#本日のインスピレーション:梶祐輔「広告の迷走」#
梶祐輔さん、この方、広告業界ではかなり重鎮のよう。
テレビが登場する前、新聞広告が隆盛を極めていた頃から業界にいらっしゃったようなので。
というわけで、2001年初版かつ新聞広告に偏重しすぎてて、雑誌やラジオ、いわんやインターネットには全然言及されてないけど、
「おじいちゃん(すみません)が若者を叱咤!」というような、いい意味で広告への愛(と危惧)にあふれた本。
でもそれ以上に、さすが、日本の広告業界と広告主の現場、歴史を長らく見ていた方だけあって、
「広告」というものに対する認識や、業務の中で「あたりまえ」と思っていることへの鋭い疑問のなげかげは、
ううむ、なるほど!と思わせるものが多く、自分としても、非常に示唆のある本だった。
彼が、この本を通して言いたいのは、
「アドバタイジングは商品を売るためのものではない。プロモーションとアドバタイジングは違う。
プロモーションは商品を売るための短期的戦術。
アドバタイジングは、それの前提としてある”企業思想””トップの想い”を伝え、長期間のコミュニケーションを実現するもの。
プロモーションとアドバタイジングのバランスが、世界的に体力のある企業を作る」
というようなこと。
こうやって結論だけ文章にすると、「そんなこと、わかってるよ」的なことのようにも聞こえるけど、
本文では、今の広告代理店と広告主の関係や、そこで何気なく交わされている会話など、
こういう職種についている人たちが「あたりまえに思っていること」を具体例として出しながら、
そこに潜んでいる「あまりに商品うらんかな、に偏重しすぎたアドバタイジング。成熟していない広告戦略。」というのを浮き彫りにしているため、
「いやーーーー、まったくそのとおりで。」と、少なくともあたしは、頭を垂れずにはいられなかった。
この広大な社会での、自分たちの立ち位置、
そこからどうやって社会と責任あるコミュニケーションをとり、社会に貢献していくのか、
それがない企業(そしてたぶん、個人も)は、早晩つぶれる、くるしい。と、あたしも常々思う。
それを、「思想」「哲学」「ビジョン」とかっていっちゃうと、
なんか胡散臭いし、表面上な感じがかえってしてしまって、あまり使いたくはないのだけど、
まあ、そういうこと。
(この本の中でも、マーケティング活動の本質は
「わずか一点のニッチの発見=市場の中の十分が安住できる、わずか一点の場所を発見すること」
ということを古典を引用して語っていたが、あたし個人も「思想」とか「ビジョン」とかいうより「立ち位置」という表現が好きだ。そういえば。)
だから、使い捨てのように商品を喧伝して、刺激を与えまくって、そこの畑を焼き尽くして、また次にいって、
というのはもうやめにして、
そういう本来の「企業 対 コンシューマー」のコミュニケーションのような活動が絶対必要なんだ、
それが、なんらかの形で広告に携わるものの役割なんだ、というのは、非常に賛同する。
でも。ここから発展して、
あたしはいつも自分の中の課題として思うのだけど、
その「立ち位置の表明」を、広告活動として行っていくには、一体、いくらコストがかかるのだろう?
4つのマス+ネットを適正に使い、「アドバタイジング(+プロモーション)」をしていくには、
いったい年間でいくらの予算を申請しなければいけないのだろう。
これは、自分が、本当にお金のない創始の時から今の会社でマーケティング業務をしていたから、余計思うんだけど、
みんな、どんな経営者だって、マーケティングにコストをかけなくちゃいけないのは、頭ではわかってる。
でも、広告料金というのは、最近はネットだって、高い。
どこかの資金で作られた、というのではなく、志だけで創業したベンチャーにとって、広告というのは本当に高い。
特にテレビは理不尽に高い。
というわけで、そこにえは企業サイズにあったマーケ予算の中での、効率的なメディアプランニングが必要になってくると思うのだけど、
小規模の予算でのマーケティングをする場合、
「長期的コミュニケーション+短期販売促進」
という仕組みを適正サイズで行う、というのではなく、
まず「長期的コミュニケーション」を削除。その後、短期販売促進に限りなく「売り上げをアップさせるための」効率を求める。
という形に、必ずといっていいほどなっていくと思う。
それの打開策として、
「長期的コミュニケーションはひとまずはPRのみでコスト0でやっていきましょう」
というような流れもあるのだけど、
PRがどう、という話は、ここではいったんおいておいて、
つまり、あたしがつきつめたいこと、課題は、
「資本体力がないところの”長期コミュニケーション(言われすぎてて使いたくないけど、わかりやすくいえば、ブランドづくり)”はどうやっていけばいいか。
どのくらいの予算で、どのような媒体を使って、どのようにメッセージを発信していけばいいのか」
というところ。
そして、それをつきつめていくことで、
中小企業やベンチャー企業だけでなく、
もっと小さなユニット、個人、そんな資本はないけど無数に転がっている「想い」を、
いろいろな人に伝え、コミュニケーションを促進させる、そんなお手伝いができればよいなあ、と思っておったりします。
なんかね、基本的にあたし、「とはいえ、資本のあるところが勝利に近い」という構図が、キライなんだわ(笑)。
こんだけネットが広がって、「表現者の垣根がとれていった」なんていわれているのだから、
「マーケティングの垣根」もとりたいな、なんて思う今日この頃なんです。
というわけで、うーむ、なんか、熱く語ってしまった。。。
ちなみに、下の画像は、最近話題の「アメリカンアパレル」の広告。
Made in LA Downtownを打ち出し、不当な低賃金で発展途上国に”作らせた”ものを売るのではなく、
ダウンタウンにある自分たちの工場で作ってうりまーす!というミッションで有名だけど、
広告も、モデルは社員、カメラマンは社長でやってるらしい。^^
LAにある「小さな志」ということでちょっとメモ。
