っていくことになるか、自分でもよくわからないのですが、私のそもそもの原体験のような関心ともいろいろとつながってきそうな予感がするのでじっくり考えていきたいと思います。

—————
というわけで、なんか知らんが、いろいろなきっかけではまってしまったクラウド・ファンディング・サービス探求(笑)ですので、これからもしばらく飽きるまで書いて見ようと思います。

KS のようなクリエイター/アーティスト支援以外でも、さまざまな分野、特に社会貢献活動分野は相性がよくって、いっっっっぱいサービスがあるので、そちらの調査もしてみたいですし

※たとえばこんなの↓
「世の中を変える広告」を皆で出稿しよう――LoudSauce.com

他、エドワード・ノートン等のセレブリティがどーんと投資してやってるサービスなんかもあるのですよねえ

こうした仕組みでクリエイター/アーティストが資金調達できる時代になってきた時、単純に一回の制作費を調達するという考えでいてはあまりにももったいないので、そのあたりの可能性やサバイバル能力として必要なことも書いていければと思う。このあたりは、もうちょっとあとのタイミングかなー?

※実際に事業のためのシード・マネーという視点で KS で資金調達を行った人の事例を紹介エントリはこちら
Kickstarter はお金を集めるだけのシステムか?

もちろん、それ以外のネタ、、、アートとソーシャル・メディア的な話も引き続き書いていきたいでございます。

ブログを平日毎日書いてみて気づいたこととかは、ぜひ別エントリでメモしておこうと思っているのですが、とりあえず、「8月毎日ブログ書く」自分企画は無事終了しましたので、今週は(こういった形の)ブログアップはお休みし、来週からは月・水・金更新とかにしようかなーと思ってます。あ、わかんない。火、木にするかも(笑)
で、記事書くサイクル的に更新時間は朝の8時か9時にしようかなと。

【9.6 更新】
といいながら、、今週まだ更新してませんがな!
ちょっと詰めて作らねばならないものがありますので、今週金曜から更新再開しますね。

なんにせよ、毎日書いたら、書いた分だけ、ちゃんと読む人や反応をくれる人も増えてくれるのでそこはすごく嬉しい^^ ありがとうございます。
これからも続けていきますので、引き続きよろしくお願いしまーす。

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Kickstarter は「支援」ではなく「旅」のプラットフォームである

前回のエントリで、「次回は全然違うことを書く」と書きましたが、ちょっとチャレンジングな内容だったのでやはしちょっと後日に回します(笑)。

今日もちょっとクラウド・ファンディング・サービスのことを。

ここ数週間、ちょこちょこ調べてブログでまとめて改めて確信したのは、クラウド・ファンディング・サービスの決め手は「見返り購入者コミュニティ」の形成にあるということです。

Kickstarter(KS)で言うならば、支援経験者60万アカウントのうち、複数回支援をしたことがある8万アカウントのコミュニティをいかに創っていくかということ。
このエントリでも書きましたが、それこそが KS の資産だと思います。

何度か書いてますが、クリエイター/アーティストがいかに資金調達していくかも関心がありますが、その前段階としてどうしたらこうした層をつくっていけるか、というのが目下最大の関心事です。

これは私の今までの実務経験も集結させた研究に近いので、いろいろな面から調査や取材をしてみたいなと思っていますが、、

今日は、その要素のひとつである「ゲーム性」について、また少し触れたいと思います。

クラウド・ファンディングの「ゲーム性」については、「クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い」エントリでも”決定的な違い”のひとつのキーワードとして言及しています。

さて、このエントリで私は

「私が、Kickstarter や LoudSauce をみている中で、ちょっと支援してみてもいいかも、と思ったのも、そもそもはこれらの「ゲーム性」に、「面白そう」「ちょっとやみってみたい」という感情を喚起されているというのがほんとのところなのかもしれません。」

と書きました。

が、
何故、そういう感情がわいたのでしょう?
そも、人は何故ゲームにはまるのでしょうか?

人は「エピック・ウィン」を求め、ゲームにはまる

こういった話は、昔からさんざん研究があるはずで、それらの実績をまだ紐解いていませんから、たしかな話、最先端な話はできないですが、それらにつながる「ヒント」をひとつ紹介したいと思います。

ゲーミフィケーションという言葉が、マーケティング分野でバズワードになりつつあるのは前々回のエントリでも触れましたが、その分野で有名な研究者でありゲーム・デザイナーの一人にジェーン・マクゴニガル(Jane McGonigal)さんがいます。

ジェーンさんは若くて綺麗な女性なんですが、本当にユニークで

「みんなそんなにゲームに熱中するなら、現実をゲームにして実際の課題をクリアしてもらえばいいじゃない!!

というのを真面目に明るく言い続けている人です。
昨日のエントリで紹介した動画で言えば、確実に「lone nuts=孤独な変わり者」のダンシング・ガイ側です(失礼 笑)。

彼女の TED での有名な講演はこちら。

20分ぐらいありますが、日本語字幕ありますので、もし初見の方がいらしたら是非ご覧になることをオススメします。
彼女の突飛にも聞こえる主張が時に聴衆の笑いを誘いながらも、信念、意志と楽観主義を感じさせるいいスピーチです。

彼女は実際に、ゲームで世界を救うべく、石油不足危機を乗り越える”World Without Oil“や実際の食料やエネルギー、貧困、紛争などの問題の解決をする”Evoke“などのオンライン・ゲーム(※1)をリリースしています。

彼女は上記の講演で、いくつか「ゲームする人」に関する面白い研究結果を披露していますが、人がゲームに夢中になる理由として取り上げているのが「エピック・ウィン(Epic Win)」というキーワードです。

「エピック・ウィン」とは何か。
それは「際立ってよい結果」だと彼女は説明します。
どのくらい「際立って」かというと、

「達成するまでは、それが可能だとさえ思っていなかったような」
「達成した時は、自分の可能性に衝撃を覚えるほど」

です。

ジェーンさん曰く、ゲームをプレイしている人は「エピック・ウィン」の間際の顔(ある差し迫った感覚、多少の怖れ、極度の集中、深い没頭……)をしているといいます。

Playing computer games
Playing computer games / aka Kath
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そして、「エピック・ウィン」は自分が今やっていること、ひいては自分の存在に意味を与える物語を提供する、だから、人は難しい課題に取り組みながらも深い満足感を得るのだと。
これが、彼女が言う「人がゲームに夢中になる理由」です。

見返り購入は「エピック・ウィン」の旅への参加権か?

おそらく、人がゲームにはまるメカニズムの説明としては、「エピック・ウィン(壮大な勝利)」は(それこそ)叙情的なキーワードだとも思いますが、私はぴんとくるところもあり面白いなあと思いました。

そもそも、人のわりと根っこに近い欲求として、「自分のアクションで何かが変わっていく」ことを欲する、それに夢中になる、というのがあるのではないでしょうか。

小さいことでもいいのです。
たとえば、今でも時々、ウェブを作る際に、
小綺麗なフラッシュのサイトより、ちゃちいアクセスカウンターがあるサイトがある方が人は訪れる」と言っていますが、はまらせるウェブの大きなポイントは「アクセスするたびに何かしら変わっていること(アクセスカウンターの数字でも)」なんだと思います。

そんなことでも人はまたアクセスしようと思います。

いつも何か変わっている=更新されているサイトの極みがミクシィや Facebook などの成功した SNS や、ツイッターでしょう。
よくわからないですが、自分の行動が何かを「変えている」という感覚(錯覚の場合も多し)が、もしかしたら人が求めているものなのかもしれません。

で、もちろん、その「変わり方」は大きく、ドラマチックであればあるほど、人ははまっていく。
そしてそのアクションの結果が「壮大な勝利」に近づくもの、近づくと感じられるものは、最高のカタルシスを与える。
そういう意味では、ゲームは能動的なアクションとストーリーが複雑に絡み合っているものですから、「エピック・ウィン」感覚を生みやすくて当たり前なのでしょうね。(※2)

そして同様に、クラウド・ファンディング・サービスもそのゲーム性によって「エピック・ウィン」を与えているのでないでしょうか。

従来の寄付は、ものすごい多額でない限り、自分のアクション(寄付)による「エピック・ウィン」(=自分の力がアート界を支えたのだ!!とか新たなアーティストを生んだのだ!!的な)を感じることは難しかったでしょう。
特に、(クラウド・ファンディングで集めるような)少額を寄付箱に入れるぐらいでは。

対して、クラウド・ファンディング・サービスは、前々回エントリで触れたような”ゲーム性”(※3)――期限、目標、独自のルール、プレイヤーの存在――によって、少額であっても支援することによって人に「エピック・ウィン」を感じさせている。
うーん、あのサイトは日々無数の「エピック」が生まれている宝箱のようなものかもしれない。

ジェーンさんは、上記の TED の講演の中でとても示唆にとんだ発言をします。

「世の中のために良いから」「そうすることになっているから」といった理由で生活を変えたいと思う人はいません。
しかし壮大な冒険に浸っていると「石油がなくなった」ということが、ものすごい冒険の物語に変わるのです。
どう生き残れるか自分で挑戦するのです

一行目、超重要です。

そう、そんな理由でわざわざ自分の生活を変える人はほとんどいないんです。
それなのに、そういった、もしくはそれに似通った理由で、堂々と協力してもらおうとしているところも多いのではないかしら。特に、特定のお金持ちや代々の支援者や投資家や、、ではない、市井の人々を巻き込まなければいけいない場合は、この感覚はもう通用しないでしょう。

では、クラウド・ファンディング・サービスを通じて支援している人たちの感覚とはどういったものなのか。
「エピック・ウィン」という概念を適用してみるのであれば、もしかしたら彼らは(”「世の中のために良いから」「そうすることになっているから」といった理由”ではなく)
単に、見返りの購入を「参加権」に、エピック・ウィンを求める旅を楽しんでいる人たちと言えるかもしれません。

Monitored
Monitored / CarbonNYC
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そう考えると、本エントリの冒頭に書いた「見返り購入者コミュニティ」というものの一側面が浮かび上がってくるようです。
あくまで一側面であり、これだけではないと思いますが。

……以上、今回は、今後もじっくりみていきたい「見返り購入者コミュニティ」のモチベーションとその成り立ちに関して、「とっかかり」となるような見方をひとつ提示してみました。

さて!

明日は、8月最後の日です。一応8月8日から始めた「8月平日は毎日ブログを書こう」計画最終日でござんす!!
とはいえ、せっかくいろいろ整理するいい機会になっているし、ブログを書くコツもつかみはじめてきているので、9月以降も続けたいとは思ってますが(2日に1度ぐらいにするかも)明日は、3週間ねちねち書いてきたクラウド・ファンディング・サービスの今のところまでのまとめでもよいかなあと思っています。

更新時間は明日まではとりあえず22時で!

(※1)
エンタテイメントだけではなく教育的な一面をもつゲームとしては「シリアス・ゲーム」、現実を舞台にしていくゲームとしては「代替現実ゲーム(ARG)」などと呼ばれたりもしています。

(※2)
ちなみに、エピック・ウィンを構成する要素は下記だと説明されています。

  • ミッションに向かう自分に信頼をよせるさまざまなキャラクタ(味方)
  • 達成可能だが(と信じられるが)限界に近いミッション
  • 自分の存在と行動に意味を与える物語
  • アクションしたことに対するポジティブなフィードバック

(※3)
通常ゲーミフィケーションと言われるもので特徴としてあげられるものはもう少し複雑であり、ソーシャル・ファンディングの「ゲーム性」はとても原始的だと思います。

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「こちら側」が見えないと人は動かない―クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い(2)

前回エントリ「クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い」では、

  • 新聞や DM 等従来の広告、お知らせでしる寄付、支援要請はスルーしてしまうのに
  • クラウド・ファンディング・サービスだとちょっと面白いなと足をとめてしまうものもあるのは何故だろう?

という疑問に対し、

  • クラウド・ファンディング・サービスと従来の寄付では、プロセスにおける支援する側の心理がまったく違うこと
  • そのキーワードは、「購入プロセスによる権利意識の発生」と「ゲーム性」によって”自分ごと”になるからではないか

と推測してみました。

今日はその補足というか、こんな理由もあるんじゃないかなーというのをもひとつ書いておこうと思います。

「社会運動はどうやって起こすか」

ここでひとつ、私が大好きな動画を紹介します。

フェスティバル会場らしき芝生の上で音楽にあわせて上半身裸短パン姿で踊りだす一人の青年(笑)。
まわりにいる人は遠巻きに観ていますが、19秒頃変化が訪れます。

一緒に踊る人が現れた!!!

いやっほうー ( ´∀`)人(´∀` ) と二人で手をとり踊っていると、54秒頃にもう一人が加わります。

そして、転機は1分13秒に訪れる。
突然、複数の人たちが次から次に踊りの輪に加わりはじめるのです。ヽ(・∀・)ノ

その後は雪崩のごとく人が押しかけ、最後は踊る大集団になります(笑)。

私、この動画のハッピーな感じが大好きなんですねー^^
有名な動画だと思うので、ご存知だった方も多いと思いますが、さらにこの動画を有名にしたのが TED でのデレク・シバーズ(Derek Sivers)のこのスピーチです。
3分程度、日本語字幕ありなので是非みてみてください。

社会運動はどうやって起こすか(How to start a movement)
このお題でのスピーチで、彼はダンシング・ガイの動画をみせたのです。そして、一人のダンシング・ガイが踊る大集団に化けるまでをなぞりながら、ひとつのアイディアが大きなムーブメントとなる際に必要な要素は何かを指摘しました。

では、彼は社会運動に必要なのは何だと指摘したのか?

それは、「最初のフォロワー」です。

最初に踊りだした”変人”はもちろん重要で偉大なのだが、私達は”変人”ばかり注目し、功績を評価している。
だが、「一人の変わり者をリーダーにしたのは最初のフォロワーなのである」とデレク氏は言います。

  • ”変人”がやっている奇妙なことに注目したこと
  • その仲間にえいやと入ったこと
  • そして、他の人たちを引き入れたこと(たしかに最初のフォロワー君は途中で招き入れるようなしぐさをしてます)

勇気ある「最初のフォロワー君」がいないと、ほとんどの人はたとえ”変人のダンス”を見たとしても、おっかないし意味不明だし入ることができない、入る気すらわかないわけです。
でも、「大丈夫!」「楽しい!」を言ってくれる人がいるから、皆一歩が踏み出せる。
そして、デレク氏曰く、最後は「その輪に入っていない方が変人扱いされるから、みんなこぞって輪に入ろうとする」。

やー、いろいろうまいですよねーーー
この動画からこのテーマ、かつ、ダンシング・ガイ本人ではなくフォロワーに注目するって視点がすごいなーと、みた当時感心したものです。

「自分たち側の人々」を可視化する

と、つい、動画の説明に熱心になってしまいましたが、「社会運動を起こすには最初のフォロワーが重要」というデレク氏の指摘は、クラウド・ファンディングと従来の寄付の話にもつながるのではないかと思います。

ほとんどの場合私達は、”変人のダンス”を見かけても彼と一緒に踊ることはない普通の人々です。
その中でも「実は関心があるけど勇気がない」場合と「そもそも関心がない」場合にわかれると思いますが、まずは前者の場合。

Dance, Baby, Dance
Dance, Baby, Dance / Velo Steve
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支援なり寄付なりを求められる時って、特に知っている人がやっていない限り、相当あやしいものだと感じてしまうものだと思います。

なんかみんなでだまそうとしてるんちゃうか?
ほんとに彼らがいっているように私のお金(支援)は使われるのか?

そういうふうに思ってしまうのは人間の心理として当然のことだと思うし、だからこそ、中でやっている人はちゃんとしてる人ですよーというのを明らかにしたり、支援者のコメントを出したりするわけですね。

それでも、そんなのどれだけでも「操作」できてしまう。ということを私達は知っている。

ですから、支援を募る側がどれだけ「中の人の経歴」「支援者のコメント」をいっぱい準備しても、それもひっくるめて、支援を求められている側からしたらあちら側(支援募る側)」の人たちなのです。

デレク氏言うところの「最初のフォロワー君」は、スタンス的に「あちら側(変人側)」ではなく、踊ってはいるけれども「こちら側(私達といっしょ)」の人とみなされていることが大きなポイントだと思います。
同時に、彼(最初のフォロワー君)の様子が「こちら側」から見えていることも同様にとても重要な点であると。

「大丈夫!」「楽しい!」を言う人は、こちら側」の(と私達が感じる)人でないと信用できないんです
でも、従来の寄付や支援の呼びかけ、募集は、「こちら側」の人々をみせようと思っても、誰をどう見せるかというのが「あちら側」のコントロール上にあるというメディアの特性上、不可能だったのだと思います。
だから、パーティや会合等のフェイス・トゥ・フェイスのやりとりがとても重要なのだったのでしょう。

対して、クラウド・ファンディング・サービスはどうか。
プロジェクト・ページを最初にみた時、いろいろと目に入ってくる情報がありますが、その中のひとつに「(現在までの)支援者数」があります。
ついでにいえば、支援額ごとにどのくらいの人が支援しているかFacebook の「いいね!」数支援者からのコメントまでわかる。

もちろん、これも「あちら側」の人たちで仕込むこともできるわけだけど、実際の支援額支払いや、アマゾンペイメントに紐づいたアカウントの問題があるので、数をそろえるにも限度があります。
なので、既に何十も支援を得ているものは「あ、『こちら側』の人も支援するようなプロジェクトなんだな」というのがわかるわけです。つまり「最初のフォロワー君」とその仲間たちが可視化されている。
そうなると、支援へのハードルはぐっと低くなるのではないでしょうか。

そして、支援者数が何十単位の後半~何百単位になってくると、さらにデレク氏が言う「その輪に入っていない方が変人扱いされる」……は大げさかもだけど「輪に入っといたら面白そう」という状況に近い雰囲気が生まれてくるのかもしれない。
そうすると、先程書いた「普通の人々」の後者「そもそも関心がない」人たちすら、ふと目をとまらせるもの、そんなプロジェクトになっていく可能性が高い。

従来の寄付の場合は、たとえ多くの支援者を集める強度があるものでも、それを可視化して皆に見せることハードルがとても高かったのだと思います。たとえば、新聞やTVに取材されるぐらいの求心力、ネタ性、「現象」っぽいものがないと、けして外に出ることはなかったでしょう。

以上、まとめてみます。

  • (ネットというのはそもそもなんでも可視化する性質があるのだが)クラウド・ファンディング・サービスにおいては、プロジェクトにおける「最初の(もしくは最初でなくても)フォロワー」を可視化するという機能があるということ
  • しかも、その存在が「見える」ことは、社会運動を起こすには非常に重要であること
  • にも関らず、今までの寄付、支援活動では見えづらかったこと

これらの点も、前回のエントリで書いた内容に加えて、クラウド・ファンディング・サービスの大きな利点であるといえるのではないか(※1)、というのが今回のエントリでした。
ちょっと今日は駆け足でしたが、まあ、いい動画を紹介できたのでよしとします(こんなん多いな笑)。

ちなみに今日、今までのクラウド・ファンディング系エントリで気づいた点などをツイッターでまとめてつぶやいてみたりしたのだけど、やっぱりクラウド・ファンディングって「今までの支援のシステムをただ WEB にもってきただけではない、もっと古くて新しいもの」というのが調査すればするほど強く感じるところで、そこを探りたいし、今後も書いていきたいなーと思うところです。
引き続きゴリゴリ気づいたところをこのブログで共有していきます。

と言いながら、明日は、全然別のことを書く予定です。ズコー
書きたいなあと思ってるネタがあるのですが、ちょっと、昔読んだ本を読み返したいので、準備に時間がかかりそうなのが心配。。無理そうだったら、別のに変える。
あと2日で8月も終わるのでがんばって更新します!

(※1)
もちろん、本当に支援している人がいるかどうかが可視化されてしまう、つまり「はったり」がきかなくなるということなので、支援を募る側としては「利点」とは言い切れないところがありますね^^; それに、逆ににぎわっているように見えるという「はったり」をきかすことも可能なので、それを見極めることはあいかわらず必要。

「こちら側」が見えないと人は動かない―クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い(2)http://artsmarketing.jp/wp-content/uploads/2011/08/0829_eyecatch-150x150.jpg*arts marketing.jp
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クラウド・ファンディングと今までの支援の決定的な違い

昨日の続き

「世の中を変える広告」を皆で出稿しよう――LoudSauce.com

前回のエントリでは、社会貢献活動団体のために広告出稿代を WEB で集めるサービス LoudSauce.com を紹介したうえで、

個人的には、このサイトを見つけた時、「面白い!ちょっとやってみたい!と反射的に思ったけれども、同じ企画(社会貢献活動団体が広告出稿するための寄付)を、たとえば新聞のPR欄や DM で知っても、よほどのことがないかぎり、関心も沸かず、支援などこれっぽっちも考えなかったのでは?

と書きました。

ではなぜ私は、LoudSauce.com であれば支援してみよっかなと思ったけど、新聞や DM で知った場合は関心が沸かなかったのかしら?
その理由に、クラウド・ファンディングの資金調達手法の優位性があるに違いない、ということで今回はそのことを書きます。

クラウド・ファンディングと寄付における心理の違い

手っ取り早く、クラウド・ファンディングを介した支援と、新聞や DM 等で知った場合・・・つまり、従来の団体への寄付(主にパーティ等の Face to face ではなく、WEBも含めたメディアで知る場合を想定)の時における心理等を、「あくまでも、(なけなしの経験から思い起こす)私個人の感覚」であることをお断りしつつ、ざっと比較してみたいと思います。

クラウド・ファンディング支援と従来の寄付・比較
過程 クラウド・ファンディング 寄付
導入 ・何を目標としているかわかる
目標金額と現時点での達成率がわかる
・いつまでが期限かわかる
どのくらいの人が既に協力しているか/否かがわかる。
・何を課題としているかわかる(たまにわからない場合もある。。)
・目標金額がわかる場合もあるが、「集められるだけ多く」の場合も多い
・期限が設定されていない場合も多い(「いつでも受け付けます」といった感じの)
現時点での他の協力者はわからない場合が多い
支援 ・多くの場合見返りの「購入」
目標達成していない限り、購入の約束のみであり実際のお金は被支援者へ行っていない
金銭の寄付
寄付した瞬間からお金は被支援者側へ
経過 ・いつでも目標を達成したか否か(自分の支援が有効になったか否か)、リアルタイムの目標達成率がわかる ・基本的にリアルタイムの経過はわからない。被支援者に託す
達成 ・WEBにアクセスすれば、いつ、どのくらいで達成したか/してないかわかる
・達成した時の気分は→「ヤッター!(高揚)
・基本的には被支援者側の報告待ち
・目標がないので「達成」という感覚もあまりない
・(仮に)多く集まった報告をみた時の気分は→「よかった!(安堵)」(「多い/少ない」も主観である)

いかがでしょう。
まあ、みてのとおり、だいぶプロセスや設定に違いがあるわけです。

従来の寄付や支援活動にはない、クラウド・ファンディングの大きな特徴は「権利」と「ゲーム性」という感覚だと思います。

まず「権利」感覚の話からすると、
クラウド・ファンディングは、基本的には投資のような金銭の見返りはなく、特に LoudSauce のような社会貢献に関係しているものや、Kickstarter でも「利他主義(こちらのエントリをご参照ください)」のものは、「支援してあげたいな」という感覚が必ずどこかにあります。そのあたりは、きっと従来の寄付と同じ感覚です。

しかし、ここで「購入」というアクションが入ることで、どれだけ支援の気持ちがあったとしても、おのずとそのものに対して「権利」を有するという感覚がうまれるのではないかと思います。(このあたり今は感覚で書いていますので、もっと自信をもっていえるよう勉強したいですが)

「権利」には「主張する」や「行使する」という動詞がすぐに思い浮かぶとおり、自分ごとにする力があると思います。クラウド・ファンディングの場合は、達成しないとその権利は失効しますから、権利がうまれる=達成するまで、そのプロジェクトは「自分ごと」になるわけです。しかも、主体的に WEB にアクセスする気さえあれば、いつでも何回でもリアルタイムで状況をチェックすることができる。

それに対し、寄付の方は、なんというか団体なり人なり志なり、何か”向こう”にあるものに対して「あんたに託した」「あげたお金ですから」感が少なからずあります。もちろん、きちんとどのように使われたかどうかは気になるところですが、どこかお金が「向こうへ行ってしまった」感はあるかと。その団体等に信頼があればあるほど、ある種の「放棄」が行われるわけです。

そういう意味でいうと、クラウド・ファンディングの方には、そこまで相手に対する「信頼」はなくても出来てしまう行為なのかも?
このへんは超仮説ですが、「少額×大人数」が「多額×少人数」に勝つ資金調達コミュニティ というエントリでも触れた、「従来のように深い関係がある少数が多額を入れるよりも、思い入れがそれほどあるわけでもない大人数が少額を入れる方が成功しやすいシステムなのか」というこれまた仮説にもつながるところであり、個人的に大変興味深いところです。

とにかく、クラウド・ファンディングが投資とも寄付とも違うユニークなところは、動機は共感だったり支援だったり、どちらかというと寄付に近い場合も多いのだけれど、購入プロセスにより自動的に「権利」という投資に近い心理がうまれることではないかなと思います。それにより、もしかしたら寄付してほしい団体がやろうと思ってもなかなかできない「支援を自分ごとにしてもらう」ことが可能になっているとも考えられる。

ゲーム性による「巻き込み」感

もうひとつ「ゲーム性」と書きましたが、これは「権利」より明らかな特徴ですね。というか、グルーポン等のフラッシュ・マーケティングと仕組みは一緒ですから、むしろ全面に出ていて今更言うことでもないのかもしれません。
今更言うことではないかもしれないけれど、寄付、支援の分野でゲーム性を適用するものは今までほとんどなかったわけですからちょっと説明してみます。

まず、ゲームとは何か?

77/365 - card game.
77/365 – card game. / BLW Photography
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ゲームストーミング――会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム」にはこのように書いています。

■ゲームの構成要素

  • ゲーム空間:日常的なルールが一時的に無効になる空間
  • 境界(時間的/空間的):ゲーム空間と日常的空間の境界、プレイヤーがゲームに参加している時としていない時の境界
  • ルール:ゲーム空間内だけで通用するルール
  • 道具:ゲームに関する情報を保持する物体
  • ゴール:ゲームの終了を決める条件

■ゲームの世界の展開

  • 世界の想像:
  • 世界の構築:
  • 世界の開幕:
  • 世界の探索:
  • 世界の閉幕:

※詳細は文末(※1)を参照のこと
※最初の2段階はゲームの設計、残り3段階は実際のプレイ段階

1プロジェクトごとに与えられる同じフォーマットのプロジェクト・ページ、「期間内に目標達成しなかったら、今まで調達したお金もすべて没収」というそこだけで通用するルール、見返りという道具、期間や目標金額というゴールの設定
それらに同意したものだけがプレイヤーとなり、「世界の初期状態」と「望ましい状態」のギャップを埋めようとするプロセス。設定したゴールが実現すると終了する世界

こうしてみると、さまざまなクラウド・ファンディング・サービスは資金調達というゲームを自由に立ち上げることができる「場」を提供していることが明らかだと思います。

私が、Kickstarter や LoudSauce をみている中で、ちょっと支援してみてもいいかも、と思ったのも、そもそもはこれらの「ゲーム性」に、「面白そう」「ちょっとやみってみたい」という感情を喚起されているというのがほんとのところなのかもしれません。
で、実際ゲームって、だいたいやってみるとしょーもなくてもある程度は「はまる」中毒性をもっているものですから、上で書いた「権利」と同様、もろ”自分ごと”になるのです。

上で書いた比較の表の最後に、クラウド・ファンディングの達成時の気持ちを「ヤッター!」と書いたのは、まさにゲームをクリアした時に発する言葉です。
だから、広告が無事出稿されたら、こうやって写真撮ったりするわけです(笑)。


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こうした、ゲームではないサービス等へのゲーム性の付加に関しては、今「ゲーミフィケーション」という単語がマーケティング分野でバズワードになっており、さまざまな WEBサービスやプロモーションで導入されているところです。
その中でも、このエントリはとても丁寧にゲーミフィケーションに関して解説しています。

なぜ「Turntable.fm」はユーザーを夢中にさせるのか | ASSIOMA

このエントリでは、3つのポイントのひとつとして「エンゲージメントループのデザイン」を紹介しています。

  • 進行状況の可視化:地位、課題、報奨、メッセージ
  • ポジティブな感情の喚起:楽しい、嬉しい、好奇心、悔しい
  • ソーシャル的な行動を促す:共有する、支援する、競争する
  • エンゲージメントを築く:タスク、ミッション、ゲーム、クイズ、ギフト

この4つがぐるぐると回ることで、「プレイヤー」を増やし動かしていくわけですが、これはまんまクラウド・ファンディング・サービスのシステムにも当てはまります。

  • 進行状況の可視化:目標と達成率、締切、支援状況等
  • ポジティブな感情の喚起:動画等での PR等
  • ソーシャル的な行動を促す:支援する、ソーシャル・メディアにシェアする、いいね!を押す等
  • エンゲージメントを築く:見返りの約束、プロジェクト・アップデートの報告、コメント等

このように見事に、人々が「巻き込まれていく」ループを取り込んだサービスになっているのです。

ここでちょっとアート・マネジメント的なことを書きます。
2年間大学院でアート・マネジメントの世界をほんの少しだけ齧らせてもらった中で感じたことは、芸術関連のマネージャーにとって、自分たちの団体がやっていることに対し人々に関心をもってもらうこと、親しんでもらうこと、さらには支援してもらうこと、そこに至るまでの「味方」を一人でも増やすことは大きな課題だということでした。
そして、そのためにいかに人々を「巻き込む」こんでいくか、そこに対し知恵を絞り、さまざまな努力をしています。(※2)

巻き込むことが課題であるならば、こういったゲーム性を取り込んだ資金調達方法は、これからもっと活用していい、するべきな方法なのではないのでしょうか。
現在少しずつ美術館等でも「ゲーミフィケーション」を取り入れている事例は出てきていますが、資金調達にはまだほとんど応用されていません(厳密にいうとびっくりするほど軽い事例をひとつ知っています。機会があったら触れるかもしれません)。
クラウド・ファンディングというと、アート/エンタメ関連でも団体というより個人が活用するものと捉えられがちなところもあり、それもたしかにそう大きく括れるところもあるのですが、別に Kickstarter を使う必要はないけど、こういった「ゲーム性」を寄付、資金調達に積極的に取り入れていくのはありなんじゃないかなあー、と改めて強く感じました。

以上、テーマが大きいわりに駆け足になってしまいましたが、今回は、クラウド・ファンディングの基本的な特徴としての「ゲーム性」と「権利」のことをかいてみましたっ。
ここは、クラウド・ファンディングの今後やそこで生まれている心理を考える際の土台だったりするので、また何度も書くかなと思います。

ていうか、私、10年間ゲーム業界、しかも中盤~後半はオンライン・ゲーム業界にいましたので!!このあたりはまさに元・専門として頑張らなあかんところですわ!

さて、今日は金曜なので、明日明後日は更新オヤスミーです。

一応8月いっぱいは平日毎日書くぜプロジェクトもあと3回となりました。さてさてどうしようか! 意外とやればできるし、飲んだくれているよりブログ書いてた方がなんとなく自分のためにはなってる気がしているので(笑)
あともしかしたら、更新時間を22時からサイクル的に朝にかえようかなーとかも思っておりますが、それも含めて週末ちょっと考えようっとー。

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「世の中を変える広告」を皆で出稿しよう――LoudSauce.com

昨日は「明日はアート×ITな最近のトレンドと事例を紹介するエントリにしようかと思ってますー」などと書きましたが、その後人と話してていろいろヒントをもらったので、またちょっとWEBでの資金調達=クラウド・ファンディングについてエントリします。

今回は、Kickstarter からちょっと離れ、面白いクラウド・ファンディング・サービスを紹介しつつ、なぜ今までの資金調達ではなく、クラウド・ファンディングなのか? その圧倒的な違いとは? などについて考えるきっかけを書いていこうかと。

社会貢献キャンペーンの広告出稿代を WEB で集める!

当たり前ですが、WEB上で少額の支援を多くの人から集めるクラウド・ファンディング・サービスは、クリエイター/アーティスト分野に限らず山のようにあります。昨日紹介した報告書によると、Kickstarter のようなオンラインの寄付プラットフォームは 200 以上あるそうです。(2010年末時点)日本でだって、いろいろ登場しています。

いつかまとめてみようかとも思ってますが、
その中でも、最近知って、めっちゃおもろいなーーーーと思ったのがコレ。

LoudSauce.com

これ、どういうサイトかというと、社会貢献活動団体が広告出稿するための出稿代をみんなから集めるというプラットフォームなんです。α版がスタートしたのが2010年の11月。

LoudSauce 側はこのサービスのヴィジョンを
広告メディアを消費活動に駆り立てるものから、市民参加のメディアに変えること
とし、従来の営利目的の広告の中に、「意味ある変化」を促すキャンペーン広告や意見広告、そういったものをどんどん入れていくことをやろうとしています。

基本的な仕組みは Kickstarter などと同様で(プロジェクト・ページのフォーマットもほぼ同じ)、私たちがその活動内容や解決したい課題をみて「いいな」と思ったプロジェクトに対し、任意の金額をWEB上で支払います。その際に、やはりプロジェクト側から、支援額ごとに「見返り」が設定されていて、だいたいはその「見返り」を購入するという形での支援になる。

事例として、最近一番成功したっぽいプロジェクトをピックアップしてみます。(※1)

Join 350.org and Ask Scott Brown: Which Side Are You On?

305.org という環境問題に関する活動を行っている団体のキャンペーンです。

だいたい、どのプロジェクトでも「課題」「解決策」「広告、メッセージ案」が企画者の方から提示されていますが、このプロジェクトの場合はこんな感じ。

  • 課題:先日(4月6日)、共和党の上院議員スコット・ブラウン氏は、大気浄化法(Clear  Air Act)の実効力を低下させる票決を下した。実は昨年、ある(環境汚染に加担    している)エネルギー会社と関連会社は、彼のキャンペーンのために190万ドル     以上の支援をしている。彼は私たちのために働いているのか? それとも環境汚    染会社のために働いているのか?
  • 解決策:ブラウン氏のメイン・オフィスがあるボストンの街中に彼に対する意見広告をはろう。彼に対し、私たちがきちんとやり方、動向をチェックしていること、それが投票に反映すること、そして彼が私たちではなく環境汚染会社の味方になったことを忘れずにいることを知らせよう。
  • 広告案:下記をボストンの地下鉄の駅に2枚セットで貼る。


※右下に、このプロジェクトに支援した人たちの顔写真が掲載されている

このプロジェクトの支援に対し用意されている「見返り」は下記のとおり。

  • $35:本キャンペーンのバンパー・ステッカー
  • $100:広告に顔写真掲載
  • $350:350.org のグッズセット(Tシャツ、ステッカー等)

既に調達期間は終了しており、$6,000 目標のところ、250名から $9,967 集めています。

集めたお金はすべて広告出稿に使われるようで(でも、ものすごくいっぱい集まった時どうするんでしょうねー?)、LoudSauce の方では出稿料のディスカウントといった交渉までやって、手数料として10%をとるそうです。

同じ企画を新聞で告知していたら……?

まー、これはサービスの発想自体がユニークだし、説得力があります。

重要な問題提起や素晴らしい発想がつまったキャンペーンを日々企画しながらも、大掛かりな宣伝活動をできるほど潤沢な資金がなく、その影響力にどうしても制限がかかってしまう社会貢献活動団体
かたや、毎日大量の広告の波に無意識下にうんざりしている人々

後者に対し、「生活しているとどうしても目に付いてしまう広告スペースならば、世の中を変えるような広告で埋めようよ!」と呼びかけることで、前者に(今まで届かなかったような人々にメッセージを伝えるという)新たな可能性とパワーを与える。

※LoudSauce のヴィジョン説明動画

Background & Vision from LoudSauce on Vimeo.

さらにいえば、屋外広告(特に限定はしておらずTV広告とかも大丈夫なんですが、今あるプロジェクトはだいたい屋外広告への出稿を想定しているみたい)という、申し訳ないですが「今、出稿少ないんだろうな~」「安いんだろうな~」という広告メディアの起死回生案?そこまではいかないかもですが、とにかくそういう広告メディア側の事情の解決となっているのも面白い。

はっきりいって、屋外広告出してもいまや効果ないと思うんです。だからお決まりの企業が出すか、安くタタキ売ってもなかなか出稿が決まらない、そんな事情なのではないかと、東京の中心街のビルボード看板が空白になっているのを見るにつけ思います。

でも、この方式でやれば、まず新たな広告主が開拓されます。
さらに、社会貢献活動キャンペーンを広告出稿するために皆で頑張った、、的なストーリーがつくと、見事調達し広告が出稿した暁には「やったぜ」とばかりに皆が集まる「場所」になる。そうすればニュースにもなる。


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実は、このブラウン氏への広告は、ボストンの地下鉄組合みたいなところにより禁止されたそうです。

MBTA rejects anti-Brown ad from environmental group

この後どうなったか、またこういう場合集めたお金等はどうなるかまでは調べていないですが、ここまで”騒動”になれば「広告出稿」をキーとした彼らの主義主張の一大 PR、プロモーションですよね。(※2)

さて!

本題はここからなんです。
けして、LoudSauce の話をくどくどと書きたかったのではありません。(十分書いたけど)

私、このサイト見つけた時、おもしれー、ちょっとやってみたいわー、と反射的に思いました。

では、同じ企画(社会貢献活動団体が広告出稿するための寄付)を、たとえば新聞のPR欄で告知をしたらどうでしょう? もしくは、DM などがきたらどうでしょう?

よほどのことがないかぎり、関心も沸かず、支援などこれっぽっちも考えないと思います。

これはあくまで私の感覚の話ですが、
それならばなぜ私は、LoudSauce 経由だったら関心を持ち「やってみたいかも」とまで思ったのに対し、新聞やDMでのPRではちっとも心が動かなかったのでしょうか。

この気持ちを見ていけば、(LoudSauce だけでなく)クラウド・ファンディング・サービス自体の資金調達手法としての優位性を考えるヒントが出てくるかもしれません。

というわけで、まさにそれを書いていくことが本題だったのですが、相変わらず時間ぎれとなり、今日はここまでです(笑)。
まあ、面白いサービスが紹介できたからよしとしよう。

明日のエントリに続きます!

(※1)
今はまだα版?ということで、サイトには4つしかプロジェクトがありませんが。

(※2)
シビアなことを言えば、広告を出したり、騒動になったところで、彼らの主義主張が無視できなくなり政治を変えるほどのインパクトを持つかどうかは別課題として歴然とあります。
Kickstarter の一連のエントリでも書いた「一回資金調達して制作したところで、それだけ?」の話にもつながる。おそらく、こういう種類の話をする時はいつもついてまわる課題ですが、まあ、このエントリではそこまでは言及しません。

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【報告書紹介】「オンラインでの資金調達―アートのためのソーシャル・メディア・ファンドレイジング」

今週はクラウド・ファンディングの話を書いていこうと思ってましたが、昨日のエントリを書いた時点でいろいろと調べたいことや読みたい本が出てきたので、ブログ書く時間はちょっとそちらに時間を割こうかなと思います。

なので、今週後半このブログのテーマに関わる報告書、まとめ等をいくつかピックアップしてみようかなーと。
はい、ちょい手抜きエントリですスミマセン(汗) でも、この分野のこういったレポートはまだ貴重だったりするのと、基本的に1年以内のものをピックアップしますので、得られることは有用かと思いますー。

まずは、流れ的に?アート系組織のオンラインでの資金調達、、ということでイギリスの Arts & Business が昨年出したレポート “Fundraising online – Social media fundraising for the arts” をご紹介します。
これは、アート系組織におけるソーシャル・メディア(ネット)を通じた資金調達の必要性とヒントについて書かれたもので、当然のように Kickstarter などのクラウド・ファンディング・サービスの勃興等にも触れられています。
ちなみに、『アート/エンタメにおける「デジタル・オーディエンス」とは』で紹介した “Digital audiences ? engagement with arts and culture online” を出しているところと同じ団体が出しているものなので、こちらのレポートともつながるところがあると思います。

以下、基本的に報告書の内容を追っていきますが、エッセンスをピックアップして紹介したものであり、英語訳などはすべて私の超・意訳、適宜適当な文章の挿入、かつ大幅に編集しています。
詳細、及び正確な情報、記述を確認されたい方は元資料をご参照ください。

イントロダクション

■ソーシャル・メディアのインパクト

  • イギリスでは 63% の大人がネット上でなんらかの支払いをしている。
  • ソーシャル・メディアからの訪問者は、普通の訪問者の10倍以上買い物をする。
  • インターネット人口の70%は見知らぬ人からのオンラインでのレコメンドを信用する

――いまや、多くの人々がオンラインで購入や支払をしている。
そう考えると、オンライン上の寄付には大きな可能性があるに違いない。
実際アメリカでは、ネットを通じての寄付は、2009年から2010年にかけて 23% 増加した。(※1)

アート/エンタメ分野に目を移してみても、ソーシャル・メディアのインパクトは大きい。
インターネットユーザーの65%が文化的活動の情報をオンラインでシェアしており、53%が文化的イベント、団体を見つけるためにアクティブにソーシャル・メディアを使っている。

■資金調達への新しいコミュニケーション

Catching up on e-mail...
Catching up on e-mail… / Ed Yourdon
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

そもそも、ベビーブーマー以降の人たちは伝統的な組織やメディアを信用しておらず、もっとパーソナルなネットワークを重視している。そして、より知識があり、自分の目で確かめ、要求も高い。
現在、何かの資金調達をしようとする人たちはこのような世代とコミュニケーションしていかなければいけないのだ。

ここで、資金調達のプロフェッショナル Bryan Miller 氏によるこれからの資金調達のモットーを紹介しておこう。

「人々が関心あることを邪魔しないこと。人々が関心あること自体になること」

これを達成するには、ソーシャルメディアの役割がとても重要になる。

つまり、いまや、ソーシャル・メディア、及びソーシャル・メディアとその他のメディアとのクロス・プロモーション戦略は必須であると言えるだろう。

アート機関とソーシャル・メディアによる資金調達

■アートとソーシャル・メディアの親和性

とはいえ、ソーシャル・メディアによる資金調達も、伝統的な資金調達手法から大きく離れるものではない。アプローチ方法を少々変える必要があるツールというだけである。寄付してくれる人とアート機関の個人的なつながりをもっと強化してくれる追加ツールと捉えればいいだろう。

しかも、元々アート/エンタテイメントというのは、特にマス・メディアが現れる前はとてもインタラクティブなものであったのだから親和性が高いとも言える。ソーシャル・メディアによる資金調達に要求されるものとは、「クリエイティブなやりとり」「創造的な心」「納得感のあるコミュニケーション」・・・これらはすでにアート機関にあるものだ。

また、ソーシャル・メディアはグローバルにアクセスするというそもそもの意図の一方で、地域の活動やオーディエンスにアクセスするプラットフォームになっている。ニッチなグループはすでにオンラインに存在しており、それをみつけることが重要。
「人々が関心をもっているものになる」時、ソーシャルメディアは既に活動に関心を示している熱狂的な見込みドナーとオーディエンスを縁を結ぶ理想的なプラットフォームを提供する。
ソーシャル・メディアをうまく活用すれば、アート機関がオフラインでパワフルに形成しているオーディエンスを可視化、拡大する役割を果たすだろう。

Girl Talk
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 改変禁止 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

■続々と増える資金調達用オンライン・サービス

また、アート機関がソーシャル・メディアを活用すべきもうひとつの理由は、多くが無料、もしくは安いコストでできること。
団体の大小関係なく、同様のチャンスがある。(唯一必要なのは、スタッフの時間だろう)
今は、Kickstater のようなクリエイティブに特化したものも含め、200以上のオンライン寄付サービスがある。
これらのほとんどは手数料ゼロかあってもそれほど高いものではない。無料のトレーニングやオンライン・アドバイスを提供しているものすらある。

NPO向けのサービスでもっとも知られているアプリは Facebook CausesJustGiving app など。(※2)

■統合プロモーションの重要性

戦略を立てる際は、資金調達、ブランディング、オーディエンス調査、マーケティング、寄付者のケア等の活動とソーシャル・メディアを統合させることが必要である。最終的にソーシャル・メディアは、組織にとって彼等のメッセージを伝えるための手段となる。個々と関係を築くこととや組織内にひきこむことは、個人からの寄付を募る基本的な一歩である。

※なお、ウェブサイトのアクセス数や、ツイッターのフォロワー数、FBグループのメンバー数などを気にしすぎることは、バケツをもって繁華街にたっていることと同じである――多くの人があなたとバケツをみるかもしれないが、ほとんどが通り過ぎていくのだ。
「バケツ」は資金調達のよい方法ではない。人々が立ち止まってくれるかどうかは、「バケツをみたこと」ということではなく、彼らがあなたたち自身やもたらされる経験を「知っている」か次第なのである。

また、ほとんどの場合、アート/エンタメセクターへの寄付は緊急課題ではない。
アートへの寄付者は、しばしばその機関との関係の長さやクリエイティビティへの評価から寄付をする。
なので、アート機関全体への絆づくりと、納得感のあるコミュニケーションはとても重要なのだ。人々に対しては、寄付の仕方を教えるのと同時に、(それがなければ寄付をしようと思わなかったであろう)「物語」を提供することが必要なのだ。

それらを可能にするためにも、アート機関のスタッフ(マーケッター、イベント・マネージャー、資金調達担当者等)は、情報を提供する際に同一機関の別の部署からさまざまなお知らせを出すことがないよう、コミュニケーションを統合する必要がある。(内部の組織や境界は人々には関係のないことである)
ソーシャル・メディアはアート機関がひとつの「物語」を語るプラットフォームを与え、人々の関係を深めることができるだろう。その結果、寄付してもらえるかもしれないのだ。

ソーシャル・メディアを使った資金調達のための 5 つのヒント

art patrons abound
art patrons abound / numstead
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

■1. つながり(connections)を促進するオンライン・コンテンツをデザインする

  • Step 1:Facebook グループなどに資金調達プロジェクトに関するページ、プラットフォームを作る。ツイッターなどにそのページへの入り口をもうける。また、Youtube や Flickr には、「物語」を肉付けしていくような、動画、写真をアップしていく。
  • Step 2:上記のページに、オンラインの寄付プラットフォーム、フォーラム、友達へのレコメンドなどをリンクする
  • Step 3:他、メーリング・リスト等含め、それを読んだ時にすぐにアクションに移ることができるよう、すべてのコミュニケーションには寄付ページへのリンクをはりつける。

■2. オフライン、オンライン両方で関係づくりに投資する

アート機関に関して、「誇り」と「所属」を感じられなかったら、人々はオフライン、オンラインに関らず寄付しようとは思わない。

  • Step 1:現場で起こっていることをオンラインではっきりと伝える。対面、オンライン、そして(たぶんもっとも重要なのは)ふたつをつなげるところで、物語とポジティブな進展を伝える。
  • Step 2:最近の寄付者や支援者を把握し、彼らの役割を明確にし、熱意を評価する。たとえば、彼らが参加できるアクションは何のイベントかなど
  • Step 3:人々がウェブにアクセスしたら、理想的には寄付ページには 1~2クリックで到達するようにしたい。しかし、押し付けがましいお願いで「寄付疲労」させてはいけない。金銭的貢献に加え、組織を助けるほかの方法があることをクリアにすること。たとえば、ボランティアやソーシャル・メディアでの友人へのレコメンドなど。

■3. 誰に話しているのか、何について話しているのか、あるいは聞いているいるのかを知る

ネットワーク社会におけるコミュニケーションとは、あなたの組織のメッセージを大きい集団に伝えることではなく、支援してくれる見込みの高い人々と話し、彼らとつながりを作るための文脈を見つけることである。
ソーシャル・メディアによって、既にあなたの組織に関心をもっているニッチなコミュニティを見つけることが可能である。

課題は、これらのグループを見つけ、会話に参加することで、あなたが所属する組織の意見やニュース、物語、リンク等を提供することである。
そして、これから支援してくれるかもしれないこれらのグループにいる人々が話すことを聴くこと。
聴くことは、ソーシャル・メディア管理に必要なもっとも重要な機能のひとつである。

  • Step 1:ツイッター・フォロワーの中で何のトピックが重要かをチェックする。また、Google Analytics 等を利用してどのウェブサイトからあなたのサイトを参照しているかなどを調査する
  • Step 2:ソーシャル・メディアに書かれたコメントやレビューに返信やフォローをする。そうすれば、人々はあなたの組織がコミュニケーションを積極的にとろうとしていることがわかるだろう。ただし、「組織の声」ではなく個人的なやりとりとしてコメントしていくこと。

■4. ウェブの「オープンソース」という特徴を認める

ソーシャル・メディアは、今までのコントロールできる一方通行のコミュニケーションと違い、人々のコミュニケーションの渦に巻き込まれるコミュニケーションが向いているメディアである。このオープンなアプローチは非常に困難に聞こえるかもしれないが、簡単に人々と対話したり、共有することを可能にするものだ。
アート組織は、よりアクティブに絆を結ぼうとしているモチベーション高い人々を迎え入れることができるのだから、シェアと信用の文化を創ること。そのカルチャーの中でのインタラクティブなプロセスが、未来の資金調達の道をひらき、新しい世代を巻き込むことができる。

■5. 恐れない

インターネットの成長は否定できない。

オンラインを通じての平均的な寄付者は、気前よく、従来の典型的な寄付者より若い者が多くなるといわれている。
支援してくれるかもしれない潜在層とより強い関係を結ぶために、デジタルとソーシャルな機会を利用すること。これは新しい領域なのだから、恐れずに実験し、フィードバックと支援をもらおう。

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ざざっと要点だけみていきましたが、いかがだったでしょうか。
最後の「怖れない」というのは、アート×ソーシャル・メディアな tips では必ず最後に出てくる文言だったりします。。まあ、ソーシャル・メディア活用って金銭的なハードルは非常に低いので、結局はそこだったりするのですよね。

さて、「海外記事紹介という名の若干手抜きエントリ期間(^^;)」明日は、アート×ITな最近のトレンドと事例を紹介するエントリにしようかと思ってますー。

(※1)
The Blackbaud Index of Online Giving

(※2)
これらのアプリはまだ不勉強。。Facebook Causes についてはこちらの記事などご参照ください
Facebookアプリ「Causes」で集まる海外からの支援

また、それ以外のアプリはこちらに紹介されているのでご参照あれ
5 Social Fundraising Alternatives to Facebook Causes

【報告書紹介】「オンラインでの資金調達―アートのためのソーシャル・メディア・ファンドレイジング」http://artsmarketing.jp/wp-content/uploads/2011/08/0824eyecatch-150x150.jpg*arts marketing.jp
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