- Feb 9, 2015
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- アムステルダム, アムステルダム国立美術館, 行ってきました
アムステルダム国立美術館。思い起こせば 2013 年の秋にこのブログ↓を書いてから、すっかり大ファンになってしまった。
- 【前編】美術館 WEB の game changer(1):アムステルダム国立美術館の WEB 戦略
- 【後編】美術館 WEB の game changer(1):アムステルダム国立美術館の WEB 戦略
WEB 戦略が素晴らしすぎてで美術館のファンになるっていうのも邪道かもしれんがな。でも私、いつもそんなだなあ。
アムステルダム、とかオランダ、は以前からひっかかるところがあって、2010 年にはこんなブログを書いてるし、
私の修論のテーマは美術館のモバイル活用なんだけど、世界で最初に美術館にモバイル(音声ガイド)を導入したのはアムステルダムの市立美術館だったり、途中ちょっと関わった AR 関係でも当時話題を呼んだ AR アプリの Layer はオランダの会社が作ってるし、クラウド・ファンディングでもいち早く株式型を認可していたり、その時々に私が関わってたテーマ全てに「ほう、これもアムス or オランダ!」な瞬間があった。でもって、「前代未聞のオンライン・アーカイブ」を作ったアムステルダム国立美術館があって。つまりは、進取の気性に富んでるところなんだなあと。
なもんで、これはもう絶対アムスに行ってみよう、で、アムステルダム国立美術館に行こう!!!! と心に誓い、
昨年の秋、行ってきました。
【SLIDE】アムステルダム国立美術館の前に広がるミュージアム広場と “I amsterdam” の立体ロゴ
写真で何度も見た I amsterdam!! 人多すぎだけどアガる!!!
で、これ↓、美術館に向かう途中に撮った 5 秒ぐらいの下手くそな iPhone 動画をループさせているだけだけど、動画ってすごくないですか(遅い)。
私、フォト・フォルダでこの動画見つけた時、写真見てるのとまた全然違う、ぶわっと思い出すものがあって感動したよ。アムステルダム国立美術館のドキュメンタリーで悪名高く?なった、チリン!ってベルならしながら自転車で通り抜ける市民もばっちり映っている。アムスだぜ!
というわけで、いろいろ美術館の写真をアップしがてら、感じたことを少し。
アムステルダム国立美術館で美術館の「敷居」を考える
アムステルダム国立美術館のおそらくメインの展示室である「夜警の部屋」に続く「名誉の間」、そこに入った瞬間、私、ほんとに「もう、アムスはここだけ見られたらいい」って思った。なんかもうほんとにすてきな空間で。すてきな空間、っていうのは、いわゆる美術館として美しいとか、素晴らしい展示空間だとか、そういうのももちろんある。
だけど、それだけじゃなくて、むしろ強く感じたのは、その場にあるなんともいえない、立派なんだけど気楽な雰囲気だった。
それはこんなところに現れている。
今回、はりきってアムステルダム国立美術館の公式アプリ(ガイド)を iPad mini で見ながら回ろうと思っていた。でも、音声が出るガイドなのにイヤフォンを忘れてしまって、あーーー失敗した、音出さないでせめて画面だけみるかなーと思いながら入ったのだが、実際足を踏み入れてみると「あ、これ、多少音出しても全然平気じゃね?」って思った。人が多い、わいわいしてる(ていうか自撮り撮りまくりだし)、というのもそうなんだけど、なにより、皆好き勝手思い思い、な感じがしたのだ。もちろん世界中どこの美術館でも皆好き勝手しているのだけど、ほんの少しゆるくて、それがいい、というか。
案の定、iPad mini で小さく音を出してスピーカーのところに耳を当てながら(一緒に行った人と二人で耳寄せて聞いてたのでそれは変な格好だった)見てても全然 OK、っていうか誰も気にもとめてなかった。
で改めて感じたのだけど……
美術館の「敷居」、とかってよくいうけど、美術館(でも劇場でもなんでも)に行くことへのの精神的ハードルの高い、低いって、作品とか展示(がわからない、とか高尚だ、とか)に起因するものじゃなく、実はいる人たちの雰囲気、オープンさ?なのかなって。私はオランダ絵画のこと何も知らないし、例えば「夜警」だって「教科書で習ったもの」=つまり “高尚な絵画” だけど、こういう雰囲気の中で、アプリとかその他のガイド(このアプリやガイドのことは後半に書きます)をのぞきながら、へええ、そうなんだ、とかわいわい言いながら作品をじろじろみて、たまに写真とか撮ったり、すごーい楽しかったもの。
そうそう、いろんな人がやってた自撮り=セルフィ、やったことなかったけど私もやってみたよ。「自分で撮るからセルフィだよ、スマホでさくっと撮っちゃうのがいいんだよ」とか言いながらね。やってみたけど、、
失敗(´Д`)
あまりに慣れてなくて、構図も表情も遠近感もまるでダメ子である。今年はうまくなろうと思う。
ちなみに、一緒に行った人は付き合いで来てくれて、おそらく美術館自体にそこまで関心ない人だったのだが、でも「わあこの白鳥すごい迫力」「えっ、この絵って深いね」とか楽しんでいたようで、最後「美術館ってこういう感じだと、全然知らない作品でも楽しいね」という言葉を聞いて、あながち、単に「ようやく来られたアムステルダム国立美術館」な私の贔屓目だけではないんじゃないか、と思った。
さらに言えば、ふと思ったのだけど、美術館で感じたこの印象は、もしかしたらアムスの街の雰囲気自体ともちょっと通じるところがあるのかもしれない。
小国でパリやロンドンに比べると人や空気が圧倒的に呑気だけど、ニコニコしながら適当で猥雑なところも(すごく)ある。なんで、かつて同じ国だったブリュッセルは美食なのに、アムス(オランダ)は食が大雑把なの。という一方で、街を歩いててふと目をやったところのデザインとかがとてもとても洗練されていたりする。いろんなところがいちいち意識高い。
今回ロンドンと合わせての旅だったのでアムスには 3 日しか滞在していない。だから、ものすごく個人的な第一印象だけで語るけど、美術館で感じたすてき!な感じと気楽さの同居というのは、街にもあったなあ、、ていうか、順番が逆で、街の雰囲気と美術館の雰囲気は似るんだな、と。まあ、それは当たり前で、美術館だってその街の人が作って、(観光客も含めて)その街にいる人が来るんだからなあ。
【SLIDE】アムステルダムの街
まあ、つまり、アムステルダムは結構私は好きだ、ということらしい。
そう、アムスはとても小さい街で、日本ではいろんな都市と合同じゃないと一冊の観光ガイドにならないぐらいのところだけど、でも少なくともミュージアム広場にある美術館たちのために再訪したい、そんなふうに思える街でした。
美術館の様子とガイドについて
以下は写真と、公式アプリを含めたガイドについて。
【SLIDE】収蔵品など(偏りまくり)
こちらは動画。毎分手書きされる時計 “grandfather clock”。子供達大喜び。
10 年かかったリニューアルについての説明もあった。
そんでもって、図書館! 本当に素晴らしすぎました。
さて、ガイドについていくつか。ここの公式アプリはものすごい良いガイドで、まずいくつかのツアーが入っている。無料で日本語版もあり!
- ここは絶対見ろという見どころのツアーが 45 分 ver / 90 分 ver
- 建築ガイドが 45 分 ver / 90 分 ver
- 時代別のガイドとして中世(45 分 / 90 分)、17 世紀(45 分 / 90 分)、18 世紀(45 分 / 90 分)、19 世紀(45 分 / 90 分)、20 世紀(90 分)
プラス、今みたら、ちょうど今週から始まる特別展「晩年のレンブラント(Late Rembrandt)」のガイドも入ってた。
全部ガイド聞きながら回りたかったけど、時間の関係で私が利用したのは見どころツアーのみ。
基本は、地図があって、選ばれた作品に対し解説するオーソドックスなガイド。
ガイドは二段階になっていて、ひとつはいわゆる音声ガイド。で、「さらに見る」を押すと、音声と共に作品画像が出て「ここを注視して観るとよろし」といった説明が入る。これがあることで、作品自体の解説だけでなく、実際の絵の見方の視点が得られて面白い。
で、この作品気になる、とか気に入った、とか思えば、ハート印を押す。
すると、こんな表示が現れて
メールが送られてくる。そのメールの URL を押すと、アムステルダム国立美術館の公式サイト内のマイページに美術館訪問記録とお気に入り作品がクリップされているのがわかるというわけ。
モバイル以外のガイドについても二点。
まず、代表的作品に関して各展示室にいっぱいおいてある A3 大の解説シート。とってもオーソドックスだけど、お役立ちだった。犬だけなんでこんなに投げやりに描いてんねん、とかもわかる(笑)。
そして、これは見終わった後に買ったのだけど、ミュージアム全体のガイド。私、普段あんまり買わないのだが、これはコンパクトでしっかりしていて思わず日本語版購入してしまった。館内は各フロア時代ごとに展示されているんですがガイドも時代ごとにくるっと地図でくるまれているんです。写真でわかるかしら。ブックデザインは、美術館自体のヴィジュアル・アイデンティティを手がけたイルマ・ブーム・オフィス。(VI についての話はまた別でちゃんと書きたい!)
【SLIDE】ミュージアム・ガイド
そうそう、館内ガイドも可愛くてわかりやすかった。フロアの色と対応した蛇腹式。
ガイドって否定的になる考えもわかるんだけど、私は基本的にとても好き。使い方次第で、何も知らずに見るのと全然違う、深い見方を得られることができると思う。そういった意味で、アムステルダム国立美術館のガイドはどのメディアのも奇をてらわず、デザインが良く使いやすくて、どれも本当にお世話になった。
……以上、すっごい駆け足になっちゃったけど、念願のアムステルダム国立美術館に行った覚書、でした。ていうか、近代美術館他のこと全然触れられなかったからもう一度ぐらいアムスについては書くかも。
また来るね!